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【名言か迷言か】「絶好調」安倍政権のアキレス腱はあの男…

2013.2.9 07:00更新

衆院予算委に臨む安倍晋三首相(右)と麻生太郎副総理兼財務相=8日午前

 「企業は今、巨大な内部留保を抱えていると思っております。幸いにして株価が上がり、輸出企業にとってはドルが高くなり、円が安くなったんで、明らかに思わぬ利益が入った分が収益として増えている。その増えた分で従業員の給料を上げようといわれる会社もある。ただ、ここんところは、われわれが強制してやらせることではありません。私どもは共産国家じゃありませんので」

 8日の衆院予算委員会で、麻生太郎副総理兼財務相は、共産党の笠井亮氏から「企業の収益増が従業員の賃金アップにつながっていない」と批判されると、皮肉混じりにこう切り返した。麻生氏ならではのブラックジョークに、衆院第1委員室は笑いに包まれ、安倍晋三首相も「政権として麻生副総理の発言を撤回をしますが、経営者の皆さまに賃上げの要請するつもりでございます」と笑顔で答弁を続けた。

 底抜けに明るい性格で、親しく付き合えば魅力が伝わる「半径2メートルの男」と呼ばれる麻生氏。昨年の自民党総裁選ではいち早く安倍支持を表明し、総裁選勝利への流れを作った最大の功労者でもある。安倍政権でナンバー2の副総理に抜擢されたのも、安倍首相が麻生氏の実力を高く評価しているからだといえる。

 ただ、同時に心配されているのが失言癖だ。「吉田茂の孫」という育ちの良さを隠すためか、砕けた語り口が物議を醸すことも少なくない。

 「死にてえ時に死なせてもらわなねえと困っちゃうんですよね、ああいうのは。いい加減に死にてえなと思っても、とにかく生きられますからなんて生かされてたんじゃ、かなわねえすから。しかも、その金は政府のお金でやってもらっているなんてと思うと、ますますちょっと寝ざめが悪いんで。ちょっとさっさと死ねるようにしてもらうとか、何かいろんなこと考えないと」

 1月21日に首相官邸で開かれた社会保障制度改革国民会議に出席した麻生氏は、終末期の延命治療をめぐり持論を展開。余命わずかな患者に過剰な延命治療を施すことへの問題提起だったが、「延命治療を否定している」との批判も出たため、発言から数時間後、麻生氏は「終末期のあるべき姿について意見を申し上げたわけではない」として自身の発言を撤回した。

 今後、高齢化の進行で高齢者の医療費が増えていく中で、個人の死生観を尊重しながら終末期の医療のあるべき姿を議論するのは喫緊の課題だ。厚生労働省幹部は「麻生氏の言葉遣いは乱暴だったが、言いたいことは理解できる」と同情する。

 だが、場を和ませるための麻生氏の“ビーンボール”気味の発言が、安倍政権の屋台骨を揺るがすようなことになれば元も子もない。政府内では「国会答弁で一番心配な閣僚は実は麻生氏」との見方も出ており、野党は失言を引き出そうと手ぐすねを引いている。

 前政権時の挫折を教訓として、慎重な政権運営を心がけている安倍首相だが、同じく挫折を経験した麻生氏も謙虚な気持ちを持ち続けることができるのか。そこが安倍政権が長期政権となるかの分水嶺ともなりそうだ。(桑原雄尚)

◇…先週の永田町語録…◇

(4日)

 ▽中央と別

 山口那津男公明党代表 沖縄には中央の与野党の区別とは別に、県民としての思いがある。政府、与党はそれを受け止める努力をしなければならない。(安倍晋三首相の沖縄訪問に関連し党参院議員総会で)

 ▽一人三役

 高木義明民主党国対委員長 (衆院議員が減ったため)どの委員会も一人二役、三役でやっていかなければならない。厳しいが論戦力で国会をリードしていく。(党代議士会であいさつし)

(5日)

 ▽まあまあ評判

 高村正彦自民党副総裁 補正予算案はまあまあ評判がいいが、財政規律に懸念が示されている。政府の一方的演説だけで懸念は氷解しないので質問者は説明を引き出して。(党役員連絡会で)

 ▽力を磨く

 海江田万里民主党代表 地域で党を支えた皆さんは、党に物を言いたい気持ちがうっせきしている。そういう声を受け止め、聞くことだ。聞く力を磨く、発信力を磨くことに尽きる。(党参院選対本部あいさつで)

(6日)

 ▽わが身ささげる

 安倍晋三首相 決然としたリーダーの姿が民を動かし、ひいては国を動かす。わが国は危機的な状況にある。私は強い日本をつくるため、わが身をささげる覚悟だ。(参院本会議の答弁)

 ▽枝葉の問題

 池口修次民主党参院国対委員長 日銀総裁と副総裁の任期がずれるのは枝葉の問題だ。次期総裁が決まっていないのに、なぜ白川方明総裁は任期満了前の辞職を表明したのか。国会でたださねばならない。(記者会見)

(7日)

 ▽黒猫でも

 安倍晋三首相 経済は危機的だから広い度量で、民主党政権がつくった成長戦略でも効果があれば、そのまま活用したい。白い猫でも黒い猫でも、ネズミを捕るのは良い猫だ。(衆院予算委員会で)

 ▽是々非々で

 前原誠司前国家戦略担当相 衆院当選同期で昔の議員会館は隣同士だった。首相として頑張ってもらいたい。是々非々で国益に資する形で議論したい。(衆院予算委で首相との初論戦にあたり)

(8日)

 ▽アポ取り

 安倍晋三首相 私が自民党青年局長の時に、なかなか取れない橋本龍太郎首相とのアポイントを江田憲司首相秘書官に取っていただきました。(衆院予算委員会での江田氏に対する答弁で)

 ▽圧勝間違いなし

 山田宏日本維新の会国会議員団広報委員長 日米首脳会談で環太平洋連携協定(TPP)交渉参加を決断すれば、日本維新など次の選挙で吹っ飛ぶ。自民党圧勝間違いなし。必ずそうなる。(衆院予算委で)

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