アイルというブランドは最初は一般ゲームを作っていたのですが、全然売れなかったので18禁に転向したという経歴を持っています。18禁デビュー作が「デュアルソウル」。以下、「淫魔制服狩り」「魔女狩りの夜に」「脅迫」と続くわけですが、凄かったのが「魔女狩りの夜に」の時のプレゼントで、パッケージの中にくじが入っていて、当たると何と
バイブ!がもらえたそうです。ここまで非常識なプレゼントは記憶にありませんが、もらって喜んだ人はどれだけいるのでしょうか? いや、そもそも、当たってそれを応募した人はどれだけいるのやら・・・
ともあれ、「脅迫」までのゲームは私的に好みじゃなかったので無視していたのですが、タイトルの「瑠璃色の雪」は普通の恋愛物らしいのでプレイすることにしたのでした。1997年4月にPC-98用として発売されました。
ゲーム内容は、主人公真鍋博士(姓名とも変更可)は幼い時に母親を亡くし、つい最近に父親も事故で亡くした高校生。祖父母からの申し出を断って、幼なじみの親が経営するマンションに入居することにしたものの、引っ越しの際のゴタゴタで、壺に封印されていた雪女「瑠璃」と出会う。記憶を全て失っていた瑠璃との同居生活の行く先は、というゲームです。
瑠璃は雪女という設定ですが、設定は全く活かされていない、と言っていいでしょう。単に非日常のキャラでありさえすれば、宇宙人でも鬼の子孫でも狐が化けたのでも何でも良かったのでは、と思えます。当時は「雪女」という設定が全く活かされていないことについてかなりの非難がなされたのでした。
また、結ばれる対象としてのヒロインも見事に立っていません。当時の私の感想を見ますと、「『下級生』なんかだと複数攻略するとムチャクチャ心が痛むけれど、このゲームでは複数攻略してもあまり心が痛まない」という意味のことを書いていまして、やはりキャラが立っていなかったんだなあ、ということを再確認させられます。
まあ、スタッフルームのリバ原あき氏のコメントを見ると、ムチャクチャな泥縄状態で制作していたようなので、まともなシナリオになる方が不思議ですが。
メインヒロインである瑠璃とのハッピーエンドを見るのは結構難易度が高いのですが、苦労に見合うだけの内容になっているとは言えず、「苦労して見たのにこの程度か」という感想を持たれた方が多かったようです。かく言う私もその一人ですが。
瑠璃以外のヒロインについて言うならば、ハッピーエンドは2パターンあり、Hが1回だけだとEND1に、Hが2回あるとEND2になります。普通に考えればEND2がTrueENDになりそうなものですが、このゲームではそうなっていません。END1というのは瑠璃は去ってしまったけれどヒロインとの関係を残してくれた、という内容で、(キャラによってですが)かなり切ないものになっています。こっちがTrueENDだろうという意見は多かったですし、私もそう思っています。
このゲーム、主人公とヒロインとのラブストーリーという観点では成功しているとは言い難いのですが、エンディングだけ単独で取り出してみるならば私がプレイした恋愛系ゲームの中でもかなりの高レベルに位置していると言っていいかと思います。個人的にお気に入りなのが双葉END1。以下恵END1、若葉END1の順でしょうかね。
またこのゲームでは音楽がなかなかの高水準なものになっています。FM音源とMIDI音源の対応ですが、この当時は私はMIDI音源を持っていなかったのでFM音源で聴きましたが、それでも十分いい音楽だったと思います。NIFTYのFCGAMEXで1997年度のベストゲーム投票において、ベストサウンド部門で私はこのゲームに投票したのですが、当時のコメントに「CD-DAの『To Heart』よりもFM音源の『瑠璃色の雪』の方が印象に残った」などと書いていました。
なお、このゲームは2000年4月にリメイク版「真・瑠璃色の雪」が出ています。こちらは私は未プレイですが、どうやら大幅に手を入れられているらしいですね。
エンディングだけを取り出して見るならばなかなかのゲームになっていると思うのですが、いかんせんそこに至るまでの過程がいま1つなのが問題な所。何とも評価のしにくいゲームになっているなあ、というのが私の印象です。今でもエンディングの部分だけリプレイしたりするんですけどね。
ところで、このゲームは私にとってPC-98版ゲーム最後とも言うべき改造・解析の思い出があるのですが、これについてはPart2で書きたいと思います。