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「高齢者はIT苦手」はウソ ネットが老後を充実 東京大学大学院情報学環教授 橋元良明氏

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2013/2/8 6:30
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■メリット知ることで興味がわく

――1990年代にインターネットが普及し始めたころは、あまり役に立つサイトがなく、サービスも不十分でした。しかし最近はインターネットが生活のあらゆる部分をカバーできるようになり、サービスも洗練されてきました。いきなり初心者が最高のサービスを享受できる環境になっていますね。

橋元 そうなんです。例えば、高齢の方々が幼かったときの歌謡曲を簡単に聴いたりできるようになりました。ですから「ネットはこんなにいいものだったんだ」ということを実感されているようです。

 お孫さんとのコミュニケーションも活発になり、写真を送ったり、インターネット電話サービスの「スカイプ」で通話したりする人もいます。

――スカイプまで使うのですか。若い人でもスカイプを使えない人はたくさんいますよ。

橋元 遠くの息子さんともやり取りできるようになって、助かっているようです。ネットはずっと閉じこもってやっているような暗いイメージもあるのですが、実際はネットを始めた高齢の方たちは、交流の範囲が広くなって生き生きしています。

――富山では、PCTOOLが高齢者たちの指導にあたったわけですね。

橋元 月1回のペースで講習会を開きました。

――そういう支援の環境さえあれば、高齢者もITに取り組めるわけですね。それまではネットのサービスについてまったく知らなかったり、ITに触れる機会がなかったりして、できなかっただけなのですね。

橋元 ネットをやっていない人が、なぜやっていないのかを調べてみると、1つはネットのメリットを知らないからなんです。知らないから興味が持てません。でもやり始めると、思ったほど難しくない。グラフを書いたり図を描いたりするのは難しいかもしれませんが、ネットを使ってショッピングしたり、コミュニケーションをしたり、いろいろなものを調べたりするのはそんなに高度なスキルを必要とするわけではなく、だれでもできるんですね。

■70代の4人に1人がネットを利用

――ITは当初はビジネスへの活用からスタートし、「ワープロソフトの『ワード』と表計算ソフトの『エクセル』を覚えましょう」という感じでしたから、難しい感じがしましたが、いまは自分の好きなことの延長でできますから、取っつきやすいのでしょうね。

橋元 やりたいことができるというのは重要です。僕は高齢の方にITを教えるときは、順番通りワード、エクセルを教えるよりは、まず、好きな動画を見ましょうとか、こんな面白いサイトがありますよ、というところから始めるべきだと思います。

――これまで3回全国調査をされたということですが、そこから浮かび上がる「デジタルシニア」の実像を教えていただけますか。

橋元 いま、どれくらいの方がネットを使いこなしているかというと、60代でいえば、2005年時点で25%くらいしかネットを利用する人がいなかったのが、10年になると49%が利用。新しい12年調査では57%が利用しています。利用する人の数の伸び率が60歳以上の方はすごく高いのです。70代でも12年には25%弱の人が使っています。

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「集まれ!ほっとエイジ」 超高齢社会を前向きに

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 はしもと・よしあき 1955年京都市生まれ。78年東京大学文学部心理学科卒業。82年東京大学大学院社会学研究科修士課程修了。現在、東京大学大学院情報学環教授。専攻はコミュニケーション論。著書に「メディア・コミュニケーション学」(編著、大修館書店)、「ネオ・デジタルネイティブの誕生」(共著、ダイヤモンド社)、「メディアと日本人」(岩波新書)などがある。

「高齢者はIT苦手」はウソ ネットが老後を充実
東京大学大学院情報学環教授 橋元良明氏

 「高齢者はIT(情報技術)が苦手」という認識は、改める必要がある。すでに60代の半数以上がインターネットを利用し、ショッピングやコミュニケーションの手段として使いこなしている。「ITを使いこなすデジ…続き (2/8)

 たけうち・たかひと 1941年東京に生まれる。66年日本医科大学卒業。日本医科大学教授(リハビリテーション科)を経て、04年より国際医療福祉大学大学院教授(医療福祉研究科)。この間73年より特別養護老人ホームに関わり「離床」「おむつゼロ」などを実践。80年代後半より高齢者在宅ケア全般に関わる。著書に、「医療は『生活』に出会えるか」(医歯薬出版)、田原総一朗・竹内孝仁共著「認知症は水で治る」(ポプラ社)などがある。

介護はお世話からリハビリへ 「普通の生活」基本に
国際医療福祉大学大学院教授 竹内孝仁氏

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 いわさき・ひでとし 1953年、東京生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、日本興業銀行に入行。スタンフォード大学経営大学院で経営学修士取得。98年より2003年までJPモルガン、メリルリンチなどの外資系投資銀行(マネージング・ダイレクター)を経て、現在、経営コンサルタント会社「インフィニティ」代表取締役。
 主な著書に「投資銀行」(PHP研究所)、 「リーマン恐慌」(広済堂出版)、 「サバイバルとしての金融」「金融資産崩壊」(祥伝社新書)、「M&A新世紀」(KKベストセラーズ)、「定年後 年金前」(祥伝社新書)、「マネー大激震」(ベスト新書)、「自分年金をつくる――今からでも遅くない!」(ベスト新書)などがある。

さらに厳しく 年金開始年齢70歳時代に備えよう
経営コンサルタント 岩崎日出俊氏

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