B787機:機内から煙、緊急着陸 5人けが 全日空

毎日新聞 2013年01月16日 09時50分(最終更新 01月17日 01時21分)

緊急着陸し、脱出用シューターを出したまま停止する全日空機=高松空港で2013年1月16日午前10時19分、本社ヘリから幾島健太郎撮影
緊急着陸し、脱出用シューターを出したまま停止する全日空機=高松空港で2013年1月16日午前10時19分、本社ヘリから幾島健太郎撮影

 16日午前8時25分ごろ、山口宇部(山口県宇部市)発羽田行き全日空692便の最新鋭のボーイング787が愛媛県四国中央市上空を飛行中、操縦室内で異臭がしたため、同47分ごろ、高松空港に緊急着陸した。乗客129人と乗員8人は脱出用シューターで避難した。乗客5人が軽傷を負った。787機の相次ぐトラブルを受けて、所有する全日空、日本航空は計全24機の緊急点検のため、安全確認ができるまでの運航中止を決めた。

 国土交通省は、高松空港での緊急着陸について「重大なインシデント」と認定。運輸安全委員会が原因調査のため調査官5人を派遣した。

 全日空によると、16日午前8時半ごろ、兵庫県付近の上空約9000メートルを飛行中、機体前方にある電気室内で煙を感知し、客室にある緊急脱出用の誘導灯の表示にも不具合があるとのメッセージが操縦席にあった。前方の電気室には機体のエンジンを起動させるメーンバッテリーがあり、高松空港に緊急着陸後確認したが白煙などは確認されていないというが、操縦室と客室で異臭があったといい、同社は実際に白煙が出たかどうかの確認を急いでいる。

 メーンバッテリーは、米ボストンの空港で日本時間の8日、日航の787機で出火した補助動力装置用のバッテリーと同製品。

 全日空の篠辺修副社長らは16日午前11時半から記者会見し、「ご迷惑をおかけし、おわびします。運輸安全委員会の調査に全面的に協力します」と謝罪した。

 事故を受け、全日空は同日、ボーイング787について、保有する他16機の点検作業を行うことを決定。また7機所有する日航も、緊急の安全点検を決め、同型機での運航を予定していた同日の国際4路線を欠航し、1路線を他型機に切り替えることを決めた。両社とも今後、欠航などの影響が出る可能性もある。

 787機をめぐる相次ぐトラブルについて米連邦航空局(FAA)はボーイング社と合同で調査を実施すると表明、国土交通省も燃料漏れを起こした日航機について調査チームを設置し、原因調査を始めている。

 ボーイング社の広報担当者は「現在、全日空と共同で情報収集中。詳細がわかり次第、改めてコメントしたい」としている。【鈴木理之、牧野宏美、大沢瑞季、宇田川恵】

 ◇燃料漏れやぼや相次ぐ

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