警察庁長官狙撃:捜査結果公表でアレフが勝訴 損賠認める
毎日新聞 2013年01月15日 19時15分(最終更新 01月15日 20時56分)
95年3月の国松孝次・警察庁長官(当時)狙撃事件の公訴時効成立後、警視庁が「オウム真理教信者による組織的テロだった」とする捜査結果を公表したことについて、教団主流派で構成する「アレフ」が東京都などに計5000万円の損害賠償などを求めた訴訟の判決が15日、東京地裁であった。石井浩裁判長は都に100万円の賠償を命じ、アレフへの謝罪文を交付するよう命じた。当時警視総監だった池田克彦・原子力規制庁長官への請求は退けた。
長官狙撃事件では警視庁が04年に教団幹部ら4人を逮捕したが、東京地検は容疑不十分で不起訴にした。
だが、警視庁は10年3月、時効の成立を受けて記者会見し、教団の信者グループによる犯行と断定する捜査結果を公表した。そして、その概要を約1カ月間、同庁ホームページで掲載した。
判決は「無罪推定の原則に反するばかりでなく、刑事司法制度の基本原則を根底からゆるがす」と批判し、謝罪文交付を認めた。
警視庁の前田守彦訟務課長は「主張が認められなかったことは残念です。判決内容を検討した上で対応を決めます」とコメントした。【鈴木一生】