EP−ROMの昔話・その20

同級生2(Part1)

2002年12月25日

 18禁のゲームの歴史において、エポックメイキングとなったゲームはいくつかありますが、この「同級生2」は間違いなくその1つに上げることができるでしょう。そこでPart1では発売当時がどんな有様だったのかを書いてみたいと思います。発売はエルフより1995年1月です。(確か31日)

 さてこのゲームが発売されてからNIFTYの会議室では、それまでは1日の発言が10〜20程度だったのが、一気に100を超える発言で一杯になりました。発言の内容は「感動した」「泣いた」「何々ちゃん萌え〜」といったものばかりです。中にはファンクラブ活動なんていうのを始めた人もいました。まあ私も発売日に購入しましたので、すぐにその中に入り込んだんですけれど。ただ、この当時私は2400bpsのモデムで通信していましたので、大量の発言を落とすのに難儀をしたのは事実ですが。

 会議室が同級生2の発言で一杯になってしまい、まともに他のゲームの話題をすることが事実上不可能になってしまいました。そこで特設会議室の設置要求が出されました。

 NIFTYのシステムをご存じない方に説明しておきますと、NIFTYには「フォーラム」と呼ばれる特定の話題を専門に話す場所がいくつもありました。そしてフォーラムには「会議室」(巨大な掲示板だと思って下さい)と呼ばれる場所が20あります。会議室はそれぞれ特定の話題に分けて発言が行われるのですが、特に話題が集中するようなものの場合は一時的にそのことを専門に話題にする「特設会議室」と呼ばれるものが設置されました。

 さてこの設置要求に対するSYSOP氏(フォーラムの管理人です)の答えは「NO!」理由をちょっと引用します。

私の理想は、老若男女どんな人でもゲームを楽しめる世の中になることです。ところが、多くの日本人には未だに「男の遊びは飲む打つ買う」「ゲームは女子供のするもの」という感覚が無意識に根付いているようで、ゲームをするというだけで幼稚な人間だと思われたり、変な奴だと思われたりしてしまいます。この状況を変革していくためには、現在のような中高生をメインターゲットに作っておきながら「アダルト」とか「18禁」などと名乗るような歪んだゲームの存在は非常に迷惑だというのが私の本音です。従いまして、私にはこうしたゲームに価値を見いだせず、特設会議室を開くこともいたしません。

 さて皆様はどう思われるでしょうか? それはまあ、さておき。ただ一連の発言の中で、このSYSOP氏こうも言っているのですね。

ただ、ここで問題になるのは「価値観は人によって異なる」ということです。私は自分の価値観と異なる価値観を認めるのに抵抗はありません。(他人の迷惑になるような価値観は別ですが。)しかし、自分の持つ価値観よりも優れた価値観を誰かに示していただくか、自ら新しい価値観に目覚めるまでは、当然自分のそれに沿って行動します。

 こんなことを言ったものだから、同級生2プレイヤーが何とかこのSYSOP氏を説得しようとして雑談を専門に扱う会議室が説得しようという発言で一杯になったのでした。これを書くに当たって、一連のことを読み直してみたのですが、この当時の18禁ゲーマーの熱意というのは凄いものがあったなあ、と改めて思わずにはいられませんでした。結局、「何と言われようと18禁では特設会議室は設置しません」でケリがついたのですが、だったら中途半端に期待を持たせることは言わなければいいのに、と思ったものです。

 まあ事態の収拾を図るため、ある人がパティオを開いてそこに移動することになりました。パティオというのは個人で開ける会議室のことで、会議室が1つだけのフォーラムのようなものです。この当時はパティオを開くと月7000円かかりました。私もちょっと参加したのですが、1日の発言が300を超えるとかいうすさまじい場所で、通信環境が貧弱だった私はすぐに撤退したのでありました。(課金も今より高かったし)

 しかしこの当時は一般も18禁も区別なく発言がなされていたのですが、この一連の騒動で18禁の専門フォーラム、FCGAMEXができたのであろう、と思っています。18禁ゲーマーのパワーを思い知ったのではないですかね?

 ともあれ、こういった大きな騒動を引き起こしたゲームなのでありました。Part2では実際のゲームの内容について触れたいと思います。

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