EP−ROMの昔話・その30

下級生(Part1)

2003年1月15日

 「同級生」「同級生2」と来れば次は「同級生3」だろうと誰もが思うものですが、エルフからは「下級生」というゲームが発売になるとの発表が。いったいどんなゲームになるのだろうと多くの人が注目したのでした。発売は1996年6月。

 それまでの「同級生」シリーズとはキャラクターデザインが変わりましたが、それだけではなく、ゲームの期間が1年と非常に長くなったのが最大の変更点でしょう。「同級生」シリーズでは期間が短いゆえに「イベント一発勝負!」という感があったのですが、「下級生」では女の子の少しずつの変化を描くことができるようになったのはプラス要因。しかし、ゲームの期間が長くなったゆえにゲーム後半ではかなりのダレを感じることになるマイナス面もあるので、単純に良くなったということはできませんが。

 それよりも発売当時話題になったのは、キャラクターの設定がかなりの部分コンシューマーゲームの「ときめきメモリアル」とダブっている、ということでしょう。あからさまに目に付くので、おそらくエルフとしては何らかのもくろみがあったのでは、と思えるのですが、何が目的なのかは私には良くわかりません。

 ただ似ているのはキャラクターの設定だけで内容は全く別物です。「ときめきメモリアル」は基本的に恋愛の「楽しさ」に注目しているのに対して、「下級生」は恋愛のマイナス面に注目しているようです。もっとも、プレイヤーに痛い目を見させるのが目的のゲームじゃありませんけど。この「下級生」というゲームは珍しいくらいにメッセージ色の強いゲームなのですが、これについてはPart2で話題にしたいと思います。

 それにしても、「下級生」というタイトルながら、ヒロインは年上3人、同年齢6人、年下4人、という構成で、看板に偽りありでは? と思えるのですけれどね。いったいどういう理由でこのゲームは「下級生」というタイトルなのでしょう???

 さてゲームとしては女の子と会話して好感度を上げ、好感度が上がるとデートに誘えるようになり、さらに好感度が上がるとHができるようになり、最終的にはもっとも好感度の高いキャラクターとのエンディングを迎えることになります(最後に選択することはできません)。そのため、喰いまくっていると意図しないキャラクターとのエンディングになる場合があります。また、中にはあるイベントを発生させないとデートに誘えないキャラ、あるイベントを発生させないとエンディングが見られないキャラもいます。

 Hシーンは複数のバリエーションがあり(確か9通り)、初体験でいきなり感じてしまうキャラも珍しくない昨今ですが、このゲームでは処女の女の子は最初の2〜3回は痛いだけで、それから段々に感じてくる、という設定になっています。現実を考えればこれが正しいのでしょうが、Hシーンが何回もあるこのゲームだからできたことでしょうが。もっとも、昔のゲームでは初体験は「痛いだけ」で終わるゲームが結構あったのですが、最近はあまり見かけませんね。初体験でも「感じる」方がウケがいいのでしょうかねぇ? 個人的には初体験は「痛いだけ」でいいと思うんですけれど。

 内容としては特に1本のシナリオがある、という感じではなく、小イベントの積み重ね、という感じですが、それぞれのイベントはなかなか破壊力があり、エンディングも(キャラによってですが)かなりの破壊力があるものとなっていて、いい歳してエンディングで大泣きした方もいたとか。私個人の話になりますが、私はそれまでは自分のことをシナリオ重視の人間だと思っていたのですが、このゲームをプレイしてからは自分はキャラ萌えの人間であることを自覚しました。いや、そうではなくて、このゲームでキャラ萌えに目覚めたのかもしれません。このゲームや、同じ年の7月に出た、カクテル・ソフトの「Piaキャロットへようこそ!!」あたりから、嗜好が変わってきたような気もするのですけれど・・・

 この当時のエルフのゲームというのは最後までプレイするとエンディングパスワードというのが出ました。これは、登録ハガキにこれを書いて送ると抽選でプレゼントがもらえるというものですが、このゲームの場合はOnly You

 同じ年の1月に出たアリスソフトの同名のゲームをパロったものかもしれませんが、ゲームのテーマを暗示しているものと考えることもでき、何とも意味深な言葉だと思ったものです。余談ながら、その後出たサターン版やWindows版ではこのパスワードが出なくて何とも物足りなく感じたものです。

 キャラクターの魅力としてはかなりのものながら、ゲーム後半になるとイベントも出尽くしてダレてしまうのがこのゲームの問題点だな、と思っていたある日。エルフからこのゲームがサターンに移植されるとの発表が。

 そのままでは到底コンシューマーに持っていけないHシーンや、ヤバいネタも数多いこのゲームをいったいどうやって移植するのか、かなりの疑問を抱いたものでした。かなり退屈な面も多いこのゲームがはたしてコンシューマーの世界で売れるのか、と。

 Part2ではPC-98版とサターン版を比較しながらこのゲームのテーマについて考えてみたいと思います。

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