EP−ROMの昔話・その26

卒業写真2 〜Raspberry Dream〜

2003年1月3日

 このタイトルのゲーム「卒業写真2」は、世間一般では「同級生2」のパクリという評価が一般的なようです。私もそう思って長い間プレイすることはなかったのですが、一部に熱狂的なファンがおり、さらに「シナリオは同級生2以上」という話を聞くに及んで、「これは確認してみねばなるまい」とプレイすることにしたのでした。発売はジャニスより1996年11月です。

 さて、キャラクター設定を見るならば、義理の妹、隣家の幼なじみ、不良少女、入院している少女など、「同級生2」とダブる設定がかなりあり、またマップを移動しながらストーリーを進めるなど、ゲームデザイン上はパクリと言われても仕方のない構成になっています。さらに「同級生2」と比較すると難易度は非常に高く、キャラクターデザインは好みですが(私としては影崎夕那さんの方が好み)、キャラクターの描き分けという面では同級生2の竹井氏の方が上でしょう。結局このゲームの魅力というのはシナリオに集約されていると言ってよいかと思います。

 ではこのシナリオについてはどうなのでしょうか? 確かに複数ヒロインがいて、その中から最終的に一人を選ぶ、というタイプのゲームとしては相当レベルが高いと言っていいでしょう。「同級生2よりシナリオは上」というのは間違っていない、というのが私としての感想です。ただ、今日の目から見るならばヒロインを広く喰いまくれるというのが違和感ある所で、この内容ならばヒロイン確定即エンディングの方が良かったでしょう。これがもっと古いゲームであるならばそんなことは言わないのですが、PC-98末期の作品である上に、1年以上前に「五月倶楽部」というヒロイン確定即エンディングという作品が出ているだけに。

 ところでこのゲームを語る上で外すことのできないキャラが櫻塚螢子ちゃんでしょう。(「螢子」は「けいこ」と読みます)結局、同級生2の桜子シナリオで筋を通すとこういう内容になる、ということなのですが、プレイ後「これでいいのか?」という疑問が頭から離れませんでした。正直、今でもこのシナリオをまともに評価することができないでいます。

 シナリオの内容は確かに感動的です。Hシーンで感動した、という珍しいシナリオでもありますし。ただ、プレイヤーの期待を「悪い意味で裏切った」と言ってよい内容であるだけに、感情的にはこの手法を認めたくはないですね。理性的には「こういうのもありかなあ」とは思うのですが。それだけに、自分の中でも今でも扱いかねている、というのが正直な所です。

 ところでこのゲームはWindows95版も出ているようですが、どうもかなりのバグ持ちのようですね。さらに、キャラクターの出現タイムテーブルがPC-98版と比較すると筋が通っていないように思います。PC-98版はMS-DOS必須なのでエミュレータでプレイするにしてもMS-DOSを用意しなければなりませんが、もしプレイ環境が整えられるのであればPC-98版の方が良いでしょう。(私はWindows版未プレイですが)

 さて話は変わりますが、実はこのゲーム、私が作ったPC-98版用の画像ローダーの最後のゲームだったりします。今後PC-98版用の画像ローダーを作ることは絶対ないと言い切ることはできませんが、多分ないでしょうから。で、この画像ローダーは私が作ったものの中では唯一ファイル一覧が表示され、それにカーソルを合わせてエンターキーを押すと画像が表示される、という形式になっています。これは、今後PC-98用のソフトを作ることもまずないだろうから、1つくらいこういうソフトを残しておきたい、と思ったからなんですが。で作ってみたら昔話その8で書いたように「みさおちゃんパ〜ンチ」というCGを発見したというわけです。こういうものを発見できるというのが画像ローダー作成の面白さでもありますね。

 シナリオとしては今でも十分通用するものですが、とてつもなく難易度が高いのが問題で、もし今からプレイしようと思われるのでしたら攻略情報は必須です。それを見ながらプレイするのが良いでしょう。一部マニアにのみ評価されている感のある本作ですが、少なくとも「同級生2」よりもプレイする価値はあると思います。

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