EP−ROMの昔話・その37

ラブ・エスカレーター

2003年3月14日

 長い間18禁ゲームの文化を支えてきたPC-98版ゲームですが、時代の流れと共に遂に終焉を迎えることとなりました。その最後のゲームとなったのがタイトルの「ラブ・エスカレーター」です。本当はもっと早く出るはずだったのが延期に次ぐ延期でとうとう最後のゲームとなってしまったのでした。長年PC-98版ゲームをプレイしてきた私としては、「98の最期を見取る」つもりでプレイしたのでした。海月製作所より1998年4月に発売になっています。

 ゲーム内容は主人公(名前変更可)は中学の時はサッカー部のキャプテンで、ヒロインの理恵ちゃんはマネージャーでした。サッカーで挫折を味わい、やる気を無くしていた主人公でしたが、交通事故に遭い、九死に一生を得たことによって見方が変わってきます。その後同じ高校に入学していた理恵ちゃんと肉体関係も伴うような恋人となりますが、主人公の親友が理恵ちゃんに一目惚れしてしまい、仲立ちを主人公に頼んできます。親友を傷つけることを恐れて「自分の恋人だ」ということを言い出せない主人公。果たしてこの人間関係はどういった結末を迎えるのか、というゲームです。

 設定からして結末がどうなるのかは容易に予想できるかと思います。それだけに、途中でラブコメ的な展開も結構あるのですが、先の展開を考えるとそれにのめり込むことはできませんでした。最終的にはみんな傷つくことになるわけですが、それは全て主人公の優柔不断さが原因であるだけに、プレイしていての不愉快さは相当なものがありました。最近はやりの「ヘタレ主人公」ゲームの走りであると言えるかもしれませんね。それだけに、こういう主人公のゲームが好きな方には結構評価高かったりもするのですけれど。私の終了時の感想は「2度とプレイしたくない」でしたが。

 私がこの主人公、一番許せないと思うのは、「理恵のことを愛している、理恵を想う気持ちは誰にも負けない」とかほざいておきながら、理恵ちゃんが1年間オーストラリアに行くかもしれない、と聞いた時に激しく動揺したことで、「バカヤロー、その程度で動揺するんなら『誰よりも愛している』なんて言うんじゃねぇ!!!」と思ったことを覚えています。とにかく私がプレイしたゲームの中では最低クラスにランクされる主人公ですね。

 ただ、逆に言いますとこういう激しいマイナスの評価をさせるシナリオというのはある意味良く出来ているということができるのかもしれません。それだけに、このゲームを名作だと評価する人がいること自体は意外ではないのですが。

 ちなみにこのゲーム、実はマルチエンドで他にエンディング対象の女の子が2人いますし、場合によっては理恵ちゃんはオーストラリアに行ってしまい、親友には新たな彼女が見つかる、という展開もあるそうです。こっちの方がよっぽどハッピーなエンディングなのでは、と思ったのは私だけではないのではないかなあ? ちなみに私は他の女の子は完全に無視しました。あの状況で他の女の子に手を出すような精神は持ち合わせていないです。

 またこのゲームは実は調教ゲームの側面も持っていて、用意されているHシーンのバリエーションは膨大なものがあるようです。Hシーンは全てアニメしますし。ただ、私は1回見た所で嫌悪感を感じたので2度とHシーンは見ませんでした。

 ところでこのゲーム、PC-98版のデータをWindowsで動かすためのプログラムが公開されています。アドレスはこちら。(http://hp.vector.co.jp/authors/VA000482/le.html)MS-DOSは必要ありませんので、何かでこのゲームを手に入れたという方はプレイしてみるのもいいかもしれませんね。ただ、このゲームは現在「LOVERS」というタイトルでWindowsへの移植が進行中ですので、それを待った方がいいかもしれません。

 PC-98版最後のゲームであると共に、非常に不愉快な気分にさせてくれたゲームということで忘れられないゲームとなっているわけですが、最後は綺麗に締めて欲しかったなあ、という多少の無念さも残っていたりもしています。

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