■メリット知ることで興味がわく
――1990年代にインターネットが普及し始めたころは、あまり役に立つサイトがなく、サービスも不十分でした。しかし最近はインターネットが生活のあらゆる部分をカバーできるようになり、サービスも洗練されてきました。いきなり初心者が最高のサービスを享受できる環境になっていますね。
橋元 そうなんです。例えば、高齢の方々が幼かったときの歌謡曲を簡単に聴いたりできるようになりました。ですから「ネットはこんなにいいものだったんだ」ということを実感されているようです。
――スカイプまで使うのですか。若い人でもスカイプを使えない人はたくさんいますよ。
橋元 遠くの息子さんともやり取りできるようになって、助かっているようです。ネットはずっと閉じこもってやっているような暗いイメージもあるのですが、実際はネットを始めた高齢の方たちは、交流の範囲が広くなって生き生きしています。
――富山では、PCTOOLが高齢者たちの指導にあたったわけですね。
橋元 月1回のペースで講習会を開きました。
――そういう支援の環境さえあれば、高齢者もITに取り組めるわけですね。それまではネットのサービスについてまったく知らなかったり、ITに触れる機会がなかったりして、できなかっただけなのですね。
橋元 ネットをやっていない人が、なぜやっていないのかを調べてみると、1つはネットのメリットを知らないからなんです。知らないから興味が持てません。でもやり始めると、思ったほど難しくない。グラフを書いたり図を描いたりするのは難しいかもしれませんが、ネットを使ってショッピングしたり、コミュニケーションをしたり、いろいろなものを調べたりするのはそんなに高度なスキルを必要とするわけではなく、だれでもできるんですね。
■70代の4人に1人がネットを利用
――ITは当初はビジネスへの活用からスタートし、「ワープロソフトの『ワード』と表計算ソフトの『エクセル』を覚えましょう」という感じでしたから、難しい感じがしましたが、いまは自分の好きなことの延長でできますから、取っつきやすいのでしょうね。
橋元 やりたいことができるというのは重要です。僕は高齢の方にITを教えるときは、順番通りワード、エクセルを教えるよりは、まず、好きな動画を見ましょうとか、こんな面白いサイトがありますよ、というところから始めるべきだと思います。
――これまで3回全国調査をされたということですが、そこから浮かび上がる「デジタルシニア」の実像を教えていただけますか。
橋元 いま、どれくらいの方がネットを使いこなしているかというと、60代でいえば、2005年時点で25%くらいしかネットを利用する人がいなかったのが、10年になると49%が利用。新しい12年調査では57%が利用しています。利用する人の数の伸び率が60歳以上の方はすごく高いのです。70代でも12年には25%弱の人が使っています。
橋元良明、PCTOOL、スカイプ、インターネット、ネットショッピング、フェイスブック、情報技術、電通、電通総研、日経
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