PC遠隔操作:事件の動機は…捜査本部、全容解明目指す
毎日新聞 2013年02月10日 12時22分(最終更新 02月10日 12時42分)
「以前、事件に巻き込まれたせいで人生の大幅な軌道修正をさせられた」−−。今年1月に神奈川県藤沢市の江の島で見つかった記憶媒体には、犯行動機とみられるメッセージが残されていた。警察など捜査機関に対する怨恨(えんこん)が事件の動機なのか。警視庁などの合同捜査本部は、威力業務妨害容疑で逮捕したIT関連会社社員、片山祐輔容疑者(30)=東京都江東区=を追及し、計4人が誤認逮捕されたサイバー事件の全容解明を目指す。
「事件に巻き込まれた」というメッセージとの関係を示すように、片山容疑者はこれまでインターネット掲示板に、大手レコード会社や学校に対する脅迫文章を書き込んだなどとして複数回逮捕されている。
片山容疑者は05年9月にインターネット掲示板に、仙台市太白区の女子児童(当時10歳)の名前を挙げ「からだじゅうをキリさいて分解する」などと書き込み、女児と家族を脅したとして同年10月に宮城県警に脅迫容疑で逮捕された。
さらに05年11月には警視庁に強要未遂容疑で再逮捕されている。
大手レコード会社「エイベックス・グループホールディングス」(東京都港区)の発売曲の宣伝に使われていたキャラクター「のまネコ」の使用中止を要求。社員を刃物で殺害すると書き込んだとされる。また、一連の書き込みについて「社長に指示されてやった」などとインターネット掲示板「2ちゃんねる」に書き込み、社長の名誉を傷つけたとして、名誉毀損(きそん)容疑で追送検されている。ネット上では「のまネコ事件」として話題になり、傍聴記録とされる文章が掲載されている。
合同捜査本部は防犯カメラ画像の解析と犯行動機とみられるメッセージから、インターネットを介した複数の事件に関与してきた片山容疑者を浮上させた。今後は、高度な技術を要する遠隔操作ウイルスを利用し、報道機関に犯行声明を送りつけ、捜査機関への挑発を繰り返した「劇場型事件」の全容解明に向け、捜査を進める。
10日午前8時半すぎ、逮捕状を執行された片山容疑者は、捜査員に連れられ、自宅マンション前に姿を現した。青と白のチェックのパーカを目深にかぶり、うつむき加減でゆっくりとした足取りで、捜査車両に乗り込んだ。