アルジェリア:武装勢力が3日本人拘束、10人安否不明
毎日新聞 2013年01月16日 21時10分(最終更新 01月17日 01時18分)
【カイロ秋山信一、パリ宮川裕章、ヨハネスブルク服部正法、坂口裕彦】北アフリカのアルジェリア南部インアメナスで16日朝、天然ガス関連施設の外国人従業員らの居住区がイスラム武装勢力に襲撃され、日本政府によると、プラント大手「日揮」(本社・横浜市西区)の現地施設で勤務する日本人3人が拘束された。これとは別に、10人の安否が不明という。国際テロ組織アルカイダ系の武装勢力は「(マリに軍事介入した)フランスや西側諸国への報復だ」との犯行声明を出した。
政府は16日夜、自民、公明両党が自民党本部で開いた与党対策本部の会合で「日本人3人が拘束された」と説明した。出席者によると、外務省から「アルジェリアには17人の日揮駐在員がおり、4人の無事を確認、3人が拘束された。残り10人の安否は確認中」との説明があったという。政府は官邸対策室を設置し、関係省庁による局長会議で対処方針を確認した。
国営アルジェリア通信などによると、武装勢力は16日午前4時半(日本時間同日午後0時半)ごろ、3台の車に分乗して、日揮が英石油大手BPなどと共同で天然ガス開発プロジェクトを行う地域を襲撃した。ガス田の従業員らを運ぶバスが狙われたという。複数の日本人らが拘束されたほか、警備員1人が殺害され、7人が負傷した。
現地メディアによると、武装勢力側は外国人41人を人質にしたと主張しており、BPの本部などガス田の関連施設に立てこもっているという。また、武装勢力をアルジェリア軍が包囲し、人質解放の交渉をしているとの情報もある。
一方、ロイター通信は、フランス人、英国人ら3人が殺害され、日揮に勤務する日本人5人とフランス人、アイルランド人、米国人、ノルウェー人の少なくとも9人が拉致されたと報じた。被害を巡る情報は錯綜(さくそう)しており、複数の襲撃があった可能性もある。
日揮はアルジェリアでは、1969年に製油所建設を受注して以来、40年以上にわたる事業展開の実績を持つ。事件を受けて、日揮は現場で働く関係者が事件に巻き込まれたことを認めた。BPは事件が起きたことは確認したが、詳細は公表していない。