――どういう使い方をしているのでしょうか。
橋元 インターネットを利用するシニア層の6割以上がネットショッピングをしていました。3割の人がネットオークションも、5割近くがネットでチケット予約もしています。
シニアはお金を持っているのだけれども、将来に不安があるので財布のヒモは固くてなかなかお金を出しません。でも、時間はあるので、ネットを使ってとても細かく検討します。若い人のような衝動買いはあまりしないようです。
■ネット利用者は情報の欲求・発信力高い
――ネット向きですね。
橋元 ネットはシニアのためにあるような感じさえしますね。遠くに行かなくても、身体が動かなくてもいいのですから。
――しかし、ネットを使う人は株の取引などもできますから、ネットで損をしたりしないか心配です。
橋元 ネットを使う「デジタル層」とネットを使わない「非デジタル層」を比較したのですが、デジタル層の方が財テクなどにも関心があります。関心はあるのだけれど、懸念されるほどは実際には投資をしていないし、悪質商法にひっかかることもそれほど多くないようです。つまり、ネットをやっているような人はいろいろなものをきちんと理解するリテラシー(読み書き能力、教養や常識)が高いようなのです。
デジタルシニアはいろいろな意味で非デジタルシニアと違うところがあります。
例えば、デジタルシニアの消費は非デジタルシニアより多いですし、外食とか旅行の機会も多いです。デジタルシニアは「新しいことは他人より早く知りたい」という情報欲求も強く、自分の知っている情報をいろいろな人に伝えたいという情報発信力も高い。社交性もあり、幸福を感じる度合いも高いのです。
■新たな社会的つながりも生まれる
「生きがいに感じていることはあるか」という問いに対して「ある」という答えが多いのもデジタルシニアです。ネットを使いこなしている人は生き生きしています。
富山の実験でグループインタビューしたりしても「世界が広がった」「情報量が飛躍的に増した」「やることが多くなった」――といった回答が多かったので、ネットをやることで、ますます情報が多くなって、生きがいがいろいろ出てくるのではないでしょうか。
――リタイアすると社会から隔絶されてしまう感じがあると思うのですが、ネットでいろいろな人とつながることができるのがいいのかもしれませんね。
橋元 特に男性は退職すると社会的なつながりが切れてしまいがちですが、ネットを使っていると趣味でのつながりなど、新たなつながりもできます。フェイスブックなどのソーシャルメディアはシニアの方こそ有効利用すべきツールだと思います。
橋元良明、PCTOOL、スカイプ、インターネット、ネットショッピング、フェイスブック、情報技術、電通、電通総研、日経
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