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集団的自衛権の行使に道を開くため、安倍政権が、有識者による懇談会で検討を始めた。それによって日米同盟を強化するのだと安倍首相は言う。では、日米同盟[記事全文]
新たなエネルギー社会の実現にむけて議論してきた大阪府市エネルギー戦略会議が、2030年に原発ゼロを達成するための提言をまとめた。省エネや再生可能エネルギーの活用、2年以[記事全文]
集団的自衛権の行使に道を開くため、安倍政権が、有識者による懇談会で検討を始めた。
それによって日米同盟を強化するのだと安倍首相は言う。
では、日米同盟をどう変えたいのか。平和憲法の原則をなし崩しにすることはないか。議論の出発にあたり、首相はまずそのことを明確にすべきだ。
同盟国である米国が攻撃されたら、それを日本に対する攻撃とみなし、米国を守るために自衛隊が戦う。集団的自衛権の行使を日本に当てはめれば、こういうことだ。
日本は戦後、憲法の制約のもと、自衛のための必要最小限の武力行使しか許されないとの立場をとってきた。
日本が直接攻撃されていないのに米国を守るのはこの一線を越え、憲法違反だというのがこれまでの政府の解釈である。
この解釈を改め、いくつかのケースでは米国を守れるようにしよう。さもないと日米の信頼関係が壊れると首相は唱える。
尖閣諸島をめぐって日中間の緊張が続き、北朝鮮がミサイル発射や核実験を繰り返すなか、それへの牽制(けんせい)の意味もあるのだろう。
首相がしばしば挙げるのが次のようなケースだ。
▽自衛艦の近くにいる米艦が攻撃を受けた▽米国に向かうかもしれないミサイルを日本のレーダーが捕捉した――。
だが、政府の見解では、日米の艦船が並走しているようなときに攻撃を受ければ、自衛艦がみずからを守る名目で、これに反撃できる。
さらに、現在のミサイル防衛には、米本土に向かうミサイルを撃ち落とす能力はない。
一方で、日米の防衛体制はすでに深く結びついている。例えば、現代戦のゆくえを決するのは、潜水艦の位置や、ミサイル発射の兆候や軌道などの情報だが、日米は多くの情報を共有している。
これ以上、いったい何をしたいというのか。
東アジア情勢は大きく動いている。日米協力のあり方も、状況にあわせて変える必要はあるだろう。だからといって、なぜ集団的自衛権なのか。
自民党は、その行使を幅広く認める国家安全保障基本法の制定をめざしている。
これによって、憲法が求める「必要最小限の自衛」という原則や、それを具体化するために積み上げてきた数々の歯止めを一気に取り払おうとしているのではないか。
だとすれば、かえって国益を損なうだけである。
新たなエネルギー社会の実現にむけて議論してきた大阪府市エネルギー戦略会議が、2030年に原発ゼロを達成するための提言をまとめた。
省エネや再生可能エネルギーの活用、2年以内の電力自由化などを盛り込み、実行に移すよう国や事業者に求めている。
脱原発を実現する現実的な手だてを示すよう会議に要請したのは、橋下徹大阪市長だ。野党第2党である日本維新の会の共同代表として国に働きかけていく責任がある。
東日本大震災が起こるまで、関西は原発への依存率が5割強と最も高い地域だった。国が主導するエネルギー政策に、消費地であり、住民と向き合う自治体から脱原発を提言することには意義がある。
国の政策立案に役立ちそうな提案がいくつもある。たとえば電源立地交付金を廃止し、立地自治体の産業構造転換につながる新たな支援制度を設ける提案は、脱原発を具体的に進める一歩になろう。
政府の原子力規制委員会は世界最高水準の安全基準づくりを進めている。実効あるものにするため、戦略会議は再稼働の条件だけではなく、廃炉のルールなどを明確にし、検査部門の強化も求めている。
脱原発が経済活動に与える影響にも目配りし、雇用対策として再生可能エネルギーへの投資を促している。大阪には環境・エネルギー関連企業が集まっている。「再生可能エネルギーで関西を世界の成長センターとする」ことも提言している。
自治体と専門家で関西原子力安全監視庁を設置する案が実現すれば、自治体が安全監視にかかわる新しい試みとなる。
個々の提案をどう実行するのか。具体策や工程にまで踏みこめていないところに限界を感じさせる面もある。たとえば放射性廃棄物の処理で、「後世に負の遺産を残さないよう最大限努力する」と述べるにとどめた。
提言に橋下氏は「国への提言と大阪府市でやれることを検討する」と述べた。
原発が集中する福井県の西川一誠知事は昨年、使用済み核燃料の中間貯蔵施設を電力消費地に置けばどうかと迫った。大消費地である大阪は解決策を考えていく必要がある。
総選挙の際、橋下氏は提言がまとまれば、できれば維新の政策に取りこみたいと語った。
維新は太陽の党との合併後、脱原発への姿勢があいまいになっている。これを機に党内でつっこんだ議論をし、原発政策を再構築してはどうだろうか。