この『Never7』は、DC用ゲームとして2000年12月21日に発売されたものですが、PS用ゲーム『Infinity』がベースとなっているようです(詳細はよく知りません)。
なお、Windows版は基本的に通信販売のみで供給されており、一般店頭販売は行われていません。KIDのPCゲームは基本的に店頭販売を行わないようですが、これには何か意図があるのでしょうかね。私にはよくわからないのですが。
※このゲームは、年齢制限のない一般ゲームです。
この『Never7』は、DC用ゲームとして2000年12月21日に発売されたものですが、PS用ゲーム『Infinity』がベースとなっているようです(詳細はよく知りません)。
なお、Windows版は基本的に通信販売のみで供給されており、一般店頭販売は行われていません。KIDのPCゲームは基本的に店頭販売を行わないようですが、これには何か意図があるのでしょうかね。私にはよくわからないのですが。
※このゲームは、年齢制限のない一般ゲームです。
大学生である主人公・石原誠(変更不可)は、ゼミ合宿の最初の晩である4月1日に、6日に誰かが死ぬという悪夢を見る。すると突然、ゼミの班長である優夏が血相を変えて自分の寝室に飛び込んできて「どうして…」とひとりごちる。何がなんだかわからないまま始まったゼミ合宿だが、サボリの常習犯であった主人公はゼミの目的はおろかゼミ生とは全員初対面であるため、南海の孤島でそれなりに楽しく日々を過ごす。しかし、夢の中に出てきた「鈴」がときおり彼を悩ませることになる。そして起こる不可解な現象。主人公はタイムリミットである6日をどう迎えるのだろうか。
シナリオ担当は、打越鋼太郎氏。
序盤の数日間で各ヒロインが決定し(決定せずにバッドエンドというパターンはありません)、以後はそのヒロインベースのシナリオが展開します。攻略対象となるヒロインは5人となっています。
ストーリーの大きな流れは、おそらくゲーム開始直後にある程度把握できるでしょう。どのシナリオでも基本的な設定は一応共通している(ことになっています。実際には細かい、あるいは細かくない相違あるいは矛盾がありますが)ため、展開をみせる叙述がこのゲームの“見せ所”となっていきます。いわば、謎の所在、およびそれの解決が根幹に据えられているわけです。
各ヒロインごとのシナリオ/設定は完全に独立しているわけではなく、最初に登場する優夏にはじまり、総括するいずみに至ってまとまるようになっています。しかし実際にはこの2人のシナリオだけ見れば全体を把握できてしまうのであって、遙シナリオなど必要性がまるで感じられないのは困ったところ(遙というキャラクターが必要ないというのではありません、念のため)。各シナリオ間で示される情報の粗密の差が大きすぎるうえ、叙述形式がどのシナリオでも同様の“二重方式”を採用しているため、リプレイしているうちにかなり退屈になってくることが考えられます。一応“1回目では悲劇から救うことができなかったが2回目ではヒロインを助けることができる”というスタイルによって「ハッピーエンド」を盛り上げるという面もあるのですが、何度も同じ仕掛けを見せられるため、2回目以降はダレてきます。
それぞれのシナリオ間での設定には少なからぬブレがあり、各シナリオの「内部」で重要な部分がほかのシナリオに任されているケースなどが多く、このためにシナリオのウェイトがまるで違ってしまうのは前述のとおりですが、その結果プレイヤーは「シナリオを進めるたびに、各キャラクターに与えていた情報を少しずつ書き換えていく」ことになります。このため、各キャラクターの萌え要素はかなり薄味になっており、プレイヤーを引き込む力の弱さにつながっているように思えます。
その一方で、いっけん無造作に出てくる選択肢群のうちいくつかについては、それをプレイヤーに突きつけることそのものが後の展開への伏線となっているなど、なかなかうまく作っていると思えたところもあります。いずみシナリオで、それまでに(漠然と)組み上げられてきた各キャラクター間の相関図を逆手に取ったストーリーテリングはなかなか巧妙でした。もっとも、マルチシナリオのゲームというデザインをうまく活用した結果というわけではなく、シナリオの積み上げ方の妙によるに過ぎないので、読む人によってはこの“転回”は全体の破綻につながると受け止めるかもしれませんが。
叙述自体は、主人公の視点をベースとしながらも、その時点で主人公が把握している情報がプレイヤーに伝わりやすい形で出されており、このため情報をめぐる混乱が生じにくくなっています。話がややこしくなるところも多いのですが、そうなる個所ではおおむねそれなりの説明が(各シナリオごとに)ポイントとなっているキャラクターを介して行われるので、キャラクターが暴走することはありません。また主人公の心理ベースの説明もほとんどなく(焦燥感や使命感程度のものはありますが、直接物語を動かすものにはなっていません)、このため“主体的な行動”に引っ張り回されることがないため、安心できます。
ただし、謎解きのやり方自体は、あまりワクワクさせられることも、またおもしろみを残すこともありませんでした。
「鈴」などの小道具の使い方に工夫が足りない点が物足りない点もさることながら、「シュレーディンガーの猫」「ラプラスの悪魔」といったフレーズが単なる“キーワード”に過ぎず、それをストーリーの中できちんと突き詰めていない点が、かえすがえすも残念。心理学と量子力学とをむりやりつなげて(融合させてはいません)事象を説明するためのことわざのように引き出しているだけで、いわば問題解決にあたって「解の公式を適用」といった観が拭えません。
をベースに物語の核をつくり、あとはそれに肉付けしていったというのがハッキリとプレイヤーに見えてしまうのはよろしくないでしょう。この結果、最後の最後における主人公の“運命”についても、それを明確にしないままで幕を閉じていますが、その不明確さが余韻を残すというよりは、曖昧模糊のまま片づけられた印象が拭えません(これは矛盾を残しているというよりはむしろ、 認識のズレの顕現を敢えて伏せたという意味で)。ただし、ピグマリオン効果に触れないで進めるのはどうかなぁ、と思ったのは私だけでしょうか(^^;
なお“ヒロインとのラブストーリー”という点では、期待しないほうがいいでしょう。前述のとおり萌え要素がやや弱いうえ、主人公とヒロインとが相互に惹かれる部分の記述はかなり弱いものにとどまっています。むしろ、惹かれるようになったことを前提としたうえで話が進んでいる、とみるべきでしょう。キャラクターは、それぞれ極度に行動がデフォルメされている点で、この種のゲームの王道をいっている……といえるのかな。
ゲームのセーブが正常に行われないなど、セーブ&ロード時に異常が発生することがあるようです。KIDのWebサイトにて修正ファイルが公開されています。
ありそうな感じもするのですが、存在を確認していません。
対応OSはWindows95/98/Me/2000ですが、WindowsXPでも問題なく動きました。
CD-ROM3枚組で、フルインストールの場合に必要なHDD容量は約840MBです。プレイの際にはCD-ROMは必須ではありませんが、CD-ROMがない場合、フルインストールでもBGMが鳴りません。
ゲーム操作は、マウス・キーボードのいずれも可能です。
画面は、800×600表示とフルスクリーンとを切り替え可能です。画面を右クリックすることで「ファイルメニュー(セーブ・ロード・設定)」「画面モード変更」「描画モード変更」「フォント変更」「次の選択肢までスキップ(未読・既読の区別なし)」「ウィンドウ消去」「タイトルに戻る」が可能です。ユーザーインタフェースはかなり優秀な部類に入ると思いますが、似たようなシチュエーションを何度も見せられることを思えば、スキップでの既読/未読の区別はつけてほしかったところ。メッセージ速度表示の切り替えはできませんが、読み返しは「PageUp」キーで可能です。
セーブ・ロードは任意の位置で100個所まで可能となっており、各セーブポイントにはどのキャラを狙っている(笑)ときのデータかを記録するキャラ別のスタンプを残すことができ、またプレイ中のシーン名称、ゲーム中の日付、プレイ時の実日時が記録されます。
イベントCGの閲覧モードは、各ヒロインごとにサムネイル表示されます。また各ヒロインごとのイベントを日付単位でリプレイできる「ショートカット」、追加シナリオである「アペンドストーリー」が用意されています。
サウンド担当は「阿保剛」氏で、PCM再生されます。BGMのバリエーションは割と多めなのですが、どうも“どこかで聞いたことのあるような曲”が多く並んでいるような印象で、また各シーンを盛り上げるにはやや力不足といった印象があります。
音声は、主人公以外フルボイスとなっており、演技はかなり高い水準のものと思います。
キャラクターデザイン担当は影崎夕那氏。主人公との距離に応じて立ちキャラの大きさが変化するのは楽しいのですが、どうも表情に“作り物”らしい不自然さが感じられます。一枚絵、特に暗めのCGはなかなかいいのですが、明るいシーンではやや歪みが目立った印象があります。
遙かな。シナリオはどうしようもないシロモノですが、逆にいえばどのシナリオにおいても損な役回りを押しつけられている観がありますし。まあ晴彦がもっと損だと言われてしまえればそれまでですが、ああいうのは視界のソトに追い出しましょう(笑)
全体的なまとまりの悪さと、各シナリオを通じた“クリエイターの意気込み”の双方とのバランスが微妙なところで共存しているという印象があります。
キャラクターが物語を作るといったゲームにはなり得ていませんし、また設定を掘り下げて独自のものを提示しようといった試みもうまくいってはいません。どちらかといえば、設定の持ち出し方や組み合わせ方そのものを楽しみたいというプレイヤーに向いているように思います。
文学の分野では比較的見慣れた手法をあえてアドベンチャーゲームという形式に適用した意図は、正直なところよくわかりません。もう少し各キャラクターごとに掘り下げるなり、それぞれの設定を突き詰めるなりしたほうが、プレイ後の印象をより強いものにしたと思うのですが、手法に溺れた観がある作品に留まっています。