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石巻、津波死亡・行方不明者 3分の2が自宅で被災

 東日本大震災の犠牲者が最も多かった宮城県石巻市で、津波による死亡・行方不明の3分の2が、自宅で被災したとみられることが、土木学会津波避難調査小委員会の三上卓幹事長らのグループの調査で明らかになった。体が不自由だったり、迎えを待っていたりして自宅から逃げられなかった人は全体の2割に達した。
 市の震災時の犠牲者は、住民基本台帳上で3592人(昨年12月末現在、行方不明者を含む)。グループは犠牲者の家族や近隣住民へのアンケートと聞き取りを2011年11月に始め、死亡時の居場所や津波到達直前の行動について、812人の状況を把握した=グラフ=。
 このうち自宅で被災した犠牲者は65.9%に上った。自宅にいた理由は「逃げなかった」が調査対象全体の34.5%。「体が不自由か付き添いで自宅にいた」は15.4%、「自宅で迎えを待っていた」は5.4%と、何らかの避難支援が必要だった人が2割に上った。「一度避難したが自宅に戻る」も5.4%あった。
 年代別にみると、自宅で被災した人の割合は0歳〜40代の34〜53%に対し、50〜90代が68〜85%と高かった。「体が不自由か付き添いで自宅にいた」という人は50代と70〜90代が突出した。
 避難中に亡くなった人は全体の22.3%だった。避難手段別では車が51.9%を占め、徒歩の28.7%に比べて2倍近い差があった。
 徒歩避難中に亡くなった女性の割合は、男性の1.9倍と高く、60〜80代が95%を占めた。運転免許所持率の低さや歩く速度の遅さから、徒歩避難が間に合わなかったとみられる。
 元群馬高専准教授で建設コンサルタント会社に勤める三上幹事長は、調査結果から犠牲者全体の3分の2が自宅で被災したと推測。「津波への危機意識の低さに加え、震災が平日の日中に起きたため勤め人が自宅におらず、避難に手助けが必要な要援護者らが家に取り残されたことも大きい」と分析する。
 「お年寄りらの避難介助には限界がある。行政が住宅の高台移転を補助するなど津波災害に強いまちづくりを進めるべきだ」と話す。


2013年02月11日月曜日


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