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集まれ!ほっとエイジ

「高齢者はIT苦手」はウソ ネットが老後を充実 東京大学大学院情報学環教授 橋元良明氏

(4/4ページ)
2013/2/8 6:30
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■デジタルシニアの増加、シニアの在宅就労を後押し

――これからアクティブなデジタルシニアが増えてくると、どんなところにITの活用分野が広がってくると思われますか。

橋元 高齢化すると自力で遠方に行ったりできなくなるのですが、高齢者には知恵がありますから、自分たちが持っている知恵をネットを通じてほかの世代に伝える。そうした形で社会参加をしていくことが広がっていきそうです。ネットを通じてコミュニティーを自ら主宰するようなシニアも出てくるのではないでしょうか。

 70代になっても元気で頭も冴(さ)えている人はたくさんいますが、通勤が難しくなってくるので、在宅就労も増えてくると思います。高齢者の頭を使う労働力の活用が進むと思います。

――年金があれば、そんなに高い賃金をもらわなくてもいいわけですから、高齢者の知恵はITを使ってうまく活用すべきでしょうね。

橋元 高齢者は経験が豊富ですから、高齢者の知恵は役に立つと思います。

――スマートフォン(スマホ)など、高齢者にとって扱いやすい機器が出てきたことも高齢者のIT利用の追い風になっていますね。

橋元 タブレット(多機能携帯端末)はシニアにぴったりだと思います。スマホよりも字が大きいですし、画面もきれいですし、操作も簡単です。

■情報リテラシーの高さが問われる時代に

――これからはだんだんネットに強い世代が高齢化してくるわけです。橋元さんが「デジタルネイティブ」と呼んだ70年代後半に生まれた世代が高齢化した場合、彼らが作る超高齢社会とはどんな社会になると思われますか。

橋元 「知」の観念はだいぶ変わってくるのでしょうね。「知のクラウド化」と我々は言っていますが、これからは、ネットにつながる環境であれば、覚えていることよりもはるかに多くの知識が手軽に得られます。ですから、情報を効率的に探し出して、その中で真贋(しんがん)を見極めて、それを編集する力が重視されるようになってくると思います。

――情報リテラシーの高さが問われるようになってくるわけですね。

橋元 たくさん情報があるなかで、何が正しく信頼できるかを判断するためには、「知恵」が必要になってくるわけです。本当の意味での頭の良さが必要になります。

――いまはネット上の信頼できる情報のもとになっているのはマスメディアが集めた情報であることが多いですが、ネットばかりが重んじられると、マスメディアがこれからも信頼できるネット情報の供給源であり続けられるかが心配になります。

橋元 そうですね。新聞社、テレビ局の経営が傾くと、情報収集体制の維持ができなくなります。つまり、外国の駐在員の数を減らさざるを得なくなったり、国内の取材人員を減らさざるを得なくなったりして、ニュースが貧弱になってきます。ネットとマスメディアはバランスよく発展していく必要があると思います。

(ラジオNIKKEIプロデューサー 相川浩之)

[ラジオNIKKEI「集まれ!ほっとエイジ」12月19日、26日放送の番組を基に再構成]

 「集まれ!ほっとエイジ」は、変化を恐れない果敢なシニアたち=ほっとエイジが、超高齢社会をどう生き抜くか、を考えるラジオNIKKEIの番組(http://www.radionikkei.jp/hot-age-wide/)で、日経電子版には2012年放送分を再構成して掲載しています。1月11日からは「集まれ!ほっとエイジワイド」として毎週金曜日11:35~12:30に生放送でお送りしています。キャスターは相川浩之、町亞聖。

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「集まれ!ほっとエイジ」 超高齢社会を前向きに

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集まれ!ほっとエイジ 一覧

 はしもと・よしあき 1955年京都市生まれ。78年東京大学文学部心理学科卒業。82年東京大学大学院社会学研究科修士課程修了。現在、東京大学大学院情報学環教授。専攻はコミュニケーション論。著書に「メディア・コミュニケーション学」(編著、大修館書店)、「ネオ・デジタルネイティブの誕生」(共著、ダイヤモンド社)、「メディアと日本人」(岩波新書)などがある。

「高齢者はIT苦手」はウソ ネットが老後を充実
東京大学大学院情報学環教授 橋元良明氏

 「高齢者はIT(情報技術)が苦手」という認識は、改める必要がある。すでに60代の半数以上がインターネットを利用し、ショッピングやコミュニケーションの手段として使いこなしている。「ITを使いこなすデジ…続き (2/8)

 たけうち・たかひと 1941年東京に生まれる。66年日本医科大学卒業。日本医科大学教授(リハビリテーション科)を経て、04年より国際医療福祉大学大学院教授(医療福祉研究科)。この間73年より特別養護老人ホームに関わり「離床」「おむつゼロ」などを実践。80年代後半より高齢者在宅ケア全般に関わる。著書に、「医療は『生活』に出会えるか」(医歯薬出版)、田原総一朗・竹内孝仁共著「認知症は水で治る」(ポプラ社)などがある。

介護はお世話からリハビリへ 「普通の生活」基本に
国際医療福祉大学大学院教授 竹内孝仁氏

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 いわさき・ひでとし 1953年、東京生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、日本興業銀行に入行。スタンフォード大学経営大学院で経営学修士取得。98年より2003年までJPモルガン、メリルリンチなどの外資系投資銀行(マネージング・ダイレクター)を経て、現在、経営コンサルタント会社「インフィニティ」代表取締役。
 主な著書に「投資銀行」(PHP研究所)、 「リーマン恐慌」(広済堂出版)、 「サバイバルとしての金融」「金融資産崩壊」(祥伝社新書)、「M&A新世紀」(KKベストセラーズ)、「定年後 年金前」(祥伝社新書)、「マネー大激震」(ベスト新書)、「自分年金をつくる――今からでも遅くない!」(ベスト新書)などがある。

さらに厳しく 年金開始年齢70歳時代に備えよう
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