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2013年2月11日(月)付

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官民ファンド―政府の役割を見失うな

12年度の補正予算案や13年度当初予算案には、官民連携を掲げて政府が資金を投じるメニューが目白押しだ。ざっと挙げてみよう。国が大株主の産業革新機構[記事全文]

スポーツ予算―トップの技を地域にも

政府の13年度のスポーツ予算案が243億円に決まった。近年の予算を見ると、競技スポーツへの配分が全体の約7割を占め、生涯スポーツは1割弱にとどまる。一握りのエリートにお[記事全文]

官民ファンド―政府の役割を見失うな

 12年度の補正予算案や13年度当初予算案には、官民連携を掲げて政府が資金を投じるメニューが目白押しだ。

 ざっと挙げてみよう。

 国が大株主の産業革新機構にベンチャー企業などの支援資金として1040億円。

 政府系の日本政策投資銀行には、競争力強化支援ファンド創設のための1千億円。

 農林水産業の高度化を促す官民ファンドに450億円を追加し、計750億円に。「耐震・環境性能を有する良質な不動産の形成のための官民ファンド」創設に350億円……。

 「官」の資金を呼び水に「民」のマネーを動かし、経済を活性化しようとの試みである。

 問題意識はわかる。大企業の手元には資金があふれ、日本銀行が金融緩和を強化しても資金は滞留したまま。企業の投資は増えず、ベンチャー企業や新たな起業にはおカネが回らない。「何とかしたい」と。

 しかし、どの分野、どんな事業が有望かを見極める「目利き」は、官にはつとまらない。民間の活動を活発にするには、妨げとなっているさまざまな規制や制度の改革こそが最優先の課題である。

 規制・制度を温存したまま政府が口出しすれば、競争力に乏しい業界の構造を温存したり、退場すべき企業の救済にとどまったりする恐れすらある。

 たとえば、今月発足した官民ファンド「農林漁業成長産業化支援機構」である。

 農林水産業者と企業をパートナーとして結びつけ、製造や販売を組み合わせる6次産業化を進め、低所得と後継ぎ不足・高齢化の悪循環が続く1次産業を活性化させるのが狙いだ。

 ところが、国会審議で「農林漁業の中心である家族経営や地域に根ざした法人の経営安定が不可欠」と注文がつき、農林漁業者の主導性を確保したり、農水相の関与を強めたりする修正が施された。

 企業の資金やノウハウの活用という目的が損なわれないか、1次産業の課題である大規模化を妨げないか、心配になる。

 「特定の産業に資金を投入するのは大変危険。重要なのは競争を促すこと」「成長のための国の資金投入は、抑制的かつ明確なルールで行うべきだ」「規制改革でこそ新しいマーケットができる」

 安倍首相肝煎りの産業競争力会議でも、メンバーの企業経営者や大学教授からこんな声が相次いだ。もっともな指摘だ。

 政府は自らの役割を見誤ってはならない。

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スポーツ予算―トップの技を地域にも

 政府の13年度のスポーツ予算案が243億円に決まった。

 近年の予算を見ると、競技スポーツへの配分が全体の約7割を占め、生涯スポーツは1割弱にとどまる。一握りのエリートにお金の使い道が偏っては、国民の共感は広がらない。地域でスポーツを楽しめる投資を、もっと増やすべきだ。

 国策であるスポーツ基本計画はトップアスリートの強化をめざす。ロンドン五輪で史上最多のメダル38個をとった戦略を続け、メダルが有望な競技の支援に新年度も23億円をかける。

 日本勢の活躍は、あこがれの選手のようになりたいと夢見る少年や少女がスポーツを始めるきっかけとなるかもしれない。だが、それだけでいいのか。

 トップスポーツと地域スポーツの橋渡しをして、好循環を促すプロジェクトがある。

 文科省が委託した全国46のクラブが、五輪や国体に出るレベルのアスリートを地域のスポーツクラブや小学校に派遣し、子どもたちを教える試みだ。

 東京都大田区のNPO、地域総合スポーツ倶楽部・ピボットフットもその一つ。地域クラブのほか、10の小学校にアスリートを派遣している。

 1976年モントリオール五輪の男子バスケットボール代表だった桑田健秀理事長は、とくに小学校での効用を強調する。

 「アスリートがもつ本物感に子どもたちは敏感に気づく。模範演技が上手だからイメージもつかみやすい。早く上達すればスポーツが好きになる」

 五輪のメダリストや有名プロスポーツ選手が1日だけ訪問する催しはよくある。刺激になってもその時だけだ。このプロジェクトは、年間を通じて触れあうから効果が大きい。

 近年、全国の小学校で先生の高齢化が進み、50歳以上の割合は約4割に上る。手本を見せるのが難しい競技もある。

 派遣するクラブにも有益だ。小学校との関係が深まって地域に溶け込めるし、アスリートにとっても「楽しむ」という原点を見つめるきっかけになる。一線を退いたあとの仕事場を広げる意味もある。

 しかし予算は限られ、この事業を委託されたクラブがあるのは29都道府県にとどまる。

 青森県では八戸市のNPOクローバーズ・ネットが唯一、委託されているが、往復5時間かかる青森市など、遠距離の街にある学校への指導は難しい。

 3年目になるこのプロジェクトの予算案は今年度並みの5億9千万円。メダル強化と差がありすぎる。配分を再考しよう。

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