大津・中2自殺:大津市長「第三者委提言、いじめ対策に反映を」 国に遺族と要望へ

毎日新聞 2013年02月04日 大阪夕刊

 大津市で11年10月、市立中学2年の男子生徒が自殺した問題で、越直美市長は4日、週内にも生徒の遺族とともに文部科学省を訪れ、市の第三者調査委員会が出した調査報告書の提言を、国のいじめ対策に反映するよう求める方針を固めた。

 遺族側が市長らに損害賠償を求めた民事訴訟では原告と被告に立場が分かれているが、いじめ対策の拡充を求める立場は同じとして互いに協力することを決めた。

 第三者委の報告書は、教師以外のいじめ救済窓口の設置といった「二重三重の救済システムの整備」など多くの再発防止策を盛り込んだ。越市長はこうした提言に加え、今回の対応で自ら直面した教育委員会制度の問題点と改善案も説明する。

 遺族は、学校の意向に沿う形で自殺原因の情報操作に関わっているのではないかと報告書で指摘されたスクールカウンセラーのあり方などについても意見を伝える方針。【千葉紀和】

 ◇「教員人事権、移管を」大津市長、嘉田知事に報告書

 越市長は4日、滋賀県庁で嘉田由紀子知事に、第三者調査委がまとめた報告書を手渡した。「報告書は処分が目的ではないが、教員の処分の有無を検討していただきたい」と述べ、教員の人事権移管も求めた。

 越市長と嘉田知事、河原恵・県教育長は約20分、公開で面談した後、非公開の協議を続けた。越市長は報告書を踏まえ、スクールカウンセラーの中立性確保と、養護教員などの増員を県に要望。「(同中学の)先生を代えるべきか議論したいが、市には権限がない」と述べた。嘉田知事は「報告書に沿える形で努力したい」と応じた。

 報告書は同校からスクールカウンセラーを通じて男子生徒の家庭問題に関する情報が市教委に漏れ、事実解明が阻害されたと指摘。校長の指揮下で生徒指導の教員の「下請け機関化」しているのが実態とし、独立性の強化が喫緊の課題と指摘している。【加藤明子】

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