春節 関係悪化で中国人旅行者減少か2月10日 20時28分
10日から中国の旧正月の「春節」が始まりましたが、この休暇に合わせて日本を訪れる中国人旅行者の数は、沖縄県の尖閣諸島を巡り、日中関係が悪化した影響で、減少するとみられています。
日本政府観光局によりますと、日本を訪れた中国人旅行者の数は、東日本大震災の前の年に当たる平成22年と比べると、去年10月がマイナス34.5%、11月がマイナス24%、12月がマイナス13.4%となっています。
これは、政府が、去年9月、沖縄県の尖閣諸島を国有化したあと、日中関係が急速に悪化した影響を受けたもので、10日からの春節に合わせた中国からの旅行者数も、減少傾向は続くとみられています。
日本への中国人旅行者を主な顧客としてきた東京・豊島区の旅行会社では、去年のこの時期には、中国人旅行者のうち、団体旅行が3割を占めていましたが、ことしは、団体客の取り扱いは、ほぼゼロだということです。
一方で、個人旅行で訪れる中国人の数は、半分程度まで回復しているということで、この旅行会社の顧問の王一仁さんは「円安もあり、日本に来るにはいいチャンスですし、日本と中国には早く和解してもらいたい」と話していました。
秋葉原でも中国人観光客減少
中国人観光客が多く訪れている東京・秋葉原でも、日中関係が悪化した去年秋以降、団体旅行を中心に観光客が少なくなっているということです。10日午前中、東京・秋葉原では、大型のバスが家電などを扱う店の前に数台止まり、日本を訪れた中国人観光客が店内で買い物をする姿などが見られました。ただ、地元の免税店によりますと、日中関係が悪化した去年秋以降、団体旅行を中心に、中国人観光客の数は、大幅に減っているということです。
また、秋葉原にあるメイドカフェでは、ここ数年、中国人の団体客がよく訪れるようになったとして、去年の秋、メニューに中国語の表記を加えましたが、このところは、中国人観光客の姿を見ることは少なくなったということです。メイドカフェを運営する会社の代表を務める深沢孝樹さんは「日本と中国の関係が回復して、中国の方に、秋葉原にもっと足を運んでもらいたい」と話していました。【個人客や東南アジアの観光客に力を入れる】日中関係の悪化で団体客を中心に落ち込むなか、東京のデパートなどでは、個人の旅行者や、東南アジアからの観光客の呼び込みに力を入れています。
このうち、「小田急グループ」は、拠点となる東京・新宿駅に併設したビルの広場に、伝統工芸品や箸、巾着袋などを販売するみやげ物店を初めて設けました。
周辺では、着物姿の芸者が踊りを披露して観光客を歓迎していたほか、鉄道で箱根などに向かう観光客に対して、デパートや観光地の施設で割り引きを受けられる優待券を配って利用を呼びかけました。
国内のデパートなどでは、ここ数年、「春節」に合わせた中国人観光客向けの商戦に力を入れてきましたが、ことしは中国人の旅行者数が落ち込んでいることを受け、団体客に比べて回復傾向にある個人旅行者や、中国と同じように休日となる東南アジアからの観光客の呼び込みに力を入れています。
中国から個人旅行で訪れた女性は「政治の問題は切り離して考えているので、日本での買い物や観光を楽しみたい」と話していました。
小田急電鉄の藤田雄介さんは「円安で日本への旅行需要が増えると期待しているが、東南アジアへの売り込みも強化していきたい」と話していました。
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