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経常黒字の縮小が迫る変革

2013/2/9付
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 海外との総合的な取引状況を示す経常収支の黒字が、2012年に過去最小の4.7兆円まで縮小した。モノの輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支の赤字が、過去最大を更新したのが主因だ。

 この統計が映し出す日本経済の課題を真摯に受け止め、必要な変革を急がねばならない。安倍政権は海外への輸出や投資で稼ぐ力を高めるとともに、財政再建にも本腰を入れるべきだ。

 12年の貿易収支は5.8兆円の赤字(国際収支ベース)を記録した。世界経済の停滞が響いて輸出が減り、火力発電用の燃料を中心に輸入が増えたためである。

 海外からの配当や利子を含む所得収支は14.3兆円の黒字となった。この金額が大きいので経常収支も黒字を維持できたが、11年のほぼ半分に縮んでしまった。

 世界経済の改善や円高の修正を追い風に輸出が回復に向かえば、貿易黒字に戻るとの見方は根強い。だが製造業の海外移転で輸出が伸びにくくなり、原子力発電の停止で代替燃料の輸入が減りにくくなっているのは見逃せない。

 日本では貯蓄を取り崩し、消費に充てる高齢者が増える。貿易赤字の定着に高齢化の影響も加わって、早ければ10年代に経常赤字に転じるとの予測も出ている。

 大幅な経常黒字という強みが失われれば、国債の消化をより多くの海外資金に頼らざるを得なくなる。そのリスクを念頭に置き、経済政策を練り直す必要がある。

 重要なのは総合的な成長戦略だ。日本企業の輸出競争力を高め、海外への直接投資や証券投資で稼いだ利益を国内に還流させる。そのためにも環太平洋経済連携協定(TPP)への参加や法人税の減税などに踏み込んでほしい。

 もうひとつは財政の健全化である。14年度からの消費増税に頼るだけでなく、社会保障費を含めた歳出の抑制にも全力を挙げるべきだ。日本の財政運営に対する信用を維持し、海外のマネーを国内に呼び込む。その努力が重要性を増すことを忘れてはならない。

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