2012年07月27日

NYタイムズ社、デジタル有料購読者数は50万人を突破したがデジタル広告売上は減る

 NYT社(The New York Times Company)が2012年第2四半期決算を発表した。同社は昨年からデジタルコンテンツの有料化で勝負に打って出ているのだが、その経過を見てみた。

 第2四半期のデジタル有料購読者数は53万2000人となり、50万人を突破した。四半期ベースで見た有料購読者数の推移は次のようになる。

・2011年第2四半期:28万1000人
・2011年第3四半期:32万4000人
・2011年第4四半期:39万人
・2012年第1四半期:47万2000人
・2012年第2四半期:53万2000人

 順調に増え続けており、それに合わせて第2四半期の販売(Circulation)売上高は前年同期比で8.3%増と伸びた。だが広告売上高は同6.8%減と下げ止まらない。プリント(新聞紙)広告売上高が同8.0%減と落ち込むのは仕方がないとしても、上昇が期待されるデジタル広告売上高までが同4.0%減とマイナス成長になっているのが痛い。デジタル広告には不振のAbout.comの広告売上も含んでいる。ただし旗艦媒体のNYタイムズを中心とした“News Media Group”だけで見ても、デジタル広告高は1.6%減と萎んでいる。

*NYT社の2012年第2四半期(4-6月期)および2012年上期の売上高:単位:1000ドル
NYT2012Q2c.jpg

 このように、販売売上高が増え広告売上高が減るという流れが続いており、その結果、販売売上高が広告売上高にほぼ並ぶようになってきた。広告売上に大きく依存していた米国の新聞社にとって、デジタル(オンライン)シフトは大きな出血を伴うことになる。NYT社の場合はその大出血の時期は終わったようだが、デジタル広告がプラスに転じないと低迷が続くことになりそう。

◇参考
The New York Times Company Reports 、2012 Second-Quarter Results(Press Release)
New York Times narrows losses in second quarter of 2012(Guardian)
posted by 田中善一郎 at 03:25 | Comment(1) | TrackBack(0) | 新聞 ニュース
この記事へのコメント
 4年ほど前から参考にさせていただいております。本記事(NYTのデジタル有料購読者数)の関連で質問ですが、NYTの新聞(紙)をとっている人はデジタル版を無料で読めるというのは本当でしょうか?その場合、その無料のデジタル版の読者数は本記事中の「53万2000人」には当然含まれないと理解してよろしいでしょうか。基本的な質問で恐縮ですが、よろしくお願いいたします。
Posted by 井坂公明 at 2012年08月16日 15:43
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