私的ブランドイメージ

 
 ブランドイメージといった場合、どんなページでも大なり小なり語られているものと思います。しかし、当然ながら、各人によって、プレイした本数、あるいは「最近のゲームに限定した場合の評価」「古くからプレイしている評価」などによって、相当のバラツキが出てきます。客観性をもたせる評価をしようとすれば、自分自身の判断を置いておき、他者の反応をまんべんなく見る方が建設的なのでしょう。
 そんな「反応」の一助になるかどうかはまったく自身がありませんが、私自身のプレイ経験も含め、個人的に抱いている「ブランドイメージ」がこういうものである、ということを述べさせていただきます。なお、ブランドイメージを示す「☆」は、一つから五つまでに分けています。

 「ブランド」といった場合、メインとなるブランドの下に多くの子ブランドがある場合などもあって、まとめるのがなかなかにやっかいなのですが、そのあたりはケースバイケースということで(^^;)
 なお、原則として、私自身が「二本以上のゲームをプレイしている」ことを前提としますが、「特に注目すべき」と感じているブランドについては、一本しかプレイしていないものも含めています。これらのソフトハウスは、青字で記しています。

・アイル ☆☆
(プレイ済みゲーム:デュアルソウル、脅迫)

 グラフィックとユーザーインターフェースの良さは確かだが、ゲームのテーマがどうにも見えない。なかなかの良策と判断している『デュアルソウル』以降、どうにも方向性が見えてこない。単に「陵辱ゲームに特化」しただけというのなら、それでも良いのだが、迷走飛行しているように思えてならない。

・アクアリウム(含・風露、メイフルハウス・かれん) ☆☆
(プレイ済みゲーム:Dice Kiss、宵桜、春風少女、螢舞う夜)

 やはりユーザーインターフェースは悪くないものの、質のムラが極端すぎて、安心してプレイすることが到底できない。リリースの間隔が開発能力以上に短くなっているのではないか、という気さえする。『春風少女』レベルのものをコンスタントに出せるのであれば、もっと評価は上になるのだが。

・アクティブ ☆☆☆
(プレイ済みゲーム:くすり指の教科書、同2、Angel Halo、恋のフローティングマインなど)

 これまたユーザーインターフェースは問題ないとして、ベタ恋愛系でのパワーがやや弱っている感じがある。『くすり指』のイメージが強いせいもあるだろうが、この路線で差異化を図るのが良さそうに見える。一方、シリアス系に関しては、『Angel Halo』しかプレイしていないので、敢えてコメントは避ける。

・アセンブラージュ(含・ぷち、Euphony Production、Ather、CureCube) ☆☆☆☆
(プレイ済みゲーム:Graffiti、メタドールAI、はぷにんぐJOURNEY、冬虫夏草、My Friends、CampuSなど)

 エフアンドシーが「絵で萌えさせる」なら、ここは声で萌えさせるというべきか。おそらくXゲーム界随一の声優陣に支えられた演技で引き立てる技は『はぷにんぐJOURNEY』で結実し、そしてまた、『痕』の手法を模倣「できた」『冬虫夏草』でも「基本をおさえる」力を見せてくれた。しかしこれ以降は、「無難」を超えた冒険が一切感じられない。『My Friends』なども悪くはないが、過去のヒロインの方が立っているということ自体後ろ向きではないのか。昨年夏の時点では、成長期待最有力ブランドだったのが…。ただ、独自色の濃い『CampuS』では、かなりシナリオ面で踏み込んでいる気配を感じるし、また『冬虫夏草』系と思われる「ぷちX」ブランドの新作も出ていないので、評価を下げることはしない。もう少し見守りたい。

・アリスソフト ☆☆☆
(プレイ済みゲーム:鬼畜王ランス、ランス3、闘神都市2、かえるにょ=ぱにょ〜ん、アトラク=ナクア、AmbivalenZ、DiaboLiQue、ぱすてるチャイムなど)

 独特のノリを残しているソフトハウス…と思っているが、自分の「カラー」をどう活かすべきかに迷いを感じる。『鬼畜王』というスーパーヒット以降、このソフトハウスでないと出なかったと思われる作品を目にしていないのが現実。過去の遺産による名声が支えているというのが現状ではなかろうか。『王道勇者』など、不人気作品の廉価版発売という奇策も、将来を考えると非常に心細いものがある。しかし、『アトラク=ナクア』に見受けられるとおり、シナリオを作り上げるだけの地力は十分以上にあると思う。老舗ゆえ、ブレイクスルーに時間が掛かるのはわかるのだが…。

・エフアンドシー ☆☆
(プレイ済みゲーム:バーチャコール、同2・2.2・3、PALETTE、きゃんバニリミテッド、同プルミエール2、Piaキャロットへようこそ、同2、With Youなど)

 キャラクター描写に「ステレオタイプ」を上手く埋め込んでおり、商業ベースでは堅実といえる。また、グラフィックについてもアドバンテージが揺らぐことは考えにくい。このため安定感こそあれど、冒険的な手法が見事に欠落しているという印象も否定できない。結局、プレイヤーサイドの際限ない「消費」に依存しているだけのように見える。キャラクターにも個性というものがあまり感じられず、個人的には、印象に強く残っているキャラの大多数は、シナリオ面でのまずさによる同情イメージによって印象づけられているに過ぎない。例えばサワディに匹敵するような、新しい記号を帯びうるキャラクターを創出して欲しいものだ。

・シーズウェア ☆
(プレイ済みゲーム:DIVI-DEAD、Re-leaf)

 作品以前の問題として、バグへの対処は企業倫理レベルで不信感を抱かせるものだ。所詮は趣味の領域ゆえ、声を荒立てるのも大人げないのは確かだが、開き直られてはたまったものではない。シナリオ面での実力はそれなりのものがあるが、システム的に問題が多すぎ、注目するソフトハウスにはできない。

・ジャスト(含・ティアラ) ☆
(プレイ済みゲーム:天使たちの微笑み、さくらの季節、黄昏の境界、十六夜)

 ここも方向性がさっぱり見えない。ただ、プログラムに関しては非常に問題が多いと思うので、もっと快適にプレイ可能なシロモノを作って欲しいもの。

・ジャニス ☆☆☆
(プレイ済みゲーム:卒業旅行、卒業写真2、星のささやき、とらいあんぐるハート)

 バグを除けばブランドとしての統一感がまるでないのだが、シナリオ面で最低限の条件をきちんとクリアしており、また堅実さと新しさとを両立させうるソフトハウスと感じる。ただ、マニア受けの濃いタイプのゲームに走っているようにも見えるので、若干の懸念はある。

・ソルシエール ☆
(プレイ済みゲーム:TAXI幻夢譚、火焔祭、GRAY JUDGE)

 『TAXI幻夢譚』は、なかなか面白うございました。ただそれだけ。もう少し「色」を出して下さいな。

・Tactics −
(プレイ済みゲーム:同棲、MOON.、ONE)

 『鈴うた』未プレイなので評価不能(^^;)

・デザイアー ☆
(プレイ済みゲーム:V.R.デート五月倶楽部、同2)

 『五月倶楽部』だけだったのでしょうか、ここは…

・パールソフトR ☆☆☆
(プレイ済みゲーム:私、Sweet Days)

 マイナー・オヴ・マイナーという印象であるが、絵的になかなかしっかりしている上、コンパクトにまとめるバランスの良さを感じる。ベタな設定とはいえ『Sweet Days』という佳作から考えると、地に足のついたタイプの作品に注目したい。

・ピンパイ ☆☆
(プレイ済みゲーム:Reborn's Day、Missing)

 ボタンを掛け違えているような感じのゲームが多い。プレイしたに作品とも、良い点がある一方で独自性を発揮し切れておらず、充足感を感じにくい。一皮むければ化けそうなゲームを出しているけれど、毎回単発で止まっているように見える。

・BLACK PACKAGE ☆☆
(プレイ済みゲーム:魅惑の調書、Get!、エクドラード、RK)

 大越秀武さんの原画には問題なしとして、どうもシナリオのムラが大きいように見える。ただ、設定倒れにしないという気概が十分に感じられるので、プレイしていてリズミカルなシナリオの流れに身を任せられる安心感は評価したい。

・Blue Bell ☆☆☆
(プレイ済みゲーム:雪降る季節へ、桜色の手紙)

 ブルーベルブランドが存続していたかどうか、ちょっと不安ですが…。それはともかく、「小粒」に徹しすぎているという印象。シナリオ・ゲームデザインの両面で、もっと貪欲になってもいいと思う。ちょっと絵的に合わなさそうな作品が多いのが残念だけど。

・Melody ☆☆☆☆
(プレイ済みゲーム:メロディ、コレクター、暗闇2)

 ここほど「個性的」なゲームにこだわるところも珍しかろう。『メロディ』に代表されるように、理屈よりも感覚で世界を作り、それをベースとしたシナリオを構築できる数少ないソフトハウス。サウンド面での高評価もほぼ定着している。しかし、システム的な「勘違い」を多々感じる。

・Leaf ☆☆☆☆
(プレイ済みゲーム:雫、痕、To Heart、WHITE ALBUMなど)

 ゲームの流れを変えてしまったソフトハウス。VN三部作は、いずれもこれらを超える作品をいまだに生みだしていないと言えよう。また、『WHITE ALBUM』では、システム的な勘違いという致命的な問題を乗り越えれば、新領域へのパイオニア足り得る要素を出すなどの意気込みを感じた。しかし、その後のメディアミックス戦略を見る限り、途方もなく不安になっているというのが正直な心境。ちなみに、東京開発室に関しては、『こみっくパーティー』未プレイにつきコメント不可。

・Key ☆☆☆☆
(プレイ済みゲーム:Kanon)

 Leafに負けず劣らず、「萌え」で縛られたファンの熱い支持を得ているが、作品から判断する限り、これに依存するというスタイルは考えにくい。そのうち方向転換が必ずやあると思うが、果たしてどうか。

・DISKDREAM ☆☆☆
(プレイ済みゲーム:エンドレスセレナーデ)

 デビュー作とは思えない完成度と野心的な試みを高く評価したい。素材のみの模倣がはびこる中、ゲームデザインをよく研究している感触、シナリオ展開の運び方など、見るべき点が多い。ただ、演出面を中心に、独りよがりと見える箇所が非常に多いので、次回作が市場でどう評価されるか。大きく化ける可能性を信じたい。

・R.A.N.Software ☆☆☆
(プレイ済みゲーム:Silver Moon)

 『Silver Moon』は『ONE』の模倣ともいえる作品だが、シナリオ的な粗を抑えたにせよ、独自に消化しオリジナリティをきちんと見せており、ツボの押さえ方が何よりも憎い。特に、演出面での強さは、本家(?)と比較可能な水準にあるので、これまた大化けするのではという期待をもっている。

1999年10月17日

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