麻生財務相発言受け円が上昇、ユーロは前日のECB総裁発言で下落
[ニューヨーク 8日 ロイター] 8日終盤のニューヨーク外国為替市場では、円がドルとユーロに対して上昇した。麻生太郎財務相がこのところの急速な円の動きに言及したことで、今後任命される次期日銀総裁が積極的な緩和策を進められるのか疑問が浮上したことが背景。
麻生財務相は8日の衆議院予算委員会で、「為替がわれわれの意図しないぐらいに78円とか79円とかだったのが、いきなり90円なんてことになったのだと思っている」と発言。これを受け、6日の取引で対ユーロで2010年4月以来、対ドルで同年5月以来の安値に下落していた円が買い戻された。
さらに、積極的な緩和策を支持する人物を次の日銀総裁に推す安倍晋三首相の意図に対し、閣内、および財務官僚の中から反対の声が上がっているとのロイターの報道も、円買いを後押しした。
市場では、円は向こう数週間は、次期日銀総裁人事に関するニュースに左右される可能性が高いとの見方が出ている。
麻生財務相の発言について、ソシエテ・ジェネラルの外為ストラテジスト、キット・ジュックス氏は、15─16日にモスクワで開かれる20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議を控え、日本のデフレ対策への非難から注意をそらそうとした可能性もあると指摘。また、単に質問に答えただけだが、中国の春節(旧正月)を前に円相場の調整を引き起こしてしまった可能性もあると述べた。
ユーロ/円は一時123.40円まで下落。終盤の取引では1.2%安の123.98円となっている。
ドル/円は92.15円まで下落。終盤の取引では0.9%安の92.78円。
ユーロは前日の欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁の発言を受け、引き続き下落。ユーロ/ドルは一時、1月25日以来の安値となる1.3352ドルまで下落。その後はやや下げ幅を縮小し、終盤の取引では0.2%安の1.3364ドルとなっている。 続く...
本格的な円安効果、来期以降に
円安の恩恵を先取りする形で株式相場は上昇基調を強めるが、「実際に業績に反映されるのは来期以降」との見方が優勢だ。
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