大飯原発活断層調査の結論を引き延ばし批判を浴びている原子力規制委員会(田中俊一委員長)に、新たな批判が向けられている。同委員会の新安全基準検討チームの六人の外部専門家のうち四人が電力会社などから多額の寄付金を受け取っていたとして、「原子力規制を監視する市民の会」は一月一八日、東京・六本木にある原子力規制委員会を訪れ、四人の解任を求める要請書を提出した。
解任を求められたのは、同検討チームの山口彰・大阪大学大学院教授、阿部豊・筑波大学大学院教授、山本章夫・名古屋大学教授、杉山智之・独立行政法人日本原子力研究開発機構安全研究センター研究主幹。外部専門家として委嘱される前の昨年一〇月、四人が原子力規制委に提出した「透明性・中立性の確保に関する自己申告書」によると、直近三~四年間に三菱重工業や東京電力などから四人合わせて少なくとも四五〇〇万円を受け取っていた。
要請書では、原子力業界や電力会社から多額のカネを受け取っているのは重大な「利益相反」だとし、また、高速増殖炉「もんじゅ」を推進する文部科学省の原子力科学技術委員会の委員を兼任し、「規制」と「推進」の両方の立場に身を置く山口氏について「案の定、露骨に電力会社に有利な発言を繰り返しています」と批判。(1)四人を解任しメンバーを差し替える(2)原子力に批判的な専門家や福島の住民などからのヒアリングを行なう――の二点を求めた。
原子力規制委広聴広報課の佐藤暁課長は本誌の取材に対し、「電力会社などから寄付金をもらっていても、委員一人ひとりの意見を聞いて、最終的に委員会がとりまとめるので中立性を担保できると考えている」と回答。「市民の会」の杉原浩司さんは「どんな理由をつけても、彼らをメンバーにしていることで、規制委自体の信頼は失墜している」と指摘している。
(片岡伸行・編集部、1月25日号)