遠隔操作 派遣先のパソコンで書き込みか2月11日 5時32分
パソコンの遠隔操作事件で、威力業務妨害の疑いで逮捕された男が働いていた会社のパソコンから、発信元の特定を難しくする特殊なソフトが何度も使われた形跡が残っていたことが捜査関係者への取材で分かりました。警視庁などは、男が会社から犯行予告を書き込んでいた疑いがあるとみて接続記録などを調べています。男は容疑を否認しているということです。
4人の男性が誤って逮捕された遠隔操作事件で、警視庁などの合同捜査本部は、東京・江東区のインターネット関連会社社員、片山祐輔容疑者(30)が、去年8月、インターネットの掲示板に漫画のイベントでの大量殺人の犯行予告を書き込んだとして、10日、威力業務妨害の疑いで逮捕しました。調べに対して片山容疑者は「全く身に覚えがない」と容疑を否認しているということです。
片山容疑者は去年9月までのおよそ半年間、勤め先から東京・港区にあるインターネットの関連会社に派遣されていて、警視庁などが派遣先のパソコンの接続記録などを調べたところ、この期間に、遠隔操作事件でも使われた発信元の特定を難しくする「Tor」という特殊なソフトが何度も使われた形跡が残っていたことが分かりました。
真犯人とみられる人物は犯行声明のメールの中で、去年9月までの3か月間に13件の犯行予告を遠隔操作で書き込んだと明かしています。
警視庁などは、10日、この会社を捜索してパソコンなどを押収し、片山容疑者が派遣先の会社から犯行予告を書き込んでいた疑いがあるとみて接続記録などを調べています。
“まじめで特にトラブルなかった”
片山容疑者は地元の区立小学校に通ったあと、都内の私立中学・高校に進み平成13年に卒業しました。その後、コンピューター技術などを学ぶ都内の専門学校に通っていたということです。
片山容疑者は専門学校に通っていた平成17年、インターネット上の掲示板に「仙台市の小学生を殺す」という殺害予告を書き込んだほか、大手レコード会社を名指しして「ネコのキャラクターの使用を中止しなければ社員を殺害する」と書き込んだなどとして逮捕されていました。片山容疑者は、一連の事件で脅迫などの4つの罪で起訴され、翌年の3月懲役1年6か月の実刑判決を受けました。
片山容疑者が勤めている東京・品川区のインターネット関連会社によりますと、片山容疑者は5年前の平成20年に入社し、プログラムの開発を担当していたということです。
プログラマーとして取引先に派遣されることが多く、遠隔操作によって犯行予行が書き込まれた去年9月までのおよそ半年間は、今回、警視庁などの捜索を受けた東京・港区のコンピューター関連会社に派遣されていたということです。また、健康上の理由で、去年12月初旬から会社を休んでいて、12日から復帰する予定だったということです。
片山容疑者について会社の社長は「勤務態度はまじめで、特にトラブルはなかった。プログラミングなど好きな分野にはとことん打ち込むが、興味のない分野の仕事はやらないタイプだった。社員が逮捕されたことについておわびしたい」と話していました。
“真犯人なら許せない”
遠隔操作ウイルスに感染したパソコンから犯行予告が書き込まれた事件で、誤認逮捕された三重県津市の男性の父親(57)は「容疑者がもし真犯人であれば、無関係の人を巻き込んだ今回の犯行は人として許せない。インターネットを使った犯罪はこれからも起きると思うので、警察は時代にあった捜査手法を取り入れていってほしい」と話していました。
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