EP−ROMの昔話・その21

同級生2(Part2)

2002年12月26日

 前作「同級生」について、エルフの蛭田氏は、「ナンパシミュレータ」という表現を使っています。つまり、「ナンパする場は用意したから、この中で思う存分ナンパを楽しんで下さい」ということなのですね。そう考えれば、あの取って付けたようなエンディングも、1回で相当の数の女の子を喰いまくれるのも、エンディングで女の子がみ〜んなエロエロになってしまうのも納得ができるというものです。が、プレイヤーの側としては「恋愛をテーマとしたゲーム」という捉え方が多かったようで、あのエンディングにはかなりの抗議がエルフに行ったらしいです。で、その反省の上に制作されたのがこの「同級生2」のようです。

 ゲームの期間は12月22日から1月6日までとかなり短くなりました。にもかかわらず、立てなければならないフラグが増えたものだから、難易度は相当上がっています。1回目は誰からも相手にしてもらえなかった、という方は多いようですね。

 私は1回目は友美だったのですが、何回セーブ&ロードを繰り返したかわからないくらいやり直しての結果です。ただしせっかく苦労して長岡芳樹の魔の手から守ってやったというのに、芳樹の共犯と誤解された時にはキレそうになりましたよ。これで私は友美が大嫌いになりました。友美はちょっとシナリオ上かわいそうな扱いをされてますね。

 2回目は桜子で、これには相当の衝撃を受けました。今から考えれば桜子のシナリオはかなりのアラがあるのですが、この当時はこういうシナリオにまだ免疫がなかったので、完全にノックアウトされてしまいました。この当時の私の感想を読み直してみたのですが、「この桜子シナリオの存在だけで十分買った価値がある」なんて書いていますね。ただ同時に、「恐ろしくて人に薦める気になれない」とも書いていまして、非常に不愉快なイベントもありますので、これを許容できるかどうかは人によって違うと思うからです。

 NIFTYの会議室においては批判的な意見もありました。理由はだいたい次の2つでして、

[1] 異常に高い難易度

[2] 長岡芳樹を初めとする非常に不快な男キャラ

 ただ、圧倒的に賛の方が多かったので、こういった批判的な意見は立ち消えになってしまった感があります。これはその後の「ONE」なんかにも通じるものがありますね。あまりに意味不明なシナリオに対する批判はあったものの、キャラクターの魅力を生かしたシナリオの前にそういう意見はいつの間にか立ち消えになってしまった、という。

 ところで、のちに皆が冷静になってから、なぜ芳樹のような不快なキャラクターを出したのか、ということが話題になりました。エルフがこのキャラクターに対してプレイヤーがどんな反応をするのか気が付かないはずはない、ということからです。

 結論として「芳樹はプレイヤーを写す鏡ではないのか」ということになりました。ゲーム中において、プレイヤーはやりたい放題のことをやっているわけですけど、それはこの長岡芳樹と大差ないことなんだ、ということを教えるためではないか、というわけです。真相はもちろんわかるはずはないのですが、「これが正しい」と仮定した上で、「プレイヤーを教育しようなどというのは大きなお世話」という反発の声ものちにありました。

 ところでこのゲームについて今改めて振り返ってみたいのですが、システム上は前作と大差ありません。(内部的には違うでしょうけれど)その上で、「ナンパ」がメインだった前作に対して、「恋愛」の要素を大きく取り入れたのが本作と言えるでしょう。当時としては画期的なソフトであったことは間違いないと思いますが、今日の目から見るとやはりまだ「ナンパ」と「恋愛」が分離しきれていないな、と思えます。

 典型的と思えるのが桜子のシナリオ中で、桜子を家につれてきた主人公が興奮して桜子をベッドに押し倒した時に「いや、やめて」と言う桜子に対してやめるか続けるかの選択を迫られます。これゲームでは「続ける」のが正解なんですね。やめると逃げられてしまってアウトです。

 しかしこれ、本当に相手の気持を思うなら欲望のままに突き進むというのが正解というのはどうにも納得し難いものがあります。以前、女性の18禁ゲーマーにこの桜子のシナリオについて尋ねたことがあるのですが、「自分だったらやめてくれた方が嬉しい」とのことでした。やはり、「Hゲーム」ではあっても、「恋愛ゲーム」には成り切れていなかったかな、というのが現在の感想です。

 実際にプレイした時に感動したのは確かです。それは間違いありません。しかし、シナリオの印象を振り返ってみる時、どうにも印象が薄いのですね。これよりも古い、「きゃんきゃんバニーエクストラ」や「逆玉王」の方がよほど印象に残っています。「当時としては感動的だったけれど、時代の経過に耐えるだけのものには欠けるかな」というのが今の印象で、このゲームはコンシューマー版もWindows版もありますから今でも十分プレイが可能なゲームではありますが、私は今のプレイヤーにこれをプレイすることを勧めようとは思いません。そういったわけで、

 「歴史的な価値は十分にあるゲームですが、今プレイする価値はそれほどない」ゲームというのが現在での結論です。

 さて、Part2ではゲームの感想について書きましたが、Part3ではこのゲームについてのツールの話を書いてみたいと思います。

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