2013-02-10
『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』 計算通り子=絡新婦・田村麻奈美という存在が指し示すもの(笑)
俺の妹がこんなに可愛いわけがない, 時が止まるハーレムメイカーという類型, 批評:Literacy and Education principle(物語の読み方), 批評:ライトノベル
先日、海燕さんのニコ生ラジオ『海燕のゆるオタ残念教養講座』で、いつものごとく、LDさんと対談させていただいた。最初の30分ぐらいはあまり意味のないことをグダグダしゃべってしまったが、最後の30分ぐらいは、これは!というような面白い概念が出たので、メモに残しておく。ここの記事だけでは文脈がわかりづらいかもしれないが、海燕さんが録音してくれているそうなので、どこかで聞けると思うので、詳細は下記をチェックしていてくれれば。
http://ch.nicovideo.jp/cayenne3030/blomaga
さて、新しい見方は、
麻奈美さん絡新婦説
である。
・・・・・いやちがった計算通り子が指し示すメタ的主人公の攻略(=ヒロインの逆襲)だった。
一応これでメモは終わりだが、これでは、さっぱり意味不明なので、ぼくなりにまとめてみます。まずはラジオの流れで、LDさんが、まなみが物凄いラスボスかつ歴史上最強レベルの計算通り子(笑)で、超ー好きです、と力説しているところからこの物語は始まる。
まなみさんが、いかに凄い設計の設計の果てに、幼馴染としての優位性を十全に展開しきって主人公を、手のひらで転がす(=実にその時間は生まれてから10年を超える長きにわたり、、、、こえぇ、、、)&攻略をしているかは、この最新刊を見ると、その先見性、凄まじいメタ意識(笑)を見ると、背筋かご氷つくほど、の恐怖を味わえます。。。って、LDさんやルイさんは、それこそが、彼女の魅力だ!!!と息を荒くして興奮していましたが、黒猫ラブの僕としては、、、麻奈美さん、怖すぎだよ、、、、、と、背筋が今でもふるえます。。。
ラジオをしてて「絡新婦なんですよ、彼女は!」(京極堂シリーズからです)というLDさんのコメントが意外に伝わっていなかったみたいで、、、ぼくや海燕さんは一発でわかったのですが、これをかいつまんで説明すると、ようは、まなみって、幼馴染の時系列の長きにわたってずっとそばにいるという「強み」をすべて使用しつくしているんですが、特に凄いのは、たとえば、京ちゃんを落とすためには、たぶん、一度は桐野との対決が避けられないのはすでに相当前から彼女はわかっていて、それ解決するための種をいくつも準備しているんですね。京介がなぜああいう人間になったのか?、の部分をすべて幼馴染のまなみに丸投げしたために構造上そういう仕組みになったというのは客観的な意見ですが、とにもかくにも、その大きな流れ(=京介攻略)のメタ的な「読み」の中には、桐野との問題を解決させるために、黒猫と京介が付き合うのを許容しなきゃいけないんですね。というか、むしろ最後に自分の番が回ってくるように、順番的に、それを促しすらする。実際、黒猫の距離が近くなっていくと、彼女は、すっと京介と距離を置いています。。。。これが、すべて「釈迦の手の平」でなくて、、、。
LDさんがこれまで、ハーレムメイカーの系譜を追っていく中で、どうも、最初はエロゲー的視点で、
男(=主人公=自分の主観)が女の子をどう攻略するか?
が、これまでの視点だったのが、女の子が多く出すぎて、かつ能動的な意思を持つようになり、この構造が逆転現象を起こすに至っている、といっています。
女の子たちが、どのように男(=主人公)を攻略するか?
ということです。これをLDさんは、「ヒロインの逆襲」と読んでいます。この細かい具体例はLDさんの講義に譲るとして、この視点は非常に興味深いのですが、僕はこのことがよくわかりませんでした。それで、どういうことなのかな?と、、、理論的には理解できるのですが、実感的に、それの具体例の作品を僕が消費していなかったというのもあるのでしょうが、わからなかったのです。けど、このまなみ絡新婦説を聞いたときに、あっなるほど!と思いました。
それは、黒猫との対比です。精確にいえば、黒猫を僕がなぜ好きなのか?ということはよく考えていたので(笑)でよくわかったのです。というかそのことが言語化できました。黒猫は、とても頭のいいヒロインです。というのは、自分が告白して彼氏彼女になって、ラブコメ・ヒロインとしては絶頂の時に、、、、しかも自分も恋愛初心者で、京介が好きすぎて翻弄されている感情の渦の中で、いきなり京介を振るのです。これって、実はものすごいメタ的な振る舞いなんですよ。細かいのは僕も見て書いていないのでおかしなところがあるかもしれませんが、大筋では、黒猫は、最後に、桐野と京介と自分が幸せそうにご飯を食べているシーンが彼女の最後の夢で、という未来予測に基づいて、京介を振るわけです。・・・・マーケティングで、最強の二輪で米国市場を制覇していたのに、未来の予測をもとにそれ絵を振り捨てて四輪に突入したホンダみたいな、信じられない、一手です。まだ起きてもないことを、予測(=本当に起きるかどうかも不確かなもの)をもとに、自らの優位性をすべて放棄するわけですから!。ようは、桐野との関係性に、ちゃんとしたエンドが打たれないと、絶対どこかで桐野のが出てきて、京介を奪われてしまうことがはっきり予測できているわけです。これって、メタ的には、二手も三手も、凄い先を読んでいる行為です。こんな頭のいいヒロイン、、、頭がいいだけではなく、それを感情に翻弄されながら有頂天にならずに、行動に移せる!というのが凄く新しく、素晴らしいヒロインです。とてもメタ的な思考の持ち主であるのがわかるでしょうか?。この俺妹の物語の主軸は、妹である桐野と京介の物語であり、このドラマトゥルギーを解決した「後で」いってを撃たない限り、黒猫のようなサブヒロインには、京介を攻略するチャンスがあり得ないのです。それを、すべて読み切ったうえで、噛ませ犬的な、桐野への気持ちに気づくきっかけとして物語に構造上は黒猫との付き合いイベントは発生しています。ちなみに、それを意図しているのは、、、まなみです、、、こえぇ、、、、。いやまぁ、意思しているわけではないかもしれないですが、見越して促しているのは事実、、、、。そのかませ犬的なエピソードを、自分のエンドに持ってくるために、このエンドに行くには、大きな課題があるよね、と自ら意思的に京介をふって話の構造を変えるのです。
これって京介が持っている人格の本質から、ヒーローになりたかった、そしてそれと関連する妹桐野との関係という、いままでのハーレムメイカーで言えば女の子が男の子を好きになってしまうきっかけである「トラウマ」であり物語のドラマトゥルギーを、攻略者としてターゲットに据えて、黒猫が、狙い撃ちに主体的にそこに揺さぶりをかけていることになります。これって、まさに、攻守が逆転したいます。京介が、黒猫を攻略しているのではなくて、はっきりと逆転構造になっています。これが、自覚したヒロインの逆襲構造か!と感心しました。
この最も良い対比が、あやせです。
あやせって、めっちゃめちゃかわいいなーと僕は見てて思うのですが、なんでか上手く説明できなかったんですが、ラジオで、あやせって20年前の古典的ヒロインなんだよーといわれて、なるほど!と凄いっ腑に落ちました。というのは、あやせって、自分が思通りならなくて、すぐキれるでしょう?あれ何で怒っているかというと、20年前くらいの古典的ラブコメヒロインだったら、まずそれって王道のヒロインルートで発生する出来事があやせのもとには発生しているんですよ。けれども、彼女って、決してバカではないんだけれども、要はヒロインとしては意識が凄くレベルが低くて、1−2手先しか読んでいないんですね。このヒロインの逆襲時代は、凄まじい数の様々な主人公(=男)との関係性を持っているヒロインが、所狭しと攻略を繰り広げる戦国恋愛絵巻であり、そのすべての構造を読み切って、単純なヒロインとしての「うれしい出来事」を自らの最終的利益のために犠牲にする強い意志と覚悟と戦略性がなければ、主人公(=男)は攻略できずに、設定ヒロイン(=ここでは桐野)にもっていかれるのです。けど、凄まじい競争のサバイバル環境にいるという自覚が、あやせにはまるでない。だから、通常のラブコメヒロインであったら、こうなるだろうという予測がすぐはずれるので、なぜ???って怒り出す。。。。
・・・そう、そこがかわいすぎるんですよ!!!あやせ!(バカすぎて、、、、(苦笑))
黒猫の戦略性と比較すれば、いかにあやせが何も考えてないかがわかります(笑)。そうかーなるほど、この先が見えてないちょっと抜けているところが、逆に言うと、あやせのかわいさであり、魅力なんだなーと思ったんですが、、、ようは、それでは、このハーレムメイカー以後のヒロイン逆襲時代を経た、大戦国恋愛絵巻では、絶対に勝てないのですよ(笑)。
さてさて、このように古典的なヒロインであるあやせの行動と比較すると、黒猫の戦略性は、光ります。ああ、ここが僕は好きになったんだなー(←僕は頭のいい女の子が好きです)と思ったんですが、それだけではなくて、黒猫って、頭ではこのことに気づいて行動するんですが、そもそも恋愛は初心ですし、相当奥手のタイプなんで、自分の決断と行動に、いちいち20年前のラブコメヒロインのような反応をしてしまうんですよね。ようは、頭に比較して、経験が圧倒的に不足しているので、物凄く翻弄される。もうっ、、、黒猫とのおつきあいの始まりのシーンとか、僕はもう悶えて悶えて、黒猫が好きすぎて生きるのが苦しかったです(笑)。僕は基本的に頭のいい子が、背伸びするんだけど経験が追いつかなくて、、というのが大好きで、、、って何言ってるんだ、おれ、、、こほん、、、しかしながら、黒猫が素晴らしいのは、そういった感情や経験不足によることにいっぱいいっぱいになりながらも、本当に大事なこと(=メタ的な戦略意識)を忘れず、意思して、決断して、行動に出るんですよね。ああ、、なんてけなげな、、、と、再度、また僕は惚れ直してしまいました。
・・・・・・という視点から見ると、何十手も先を読む黒猫すらも、、、
あの人には勝てない
と言わしめる田村麻奈美。彼女は、八チワンダイバーのごとくに、より深く深くダイブしています。黒猫があり得ないような何十手先を読むのならば、彼女はその先の50手以上先を読み切って、しかも、幼馴染の特権で過去すらも自分の手で支配しています、、、、やっぱ、こえぇよー(笑)。・・・・さて、わかってきたのではないかと思うのですが、、、、こうした、麻奈美や黒猫は、LDさんがいう計算通り子というヒロイン類型で、非常に計算高くさまざまなことを考え抜いて、一手を打つタイプなんですよね。それが、ハーレムメイカーの進化系である「ヒロインの逆襲」という、メタ的な構造の器の中で、
1)主人公の抱えるトラウマ・ドラマトゥルギーの解決を意識してメタ的に解決・救済に手を貸す
2)複数のヒロイン(=特にメインヒロイン)を出し抜いて最終的に自分とのエンドルートにドラマを導く
という特徴を備えているのではないか?という仮説が機能出たわけです。さすが、俺妹すげぇ、レベルだぜ!と。最前線だ!。
少し蛇足ですが、昨日twitterで内田さんと、小説家になろうの最近僕の一押しの『盾の勇者の成り上がり』の主人公が、いわゆる鈍感系の典型なんだけれども、という話をしました。
http://ncode.syosetu.com/n3009bk/
鈍感系は、ハーレムメイカー的構造では、たくさんの女の子に言い寄られながら、一人は選ばない!という寸止め構造を採用しないと、どうしても物語が進んで行ってしまうので、主人公の男は鈍感にならざるを得ない、という構造です。それまでは、どちらかというと鈍感に根拠がなかったんですが、、、、最近の作品は、この鈍感さに根拠を求めるようになってきて、この盾の勇者は、ラフタリアという自分が助けた少女にめっちゃくちゃ愛されているのですがさっぱり手は出さないし、意識しないのですが、その理由は、読めばすぐわかるのですが、非常によく設定されて物語られています。この主人公は、極度の女性不振になっているんですが、それにいたるエピソードが話の本質を結び付いていて、よくわかる。なので、ハーレムになっても、この主人公が鈍感であるのには、極粉根拠があるのですわりがいいのです。ちなみに、この仕組みがいいのは、話を進める時になれば、その主人公のトラウマ・ミクロのドラマトゥルギーを展開させて、それを救済、解決に持っていく話を作れば、話がはっきり進むということです。この構造が、男が女のを攻略するのではなくて、はっきりと男の子のトラウマを女の子が救済する形式に転換しているところが、新しいというか時代的なものだといえるでしょう。
とりあえず、新しい仮説だったので、おもしろきので、無理に時間をねん出して、メモしておきますー。
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