これに加え、韓国では国内の経済政策の転換で、大企業の経営環境が大きく変わる可能性が指摘されている。李明博政権が財閥や大企業の伸長を優先し、その結果進んだ貧富格差是正(経済民主化)を朴次期大統領は強調してきた。
韓国では大統領選挙を通じて起きた「格差是正」の大合唱に突き動かされ、国会企画財政委員会は、大企業の最低限法人税率を現行より2%引き上げ16%とすることを決定。高所得者への課税減免政策の見直しも検討している。
大統領選直後、朴氏は「社会から取り残されることがないよう、(国民が)経済成長の果実を分かち合えるようにする」と発言した。
次期政権は増税せずに5年間で131兆ウォンの福祉・格差是正財源を確保するとしている。これについて韓国メディアは「事実上、富裕層の増税を意味する」(聯合ニュース)と伝えている。
韓国には、「量的緩和政策だけでデフレから脱却し、貨幣価値切り下げに成功するという保証はない」と、アベノミクスが看板倒れに終わるとの指摘もある。だが、国内の経済政策が分配重視に向かう中で、世界市場を争う隣国の経済政策が転換する可能性に脅威を覚えているのも事実だ。(ソウル 加藤達也)