第4回OFF会レポート(2003年8月16日)

 「X-GAME STATION」の第4回OFF会レポート。今回は前回および前々回とは異なり、別のOFF会と連動して云々というのではなく、ただ単に人が集まりやすい時期を選んで開催することにした。お盆の時期ということで比較的自由な時間を確保しやすいというのが個人的な考えだったが、それとは別の大規模な某イベントに参加する向きがずいぶん多い模様。もっともこの点については完全に他人事なので、何ともいいようがない。

 ところが今回、悪天候という大きな問題があった。なにせ、東海道本線やら房総各線やらが軒並みストップするなど、大荒れの模様なのである。この1週間前には台風が日本列島を縦断するし、まったくえらいことだ。ここ数年続いた酷暑とは無縁のお盆となるため体力の消耗が避けられるとはいうものの、あまりフットワークよく動くとはいかなくなる。秋葉原をフィールドとすることは半ば当然のように想定していたものの、場合によっては神田明神にでも向かおうかといった考えもあったのだが、この雨ではそれは無理だ。結局、ショップまわり、および飲み食いしながらの雑談がメインとなった。何のことはない、従来とまったく同じである。

 今回も「昼の部」と「夜の部」に分けたのだが、実際には参加者の明確な区分があったわけではなく、単に前者が移動を前提としており、後者が腰を据えたという程度のものに過ぎない。

 なお、今回は新規参加者としてcianさんをお迎えした。このほか、藤八さんGUSTAVさん、FreshDollさんが加わった。cianさんは翌日がお仕事とのことで(ご苦労様です)私と藤八・GUSTAV・FreshDoll各氏で夕食をとった。

 まず、秋葉原駅改札口で藤八さんおよびcianさんと合流する。特に目当てとなるものがあるわけではないので、まず某ショップで新品がずらりと並んでいるのを見ながら、あれこれと品評する。新品ということで価格からなにがしかのおもしろいことを読み取れるわけもないが、比較的新しいゲームのラインナップを見ながら、それぞれの嗜好を話し合う。いつしか、シナリオの作りとキャラクター設定といった、かなりディープな話題へと進んでいった。

 ここから某ファミリーレストランへと移動する。ディープな話題は止まることがなく、シナリオの作り、キャラクターの位置づけ、プレイヤーの受容と反応といった話題が続く。cianさんがゲーム歴に似合わず相当に深みにはまっていることに舌を巻きつつ、藤八さんともども適宜感想(ツッコミ?)を述べる。

 基本的に、cianさんがリードする形で“ゲーム論”あるいは“クリエイター/プレイヤー論”が展開される。特に、キャラクターの作りとイベントの位置づけとがシナリオ作成の根幹に据えられ、また主人公が徹底的に無個性(“没個性”という表現とはやや異なるだろう)な存在とされた結果、登場人物が破綻し物語が回復不能な矛盾に陥る、というご意見のようだ(理解不足であれば申し訳ない)。私は、巨視的には連続性を感じられない(体系性を認識できない)ながら、微視的にはどこまでいっても微分化可能なストーリーを作ることも可能ではある、と『メロディ』(このゲームは後にまた出てきたりする)を念頭に置いて語るものの、どこまで理解を得られたか心許ない。まあ(数少ない)実例を知らないかぎり、理論的には可能でも実際に想定するのは難しいかもしれない。

 もっともしばしば脱線し、藤八さんとサイトの記述(HTMLなど)や個人Webページの作成について話してしまったりもした(cianさんを置いてけぼりにしてしまい、申し訳ない)。

 話がある程度盛り上がったところで、GUSTAVさんが合流。さすが百戦錬磨の強者、現在の停滞状況を一刀両断する様が気持ちいいというか身も蓋もないというか、独特の語り口に圧倒される。現在のさまざまなソフトハウスを題材に、個別のメーカーがどんな動きをしているか、あるいは過去数年間でどのように変化してきたかが中心となる。

 雨が小降りになってきたこともあって、ファミレスを出てから、まず某中古ショップへ入る。並んでいるさまざまなブツの価格を見ながら、この作品がこの価格なのが妥当なのか否か、といった話題が出る。特にGUSTAVさんが、「せっかく作ったゲームが980円だなんて気の毒ですよ、新品を買った私が」と盛んに強調しておられた。このほか、アンタッチャブルな一級地雷を指さして「これだけは買っちゃいけない」など。cianさんは『ロケットの夏』および『雨に歌う譚詩曲』の購入を検討されており、特に後者は手ごろな価格だったのでこれなら悪くないですよ、と勧めるものの、結局手にすることなし。ううむ、背中を押す技術がまだ弱いのか。氏が好む“病弱シナリオ”とはやや異なるものの、ヒロインが克服困難な病気とつきあっていくことを前提としており、またそのさまが妙に生々しいのが印象的な一品なのだが。

 さらに、別の某ショップの中古コーナーへ行く。こちらはジャンルがより幅広いため、やはり個別の話題はいくらでも出てくる。一同、cianさんにボーイズゲーをおすも、ガードが堅いどころか腰が引けてしまっているのが残念。某氏の有望な後継者候補と期待しているのは決して私一人ではないと思うのだが(笑)

 ここで藤八さんが『メロディ』を2,480円で購入。私の「2,480円なら音楽CDとして買ってもモト取れますよ」という発言が決定的だったようだが、cianさんによると、某都市では480円で売られているそうな。そんな値段なら私が買い占めて希望者に配りたいと思ったのだが、それ以前に藤八さんが盛大に凹む。また“=□ ..○_”なネタが増えた、と言えるかもしれない。私も買おうかどうしようかと思ったものがなかったわけではないが、財布の中身という現実的な問題もあって控えておく。

 また、レアゲーのコーナーで『White』が3万円を優に超す価格になっているのを見て一同苦笑するとともに、(中古)市場価格の決定要因がどれだけ不合理なものかを痛感する。見えざる手の結果がこれでは、クリエイターはもちろん「プレイして楽しむ」ことを第一義に考えるプレイヤーも疑問に思うところがかなり出てくるだろう。もっとも『書淫』が8,000円台というのを「納得できる」と思ってしまうあたり、けっこう自分もダブルスタンダードで考えているものだ。でもプレミアがつく理由はずっと健全だとは思う。

 しかし、今回も『ギャラクシーエンジェル』の巨大なパッケージが話題になったのだが、そんなに特殊な商品なのだろうか、と改めて思う(少なくともゲームそのものは、そこまで話のネタとして引っ張れるほどのものではないと断言できる)。もちろん『Moonlit Lovers』の発売一週間前ということもあったのだろうが、「ひとまず様子見」という点を強調しておく。どのみち現在のビデオカードでは最高画質モードで動作しないのだから。しかし、その一般ゲーム発売コーナーで流れていたデモが『エンジェリックセレナーデ』だったのはいったいなぜだろう。

 このあと、秋葉原駅前の某書店にちょっと立ち寄ってから、cianさんを見送り、ここから夜の部へと突入する。そうはいっても、単に居酒屋に陣取り、そこであれこれ花を咲かせただけのことだが。

 まず、ソフトハウスの話題が出る。現在元気のあるところ、今後勢いの出そうなところなどがあがるが、どうにも明るい見通しが出てこない。老舗メーカーとしていくつかの名前が出、それらの傾向や今後の流れといった話題が出る。しかし、古い作品は何年の何月ごろ発売といったデータがすっと頭に浮かぶのだが、新しいものほどそういったデータが頭に残りにくいのはなぜだろう。例えば『AIR』が発売された年を「その前の年に『Kanon』が出て、その前が『ONE』で1998年だから、2000年ですね」と確認するという状態である。入れ込む密度の相違なのか。

 おおむね昼間の流れの続きといった様相だったが、いつしか話題が拡散していった。

ハードウェア

 懐かしのPC-98、初期のAT互換機、ディスクドライブなどのパーツ類などの話題が出る。おおむね回想モードに突入しており、「486の高速CPU」「EPSONの98互換/98-V」「VLバスで高速描画」「2倍速でCD-R焼きの間に食事」「Virgeを搭載したカノープスのボードのVRAMを4MBの大容量に増設」「98-NXを開けてみたらISAバスの痕があって苦笑」などなどといった話題が飛び交う。リアルですべてを経験されてきたのはGUSTAVさんだけだと思うのだが、私やFreshDollさんも問題なく話題についていけたのはいったいどうしてだろう。ハードウェアで先読みしても仕方ない時代に入っており、グラフィックボード以外は3-4年程度では陳腐化しないのが現状だが、それでもずいぶん過去志向になったものだ。

個人サイトと2ちゃんねる

 GUSTAVさん曰く、「2ちゃんねるももうつまらない」。専用ブラウザが普及してきたことも相まってか、各スレッドがそれぞれルールを持った自律体となり、スレッド相互を人が行きかうダイナミズムを感じにくくなってきているとのこと。なんだかNIFTYのフォーラムがたどった道が重なって見えるようだ。もっとも私は汎用Webブラウザしか使っていないうえ、定期的に見ている板はこのサイトとほとんど関係なさそうなところばかりになってしまっているのだが。前回のOFF会では、動態の変化という視点が中心だったが、今回は表層の静化という論点が主となった。あと、NIFTYでの表と裏といった話題になり、藤八さんとFreshDollさんが置き去りに(すいません)。

 また個人レビューサイトにしても、その位置づけは変化しているという。ネット上の世論に対する影響(多分に幻想を含んでいるものと解すべきだろう)にしても、一時期見られた「マスター直前の最終β版配布」といった現象が結局定着しなかった(私の場合、この種の申し出はすべて無視してきたので詳細は知らない)ことを考慮すれば、少なくともゲームの販売サイドは、消費者を先導する役割を担うとは思っていないのでは、と。現役レビューサイト管理人としてこの場でのコメントは控えるが、その場にいた4人中3人がサイト持ちだったこともあり、いろいろ思うところを語る(のち、FreshDollさんから「サイト管理人だからこその内部事情が知れて興味深かった」というコメントをいただいた。第三者視点で見ればそうかもしれない)。

 今回の参加者の特徴は、実年齢の差があまりなく、平均年齢が30前後と相当に高いことが上げられる。年齢相応の可処分所得を期待できるのが通常なのだろうが、そういう雰囲気があまり感じられなかったのはなぜだろう。こういう趣味を持ち続けていること自体が若い証拠(苦笑)なのか、はたまた単に浪費家が集まっているだけなのか。いや、実際のところは単純に購買意欲そのものが低減しているに他ならないのかもしれない。

 そうこうしているうちに、居酒屋に滞在すること4時間を超えてしまったので、ここでお開き。けっこう皿も順調に減ったのには驚き……という点は、前回とまったく変わりなかった。今回のほうが、よりのんびりとしていたようには思うが。



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