日本経済新聞

2月10日(日曜日)

日本経済新聞 関連サイト

ようこそ ゲスト様
  • ヘルプ

コンテンツ一覧

・電子版ライフで連載した「おとなの数学」が電子書籍になりました。詳細はこちら

集まれ!ほっとエイジ

「高齢者はIT苦手」はウソ ネットが老後を充実 東京大学大学院情報学環教授 橋元良明氏

(3/4ページ)
2013/2/8 6:30
小サイズに変更
中サイズに変更
大サイズに変更
保存
印刷
リプリント
共有

――どういう使い方をしているのでしょうか。

橋元 インターネットを利用するシニア層の6割以上がネットショッピングをしていました。3割の人がネットオークションも、5割近くがネットでチケット予約もしています。

 シニアはお金を持っているのだけれども、将来に不安があるので財布のヒモは固くてなかなかお金を出しません。でも、時間はあるので、ネットを使ってとても細かく検討します。若い人のような衝動買いはあまりしないようです。

■ネット利用者は情報の欲求・発信力高い

――ネット向きですね。

橋元 ネットはシニアのためにあるような感じさえしますね。遠くに行かなくても、身体が動かなくてもいいのですから。

――しかし、ネットを使う人は株の取引などもできますから、ネットで損をしたりしないか心配です。

橋元 ネットを使う「デジタル層」とネットを使わない「非デジタル層」を比較したのですが、デジタル層の方が財テクなどにも関心があります。関心はあるのだけれど、懸念されるほどは実際には投資をしていないし、悪質商法にひっかかることもそれほど多くないようです。つまり、ネットをやっているような人はいろいろなものをきちんと理解するリテラシー(読み書き能力、教養や常識)が高いようなのです。

 デジタルシニアはいろいろな意味で非デジタルシニアと違うところがあります。

 例えば、デジタルシニアの消費は非デジタルシニアより多いですし、外食とか旅行の機会も多いです。デジタルシニアは「新しいことは他人より早く知りたい」という情報欲求も強く、自分の知っている情報をいろいろな人に伝えたいという情報発信力も高い。社交性もあり、幸福を感じる度合いも高いのです。

■新たな社会的つながりも生まれる

 「生きがいに感じていることはあるか」という問いに対して「ある」という答えが多いのもデジタルシニアです。ネットを使いこなしている人は生き生きしています。

 富山の実験でグループインタビューしたりしても「世界が広がった」「情報量が飛躍的に増した」「やることが多くなった」――といった回答が多かったので、ネットをやることで、ますます情報が多くなって、生きがいがいろいろ出てくるのではないでしょうか。

――リタイアすると社会から隔絶されてしまう感じがあると思うのですが、ネットでいろいろな人とつながることができるのがいいのかもしれませんね。

橋元 特に男性は退職すると社会的なつながりが切れてしまいがちですが、ネットを使っていると趣味でのつながりなど、新たなつながりもできます。フェイスブックなどのソーシャルメディアはシニアの方こそ有効利用すべきツールだと思います。

  • 前へ
  • 1ページ
  • 2ページ
  • 3ページ
  • 4ページ
  • 次へ
小サイズに変更
中サイズに変更
大サイズに変更
保存
印刷
リプリント
共有
関連キーワード

橋元良明、PCTOOL、スカイプ、インターネット、ネットショッピング、フェイスブック、情報技術、電通、電通総研、日経

「集まれ!ほっとエイジ」 超高齢社会を前向きに

【PR】

【PR】

集まれ!ほっとエイジ 一覧

 はしもと・よしあき 1955年京都市生まれ。78年東京大学文学部心理学科卒業。82年東京大学大学院社会学研究科修士課程修了。現在、東京大学大学院情報学環教授。専攻はコミュニケーション論。著書に「メディア・コミュニケーション学」(編著、大修館書店)、「ネオ・デジタルネイティブの誕生」(共著、ダイヤモンド社)、「メディアと日本人」(岩波新書)などがある。

「高齢者はIT苦手」はウソ ネットが老後を充実
東京大学大学院情報学環教授 橋元良明氏

 「高齢者はIT(情報技術)が苦手」という認識は、改める必要がある。すでに60代の半数以上がインターネットを利用し、ショッピングやコミュニケーションの手段として使いこなしている。「ITを使いこなすデジ…続き (2/8)

 たけうち・たかひと 1941年東京に生まれる。66年日本医科大学卒業。日本医科大学教授(リハビリテーション科)を経て、04年より国際医療福祉大学大学院教授(医療福祉研究科)。この間73年より特別養護老人ホームに関わり「離床」「おむつゼロ」などを実践。80年代後半より高齢者在宅ケア全般に関わる。著書に、「医療は『生活』に出会えるか」(医歯薬出版)、田原総一朗・竹内孝仁共著「認知症は水で治る」(ポプラ社)などがある。

介護はお世話からリハビリへ 「普通の生活」基本に
国際医療福祉大学大学院教授 竹内孝仁氏

 おむつゼロ、自力歩行などの「自立支援介護」に力を入れる介護施設が増えている。それを推進しているのが国際医療福祉大学大学院教授の竹内孝仁氏だ。家庭で介護できなくなった人が入る特別養護老人ホーム(特養)…続き (2/1)

 いわさき・ひでとし 1953年、東京生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、日本興業銀行に入行。スタンフォード大学経営大学院で経営学修士取得。98年より2003年までJPモルガン、メリルリンチなどの外資系投資銀行(マネージング・ダイレクター)を経て、現在、経営コンサルタント会社「インフィニティ」代表取締役。
 主な著書に「投資銀行」(PHP研究所)、 「リーマン恐慌」(広済堂出版)、 「サバイバルとしての金融」「金融資産崩壊」(祥伝社新書)、「M&A新世紀」(KKベストセラーズ)、「定年後 年金前」(祥伝社新書)、「マネー大激震」(ベスト新書)、「自分年金をつくる――今からでも遅くない!」(ベスト新書)などがある。

さらに厳しく 年金開始年齢70歳時代に備えよう
経営コンサルタント 岩崎日出俊氏

 老後に暮らしていけるだけの年金が果たしてもらえるのだろうかといった年金不安が、若い世代に広がっている。しかし、「公的年金の保険料をしっかり払った上で、足りない部分を自助努力で積み立てれば大丈夫」と経…続き (1/25)

【PR】

モバイルやメール等で電子版を、より快適に!

各種サービスの説明をご覧ください。

TwitterやFacebookでも日経電子版をご活用ください。

[PR]

【PR】

ページの先頭へ

日本経済新聞 電子版について

日本経済新聞社について