日本はまたやり方を間違えた?
対中交渉で常に取り沙汰される「面子」
一方で、山口委員長が渡した「親書」、それが今にして、何の意味も持たなくなったことが問われている。
山口委員長は1月22日、安倍首相の親書を持参し北京を訪問。25日に習近平総書記との間で行われた1時間10分にも及ぶ会談では、関係修復の兆しが見えるものとして、日中双方で成功裏に終わったと受け止められていた。
中国では国民感情を気にしてか、メディアの書きぶりは大きな評価を与えるものではなかったが、それでも日本・中国ともにトップニュースとして報じられ、両国の経済界は「ようやく雪解けか」との期待感をにじませた。
しかし、これらは水泡に帰したかのようだ。親日派の中国人識者からは「日本、またやり方を間違えた」の失望の声が上がる。
「この情報(レーダー照射事件)が先に日本のメディアによって報道されたことは、日中関係修復にマイナスの影響を与えるだろう」と危惧する声もある。
親日派の中国人識者のひとりは、「中国の面子を考慮し、この事件を隠密裡に処理するのが妥当だった」と述べている。例えば、高村正彦自民副総裁を特使として派遣し、彼の口から直接中国側に申し入れを行うべきだった、というものだ。
今回は、先に日本のメディアを通じて情報が公開され、中国外交部は後から事態を知る形となった。2月7日のテレビニュースでは、中国外交部スポークスマンが記者の質問を受け、6秒あまりの沈黙の後に「報道を通じて初めて知った、詳細は関連部署に聞いてくれ」と“寝耳に水”の様相を露呈した。
中国流のやり方は「常に相手の面子を立てる」のが原則という。しかし日本人にとっては、レーダーを照射されてまでもなお、相手の面子に配慮しなくてはならないとは理解に苦しむ。