男性４人が誤認逮捕されたパソコン遠隔操作事件に絡み、警視庁、大阪府警、神奈川、三重両県警の合同捜査本部は１０日、名古屋市内の会社のパソコンを遠隔操作して殺人予告の書き込みをしたとして東京都江東区白河、ＩＴ関連会社社員片山祐輔容疑者（３０）を威力業務妨害容疑で逮捕した。
片山容疑者は調べに対し「全く事実ではありません」と容疑を否認している。
一連の事件では、男子大学生を含む無関係の男性４人が誤認逮捕され、報道機関などに犯行声明メールが送られた。捜査本部は片山容疑者が関与しているとみて調べを進める。
発表によると、片山容疑者は昨年８月、江東区で開かれた漫画イベントを妨害しようと計画。同月９日午前１０時４０分頃、遠隔操作型ウイルス「ｉｅｓｙｓ（アイシス）．ｅｘｅ」に感染した名古屋市内の会社のパソコンを操作し、インターネット掲示板「２ちゃんねる」に「マジで大量殺人する。ナイフで無差別に刺す」などと書き込み、主催者側に警備をさせるなどして業務を妨害した疑い。
名古屋の事件は、昨年１０月、報道機関などに届いた一連の事件の犯行声明メールの中で「自分が真犯人」として示した１３件のうちの１件だったが、それまで公表されていなかった。
一連の事件では匿名化ソフト「Ｔｏｒ」が使われていることなどから捜査が難航したが、先月５日に報道機関などに届いた「真犯人」メールの内容に沿って捜査本部が神奈川県・江の島を捜索。アイシスのデータが入った記録媒体を首輪に取り付けた猫を発見した。
記録媒体にはウイルスの設計図にあたるソースコードが残されていることも判明。解析の結果、名古屋市内の会社のパソコンに残されていたアイシスと一致した。このパソコンは、Ｔｏｒを経ずに不正操作されていた。
また、江の島の防犯カメラには猫に首輪を付ける様子が映っており、その場を去ったオートバイの通行記録などから片山容疑者が特定された。片山容疑者が以前使っていた携帯電話には一時、首輪を巻いた猫の画像が保存されたという。