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県内被災市町にくすぶる不満 復興庁発足1年

 10日で発足1年を迎えた復興庁の働きぶりに対し、復興行政を担う宮城県内の被災市町の間には批判と評価が交錯する。特に同庁が査定する復興交付金に関しては「配分基準が厳しい」と不満が根強い。発足当初、被災市町との意思疎通は密になったと言われるが、同庁が掲げる現場主義の浸透と理解には、まだ時間がかかりそうだ。

 「採点すると、60点ぐらい。交付金の申請では今も『査定庁』のままだ」
 沿岸部の市幹部は、昨年3月の復興交付金第1次配分の際、村井嘉浩宮城県知事が批判した言葉を引用し、復興庁の姿勢を批判する。
 生活再建やまちづくりに関連する国の制度が大規模災害を想定せず、現状と合わないことへのいら立ちも募っており、「復興庁は根本的なスタンスを間違えている。被災地に合わせた制度をつくらないと復興は遅くなるに決まっている」と吐き捨てるように言った。
 昨年11月の復興交付金第4次配分で、避難道路などの整備事業を削られた沿岸自治体の担当者は「査定基準が厳しい。余震が続く中、住民の安全を考えれば必要な設備だった」と主張し、被災地の立場に立った柔軟な対応を求めた。
 被災市町に対応する「窓口のワンストップ機能」にも懐疑的な見方が広がる。仙台市職員は「他省庁と調整を重ねた上で復興庁と話をする。震災前の流れと変わらない」と打ち明ける。
 「復興庁は各省庁から職員が集まっており、担当外の事業では共通認識を持つのに時間が掛かる」。県南部の自治体職員は、内部の人員体制の問題点を指摘した。
 一方、1年を経て、復興庁の姿勢に「変化を感じる」という評価もある。
 仙台市幹部は、津波被害を軽減する6メートルの県道かさ上げ事業が第2次配分で認められたことを例に挙げ、「防災まちづくりのメルクマール(指標)となる事業だった。(批判を浴びた)第1次配分後、復興庁の対応ははっきり変わった。地元の要望に合った形で解決しようとしている」と話した。
 佐藤仁南三陸町長は「被災地にこまめに足を運んでもらい、思いを誠実に受け止めてくれた。経験したことのない大災害だけに、この1年、復興庁職員は大変だったと思う」とねぎらった。


2013年02月10日日曜日


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