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2013年2月10日(日)付

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発送電分離―後戻りは許されない

経済産業省の有識者委員会が電力システム改革の報告書をまとめた。与党内での議論を経て、経産省は必要な改正法案を今国会に提出する。地域独占を撤廃し、家庭向け電力の販売自由化[記事全文]

女子柔道暴力―黙認の体質こそ解明を

指導陣の交代で問題は終わらない。15人の女子選手が「決死の思いで」発した告発に本気でこたえ、安心できるスポーツ環境を作らねばならない。国内柔道で最高峰にある日本代表チー[記事全文]

発送電分離―後戻りは許されない

 経済産業省の有識者委員会が電力システム改革の報告書をまとめた。与党内での議論を経て、経産省は必要な改正法案を今国会に提出する。

 地域独占を撤廃し、家庭向け電力の販売自由化や電力市場の活性化を通じて、競争と新規参入を促す手立てが網羅されている。実施されれば抜本的な改革となる。

 なかでも、電力会社の発電部門と送配電部門を別会社にする「法的分離」を明記した意義は大きい。

 多様な電源を生かした効率的な電力ネットワークをつくるには、送電網の広域化・中立化が不可欠だ。長年、課題とされながら電力会社の抵抗でびくともしなかった分野である。

 「変革」の必要性をつきつけたのは、原発事故だ。電力会社が「安定供給のため」と主張してきた発送電一体・地域独占の仕組みが、実はひどく脆弱(ぜいじゃく)だったことが露呈した。

 後戻りは許されない。

 改革メニューには、送電網を束ね、必要な整備計画や需給を調整する広域連携機関と、これらを監視し、利用者側の視点に立って必要な是正を求める新たな規制機関の創設も盛り込まれている。

 中身が多岐にわたるため、改革は段階的に進められる。発送電分離の実施は、最終段階となる2018年以降になる見通しという。

 たしかに制度設計には一定の時間がかかるし、混乱を避けるためには順序を整理する必要もあろう。

 ただ、欧米ではすでに定着している制度も少なくない。日本に適した形へと手直しする必要はあるが、できるだけ前倒しで実施すべきだ。

 電力会社は今なお、技術的な難しさなどを理由に、発送電分離に強く抵抗している。

 工程表を明示するのはもちろん、後から骨抜きにされたり先送りされたりすることのないよう、法律上の手当てをしっかりしておくことが肝要だ。

 技術面でも、電力会社の言いなりにならないよう、中立的な検証・推進態勢をかためたい。必要なら、すでに分離が進んでいる海外から専門家を招いてもいいだろう。

 報告書は今後、与党審査を経る。税制改革で道路特定財源の復活を狙うなど、自民党には依然として利益誘導・業界優先の古い体質がくすぶる。往年の電力族が巻き返す機会はまだまだある。

 新しい経済のための新しい自民党を見せてもらいたい。

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女子柔道暴力―黙認の体質こそ解明を

 指導陣の交代で問題は終わらない。15人の女子選手が「決死の思いで」発した告発に本気でこたえ、安心できるスポーツ環境を作らねばならない。

 国内柔道で最高峰にある日本代表チームで、暴力やハラスメントが繰り返され、黙認されてきたのはなぜか。調査と、再発防止の対策はこれからだ。

 代表チームの監督につづき、全日本柔道連盟の強化担当理事とコーチが辞任した。選手を強化する責任者や指導者たちだ。

 全柔連の動きは後手にまわっている。外部有識者による調査委員会の設置を決めたものの、時期や改善策として明確なものは打ち出せていない。

 「人としての誇りを汚されたことに対し、ある者は涙し、ある者は疲れ果て、またチームメートが苦しむ姿を見せつけられることで、監督の存在におびえながら試合や練習をする自分の存在に気づきました」

 全柔連と日本オリンピック委員会(JOC)に告発した15人の言葉はとても重い。

 こんな心理状態になりながら金メダルを期待される重圧に耐えていた。選手たちの苦しみは想像を超えるものだ。

 15人が求めたのは、暴力をふるった監督らの更迭にとどまるものではない。勇気を出して訴えたのに、全柔連もJOCも公になるまできちんと取り上げなかった理由と責任を明らかにし、強化の方法や組織を改めてほしいと言っている。

 30人の全柔連理事枠に外部理事を招き、現在はゼロの女性理事を入れることも必要だ。

 全柔連の上にたつJOCは、選手15人から聞き取る緊急プロジェクトを始める。JOC理事4人と弁護士1人があたる。

 対象は選手に限るという。しかし、全柔連の幹部からも聞かなければ、調査が形だけのものになるのは明らかだ。

 双方の証言をつきあわせ、おきたことを確定しなければ、防止策も始まらない。選手とともに苦しんでいたコーチから聞くのも当然だ。

 JOCも初めは選手たちの訴えに自ら動くことに消極的だったのだから、そうした理由も説明しなくてはならない。調査を透明で説得力のあるものにするためには、調査は利害のない第三者にゆだね、JOCはそれに協力する形にすべきだ。

 スポーツでの暴力や体罰問題の発覚が相次いでいる。JOCは柔道以外の競技団体の調査を始めた。五輪種目に限定せず、全国の体育連盟も加わって、大学や中学・高校の部活動での実態も広く調べる方がいい。

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