EP−ROMの昔話・その15

ドラゴンナイト4

2002年12月18日

 「ドラゴンナイト」というのはエルフの出世作なのですが、初代、2、3はヤマトタケルというキャラクターが主人公になっていました。3で一応タケルの話は完結したのですが、4ではタケルの息子のカケルが主人公という、続編で世代代わりをしたという非常に珍しいゲームになっています。発売されたのは1994年2月。

 内容は、と言うと、タケルの元にある国の王から助けを求める手紙が届きます。それに対してタケルは息子のカケルを派遣したのでした。さてカケルの冒険の結果はいかに? というゲームです。エルフはこのゲームをSLGと言っていますが、内容的にはシミュレーションRPGの方が適切な気がします。

 さてカケルはエルフの主人公らしくひたすら脳天気なキャラです。そういうノリでゲームは進むのですが、所々に謎な行動をするキャラがいて、プレイヤーはその意味について考えされられることになります。

 で、敵ボスの所にたどり着くのですが、実はここまででゲームは前半が終わっただけなのです。その後後半に突入する際にプレイヤーは驚愕の事実を知らされることになります。後半では前半の謎が解き明かされていくのですが、前半の雰囲気とはうって変わってひたすら重い雰囲気になります。

 そして最終戦に勝てばエンディングが待っているのですが・・・ いや〜、私の10年以上のゲーム歴の中でこれほど切ないハッピーエンドというのは経験ありません。まあ、そもそも「切ないハッピーエンド」というもの自体が少ないと言えばその通りなのですが。

 このハッピーエンドというのは一人の人物の悲劇との引き替えなのですが、よくある「自己犠牲」ではありません。この悲劇はどうやっても回避できないものなのです。それだけにいっそう切なさを感じさせることになるわけですが。

 実はこのゲームがテーマとしていることはその14で話題にした「DESIRE」と同じなのですね。ただ大きく違うのは「DESIRE」が悲劇で終わっているのに対して「ドラゴンナイト4」はハッピーエンドになっている、ということでしょうか。

 この2つのゲームのうち、どちらが上かという評価は人によって大きく異なっています。ある意味、人生観なんかも影響するのかもしれませんが。私としては「ドラゴンナイト4の方がずっと上」なのですが。

 ただ惜しまれるのは戦闘部分が単に足かせにしかなっていないことです。私としてはそれほど難しいとは思わなかったのですが、それでも面倒なのは確かです。面倒で放り出した方もいるそうですし。キャラクターのパラメータエディタがいくつか公開されているので面倒な方はそれを使った方がいいかもしれませんね。

 ところでこのシリーズで面白いのは、1と3のヒロインであるルナも、4のヒロインであるナターシャも、「裸は見れてもHはできない」ことです。ルナはそれほと意味があるとは思えませんが、ナターシャの場合はHができないというのは明確な意味があります。ネタバレになってしまうのでこれ以上は書きませんが。そう言えば、同級生2の桜子がナターシャにそっくりですが、これは「似てしまった」のではなく、「故意に似せた」のだそうですが。

 このゲーム、PC-98版だけでなく、PlayStation版も出ています。シナリオは18禁である必要性は全然感じられないモノなので、PlayStation版でも問題ないと思います。それにしてもエルフは旧作のWindows移植に熱心なソフトハウスなのに、どうしてこのゲームは移植されないのでしょうかねえ? F&Cが「きゃんきゃんバニーエクストラ」を移植しないことと共に、埋もれてしまうのはもったいないゲームなのですが。

 Windowsに移植されずに消えていくゲームの中ではおすすめ度は相当高い部類のゲームなのですが、戦闘シーンが足を引っ張っているのが残念な所。その13で書いた「逆玉王」もそうなのですが、戦闘部分がシナリオに没入するための障害になっているのは残念でなりません。面倒になって放り出す危険性がかなりあるだけにねぇ・・・

written by EP−ROM