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解説・なぜ容疑者を特定できたのか
2月10日 9時28分

解説・なぜ容疑者を特定できたのか
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大きく動いた遠隔操作ウイルス事件。警察はなぜ容疑者を特定することができたのか。捜査のポイントを社会部の藤本智充記者が解説します。

防犯カメラ映像で捜査が“リアル空間”へ

最大の決め手となったのは、防犯カメラからの捜査でした。
合同捜査本部は、当初、遠隔操作や犯行声明とみられるメールが、どこから送信されていたのかを調べましたが、発信元の特定を難しくする特殊なソフトが使われるなどしており捜査は難航しました。
しかし、先月になって真犯人を名乗る人物から報道機関などに再びメールが送りつけられたことで、捜査は急展開します。
先月5日のメールには、「新春パズル」という名前のクイズが書き込まれており、これを解いていくと、神奈川県の江の島にいるネコの首輪に記憶媒体を取り付けたことを示す写真が掲載されていました。
合同捜査本部が調べたところ、実際に、江の島でよく似たネコの首輪からマイクロSDカードが見つかり、さらに、近くの防犯カメラに猫に近づく不審な男が映っていたのです。
周辺にある駅などの防犯カメラの映像をさらにたどっていくことで、記憶媒体を取り付けたとみられる男を特定し、裏付け捜査を進めた結果、遠隔操作事件にも関わった疑いが強まったということです。
男の動きがサイバー空間から、警察の従来の捜査手法が生かせる現実の世界に移ったことで、捜査は大きな展開を見せました。

ポイントは手口と動機解明

今後の焦点は、警察に4人の男性を誤認逮捕させるに至った犯行の詳しい手口と動機の解明です。
まず手口について、合同捜査本部では遠隔操作ウイルスが作られた経緯や、ウイルスを使った遠隔操作の具体的な手口などの捜査を進める方針です。
男の自宅などの捜索を行い、パソコンなどを押収し犯行の詳しいいきさつを調べることにしています。
犯行の動機については、弁護士などに送りつけられた犯行声明のメールの中に、動機をうかがわせる文章があります。
この中では「警察・検察をはめてやりたかった、醜態をさらさせたかったという動機が100%です」などと書かれていました。
さらに、「警察・検察のかたへ、あそんでくれてありがとう。またいつかあそびましょうね」などと、捜査当局を挑発するような内容も書かれていました。
こうしたことから、男は警察や検察に対して何らかの恨みを持っていた可能性があります。
合同捜査本部では男から詳しく事情を聞いて、動機の解明を進める方針です。

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