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PC98エミュレータ(3) - Anex86 -

 Windows上で動作するPC98エミュレータ Anex86 について報告します。Anex86は以前はシェアウェアでしたが、ダウンロードしたファイルに含まれる readme.txt によれば現バージョンは無償となっています。

■Anex86の特徴
・PC98実機のROMイメージがなくてもエミュレーションできます。
 フォントイメージは必要ですが、実機がなくてもなんとかなることがわかりました。(別項で説明)
・PC-286/386/486/586シリーズのエミュレータです。すなわちエプソンのPC98互換機をエミュレーションします。
・フロッピードライブ2基、ハードディスク2基を利用できます。
 オプションでCD-ROMが使えるようになります。
・フロッピーディスクドライブとハードディスクはディスクイメージファイルをマウントして使いますが、拡張子fdi とhdiという独自形式のみサポートします。Neko Project ⅡやT98-Nextの形式は読めません。
・フロッピーディスクイメージは1.2Mだけでなく1.44Mも扱えます。
・実機のフロッピードディスクからフロッピーイメージファイルを作成できます。1.2Mに加えて1.44Mも作成できます。
・オプションでエミュレータの中から実機のディスクドライブにアクセスできます。

■Anex86のインストール
(1)公式サイトからダウンロードします。
 http://motor.geocities.jp/aqua_marine_blue_556/Anex86/homepage2/ans/ax/axdown.htm

・Anex86 v2.78 本体

オプションとして以下のファイルがあります。
・anexx21
 エミュレータで640×480 256色モードが利用可能になります。
・anemidi2
 エミュレータでMIDIを使う場合に必要です。
・anecom2
 エミュレータでRS-232Cを使う場合に必要です。
・aneprn
 実機のプリンタがエミュレータから利用できます。
・anecdxnt
 実機のCDドライブをエミュレータから利用できます。
・anefsxr
 エミュレータ内から実機のドライブにアクセスできます。

(2)インストール
・ダウンロードしたファイルを解凍します。
・オプションは、解凍して作成されたe86ファイルをAnex86本体と同じフォルダに置きます。

(3)初期設定
・anex86.exe を実行すると起動します。

anex86_1.png

・Config ボタンをクリックすると設定画面が開きます。設定項目が多いですが、とりあえず必要なのはメモリの設定です。[System]タブでExt-RAMにチェックを入れ、メモリサイズをkB単位で入力します。初期設定は1MBになっています。最大14MBまで設定できます。

anex86_2.png

・FDD1あるいはHDD1にディスクイメージをマウントし、[Start]ボタンをクリックするとエミュレーションが開始されます。

■日本語MS-DOSのインストール
 Anex86では他のエミュレータで作成したディスクイメージが使えません。したがって新規にディスクイメージを作成してMS-DOSをインストールします。やり方は T98-Next の記事「PC98エミュレータ(1) - T98-Next -」で紹介した方法と同様です。ただし、NECの日本語MS-DOS3.3や5.0にはEPSONプロテクトがかかっています。これを DISPELL というソフトで解除します。

・解除するフロッピーディスク(1.2M)のイメージファイルを作成します。(もちろん実媒体でも可能です。)
・実機で解除する場合は、Virtual Floppy Drive にイメージファイルをセットし、DOS窓で
 dispell a:
と実行します。(フロッピードライブがAドライブの場合)
・PC98エミュレータ内(T98-Next)で実行する場合は、イメージファイルをフロッピードライブにセットし、エミュレータ内のDOSコマンドラインから
 dispell b:
を実行します。(フロッピードライブがBドライブの場合)
・フロッピーディスクイメージは最終的にAnex86で読めるfdi形式に変換してから使います。変換には Virtual Floppy Image Converter を使います。

■実行結果
・起動が速くとても軽いです。実行速度は Neko Project Ⅱよりも確実に速いです。T98-Next と比較すると同等以上かと思われます。

・フォントイメージファイルの設定
 実機のフォントイメージがないと98罫線が表示されません。以下の手順で設定します。
①Neko Project Ⅱのファイルに含まれている font.tmp をfont.bmp に名前を変えて、Anex86のフォルダにコピーします。
②Anex86の[Config]-[Font]タブで、file name にfont.bmpを指定します。
これで98罫線が表示されるようになります。

   【フォントなし】  →  【フォントあり】
nofont.png usefont.png

・実ドライブにアクセス
 Anex86ではオプションによりエミュレータ内部から実ドライブにアクセスすることができます。
①オプションの anefsxr.e88 ファイルをAnex86のフォルダに置きます。
②anexfsxr.lzh に含まれている fsx.com をハードディスクイメージファイルにコピーします。
③Anex86の[Config]-[FSX]タブで、Anex86のDOSで利用するドライブレターと、対応させる実機のドライブ、フォルダ名を設定します。
④Anex86で起動したDOS画面で、fsx.comを実行します。
これで実機のドライブをAnex86からアクセスすることが可能になります。

anexdriv.png

・実機のCDドライブを使う
 オプションにより実機のCDドライブをエミュレータで使うことができます。
①オプションの anecdxnt.e86 ファイルをAnex86のフォルダに置きます。
②anecdxnt.lzh に含まれる cdx.sys をハードディスクイメージファイルにコピーします。
③Anex86の[Config]-[CDX]タブで、実機のCDドライブレターを設定します。
④エミュレータ内のMS-DOSの config.sys と autoexec.bat を変更します。
【config.sys】
 DEVICE=CDX.SYS /D:CD001
 LASTDRIVE=Z
を追加。(CD001はCDドライブにつけた任意の名前)

【autoexec.bat】
 MSCDEX /D:CD001 /L:Q
を追加。MSCDEXの/D:の後はCDX.SYSと同じ名前にします。/L:の後にCDドライブのドライブレターを書きます。

これでエミュレータのDOSを起動すると実機のCDドライブがエミュレータ内ではQドライブとして使えるようになります。

anexcd.png