EP−ROMの昔話・その24

せいんと・だいありぃ 〜聖ちゃんの日記〜

2002年12月30日

 私がこのゲームに興味を持ったのは、NIFTYでこのゲームのシナリオの解釈について質問した方がいたからでした。が、誰からもRESがなく、私も未プレイだったので答えようがなかったのですが、そのことが妙に気にかかっていました。それからしばらくして、このゲームがワゴンセールで売られていたため、「どんなゲームなのだろう」と確かめてみることしたのでした。発売はデザイアーより1996年11月です。

 このゲーム、実は名前のあるキャラクターは3人しかいません。

[1] ヒロインの聖(きよか)ちゃん(高校3年生)

[2] 主人公の悪友(男)

[3] 聖ちゃんがアルバイトしている喫茶店のチーフ(女)

 このチーフというのは主人公の高校の先輩で、主人公にとっては恐怖の対象です。したがって、完全オンリーヒロインのゲームです。

 アリスソフトの「あゆみちゃん物語」のように一人の女の子とエロエロな生活を送る、というタイプなら別ですが、オンリーヒロインであってもHシーンに登場するキャラはいる、というのが普通のゲームですから、こういうゲームは相当珍しいと思います。まあ、全く前例がないわけではなく、例えばパームツリーソフトの「To Five」(1994年8月発売)なんていうのがこの完全オンリーヒロインの一例ではありますが。こういったオンリーヒロインのゲームというのはプレイヤーがそのヒロインを気に入らなかったらそれでアウトですので、作り手としてはリスクが大きいのかもしれません。

 ゲームの内容は、大学4年生で、卒業間近となっている主人公が、悪友とふと立ち寄った喫茶店でアルバイトしていたのが聖ちゃんで、とあるきっかけで知り合った主人公と聖ちゃんとのラブストーリーです。ゲームの期間は11月30日から12月25日までで、聖ちゃんとデートする場所の選び方で多少イベントが変化する程度の完全一本道アドベンチャーです。ゲームの発売日と期間がぴったり合っているという非常に珍しいゲームでもありますね。

 この主人公、18禁ゲームの主人公としては極めて珍しいことにこれといった個性がありません。「彼女いない歴○○年」ではあるのですが、「五月倶楽部」の主人公のようにナンパに明け暮れるほどの勇気はなく、「彼女がいたらいいなあ」と思いながらもそれを実行に移せない、そんな主人公です。

 ゲームでは主人公と聖ちゃんの不器用ながらもほほえましい恋愛模様が展開されてラスト近くまでは非常に良かったのですが・・・

 このゲーム、惜しいことにラストが破綻しています。おそらく同じブランドの作である、「五月倶楽部」の美里シナリオと同じことをやりたかったのだと思いますが、どうしてそういう行動を取ったのかの理由付けが全く不明確です。私がこのゲームの感想をNIFTYに上げた所、2人の方からRESが付いたのですが、その際のやり取りでは一応理由をこじつけることは可能ですが、やはり説得力という点では不十分かな、ということになりました。

 できることならばラストを作り直してリメイクして欲しいのですが、デザイアーの後継ブランドである覇王はH重視の方向に進んでしまったみたいですのでまず無理でしょうね。残念です。

 そう言えばこのゲームは故きゃろらいん=ようこさんのキャラクターデザインなんですよね。この方の特徴といえば「童顔巨乳」なのですが、この聖ちゃん、まさしくそれにぴったりあてはまっています。しかし、プロポーションのデフォルメがキツ過ぎるような気が。

 ところでこのゲームを取り上げたのは残念だというグチを言うためではありません。実はこのゲーム、Hシーンでちゃんと避妊具を付けている非常に珍しいゲームなのです。他のゲームでは避妊と言えば膣外射精か、女の子が「今日は大丈夫な日だから」と逃げるか、いずれにせよ非常に危険な避妊法がまかり通っています。そういった中でちゃんと避妊をしているというのはこれはこれで1つのポリシーとして正しいのだろう、と思っています。皆様はこの避妊の問題、どのようにお考えでしょうか?

 ラストの破綻が残念だ、ということと共に、ちゃんと避妊をしているという珍しいゲームだということで記憶に残っている1本です。

written by EP−ROM