福島第1原発事故の後、しばしば引き合いに出される数字の中に、原発の安全を担う人員規模の日米格差がある。米原子力規制委員会(NRC)の技術者約3000人に対し、日本の原子力安全・保安院と原子力安全基盤機構で専門知識を持つ検査職員らは合わせて約200人。米国内の原発は104基で日本の54基のほぼ2倍ということを考慮すると、米国並みに安全スタッフを充実させたければ日本でも1500人の人員が必要ということになる。
しかもNRCの検査官は厳格さで定評があり、無通告で抜き打ち検査を行う。日本では前述のように検査データ収集の外注などは日常茶飯事のようだが、NRCでは検査官が自ら検査機器を原発に持ち込んで必要な情報を集めることが珍しくない。要するに質量ともに、日本の原発の安全を支える体制の貧困さばかりが目立っている。
政府は4月に原子力安全・保安院を解体し、原子力安全庁(仮称)を新設して原発に対する安全規制を強化する方針だが、器をいくら作り替えても中身がなければ意味がない。新設の原子力安全庁は、原発推進機関である資源エネルギー庁を傘下に持つ経産省から切り離し「推進と規制の同居を解消する」とうたうが、それで安全行政が即座に機能向上するかというと、話はそれほど簡単ではないだろう。
米国のNRC並みにスタッフを増強するとすれば単純な数合わせだけでも、現状の保安院と安全機構の人員を7.5倍に拡大することが必要。だが、人材育成はうまくいったとしても時間を要する。その間いかに安全を維持するのか、明確な方向性はまだ示されていない。原発再稼働に国民の同意を求める道は険しい。湯川博士が警告した「輸入技術への過度の依存」のツケが、半世紀の時を超えて巡ってきている。
湯川秀樹、真部利応、松尾新吾、九州電力、正力松太郎、原子力発電所、朝永振一郎
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