EP−ROMの昔話・その38

放課後恋愛クラブ 〜恋のエチュード〜

2003年3月17日

 リビドーというのは元々は「きんぷくりん」という硬派な一般RPGを作っていたブランドなのですが、ここが18禁に進出してきたブランドが「リビドー」です。本家の「きんぷくりん」はいつの間にか消えてしまったみたいですが。

 デビュー作の「Shinc」はプレイした人の話によると「まともなRPG」だったそうです。ところが2作目の「リビドー7」から「オカズウェア」と称してお手軽にエッチが楽しめるということを全面に押し出してきました。18禁ゲームの歴史においてスカトロを全面的に採用したゲームというのはおそらくこれが最初ではないかと思うのですが、「プレイしていて気分が悪くなった」という書き込みも結構見ました。以下、「なる麻雀」「リビドー7IMPACT」「女の子の仕組み」と続くわけですが、ここまででリビドーというのは「そういうブランドなのだろう」という評価が定着していました。が。

 何を思ったのか「リビドー純愛宣言!」と称して出てきたのがタイトルの「放課後恋愛クラブ」です。発売は1996年12月。Windows3.1用とWindows95用の2つの実行ファイルが用意されていました。

 しかし初回ロットを購入した人によると、次のような紙切れが入っていたとの情報が。

−−前略−−さて、今回お買い上げ頂きました本ソフトウェア
(初期ロットのCD−ROM)にバグ(ソフトウェア的欠陥)があ
ることが判明致しました(12月9日現在)。−−中略−−バグに
ついてはプレイ上の差し支えはありませんが、キャラによって正常
なエンディングが見られないというものです。−−後略−−

 これだけでも問題ですが、ロットによってはこの紙切れすら入っていないものもあったそうです。ユーザー登録した人にはバージョンアップ版を無償で郵送するそうですがねぇ。それにしても「正常なエンディングが見られない」にもかかわらず、「プレイ上の差し支えはない」とは何事か!と怒っていた方もいらっしゃいました。

 そういったわけで、私はセカンドロットが出回るまで待ってから購入することにしたのでした。

 さてゲーム内容ですが、主人公は高校2年生で、放課後にファミレスに集まり、デートクラブのようなものを作る、というものです。ヒロインは全部で12人いて、中学生が1人、1年生が3人、2年生が4人、3年生が2人、専門学校生が1人、大学生が1人、という内訳でした。1日に最大3人を相手にツーショットでき、会話で好感度を上げたりデートに誘ったりします。

 このゲームが出た1996年というのはWindowsのゲームは256色が当たり前、16色のゲームすらあったという時代にこのゲームはフルカラーで登場しました。さすがにCGは綺麗で、現在でもそのままで通用しそうな位レベルが高いものでした。その反面、もしフルインストールすると450MBの容量を喰います。この当時はハードディスクの容量はMB単位の人が珍しくなかった時代ですから、これには度肝を抜かれた方が多かったようです。まあデータはCD-ROM上でプレイするのが一応前提だったようですが、今度はCD-ROMのアクセススピードが遅いのが問題になって、プレイ環境が貧弱な人にとっては結構ストレスが溜まるゲームであったようですが。

 さてゲーム内容を改めて振り返ってみますと、このゲームは時間やらお金やらといった要素をバッサリと切り捨て、ゲームは会話のみで進むようになっています。また、色々と制限がある場合もあるものの、狙ったヒロインと好きに会話できるなど、「やりたいように出来る」ということに私は結構好感を持ちました。

 また、主人公が2年生で先輩も後輩もいることや、先輩ヒロインが「守ってあげる対象」になっているなど、今日の学園恋愛物の主流となっている要素を最初に具体化したのがこのゲームではないか、と思っています。

 ゲームデザイン的には結構評価していいゲームではないか、と思うのですが、問題はシナリオで、展開はどうにも納得できないと言うか感心しないと言うか、そういうのが多かったように思います。

 ところで「リビドー純愛宣言!」はこれ1作で終わってしまったようで、その後「放課後マニア倶楽部」というこのヒロインたちを陵辱するゲームを出して自ら路線を否定してしまいました。「やっぱりリビドーはリビドーでしかなかったか」とその当時思ったものでした。その後のリビドーを見ても、この「放課後恋愛クラブ」は1輪の徒花に終わったようですね。

 フルカラー第1作とか、ゲームを会話のみで進める、主人公の設定など、18禁ゲームの歴史において里程標としての意味合いはかなりあるゲームだと思います。ただそれはゲームデザイン上のことであって、シナリオはそれに伴っていなかったということができるでしょう。墓標を残して消えていくのがふさわしいゲームなのかもしれませんね。

written by EP−ROM