虚構の環:第1部・再処理撤退阻む壁/1(その1) 青森・六ケ所村、「再処理堅持」の意見書
毎日新聞 2013年02月02日 東京朝刊
意見書は後日、政府のエネルギー・環境会議に届いた。民主党の方針通り閣議決定すれば、使用済み核燃料は行き場を失う。2月に英国から返還予定の高レベル放射性廃棄物も陸揚げできない。エネ環会議事務局の関係者が振り返る。「国際問題になりかねない。意見書は猛烈に効いた」
昨年9月14日、エネ環会議は「再処理継続」と決めた。「見直す」とする党の方針はわずか8日で覆った。
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核燃サイクルは資源に乏しい日本が「準国産エネルギー」を目指し60年代後半から具体化させた。しかし再処理工場の完成は19回延期され、再処理後の燃料を使うはずの高速増殖原型炉「もんじゅ」がトラブルで停止したままで、循環(サイクル)は「完成のめどの立たない虚構」(電力会社首脳)だ。にもかかわらず撤退できないのはなぜか。第1部は政策転換を阻む壁に迫る。