流用レンズでYBR125の配光が改善してすっかり気を良くしてた俺だったけれど、後日最後の確認をしようと各部の電圧をテスターで
計ってみた。
「電圧降下」ってやつで、配線の電流容量や長さ・環境などによっては電線の抵抗が影響して、オームの法則通りに電圧が落ちたり発熱
したりする。
バイクで一番多く電流が流れるのはセルモーターだけど、これは元から想定された設計なので除外して、次に多いのがヘッドライト。
H4 55/60wに改造してるので純正やH4BSのような35/35wよりも消費電力(電圧×電流)が高い。
バッテリー端子の+−間の電圧とH4バルブコネクタ直近の電圧を比較してみたら、約1.3V電圧降下が見られた。
たかが1.3Vされど1.3V・・・ざっと計算して約5Wの電力が電線の抵抗で熱になって無駄に放出してるわけで照度にも影響する。
早速回路を検討して、できる限り元のワイヤーハーネスをキズ付けずに改造し、なにかあった時には簡単に元の回路に戻せたり原因究明
がしやすいように考えてみた。
これがその方法。
単純に電磁石による電磁開閉器(リレー)と電気抵抗の低い太い線を組み合わせたヘッドライト専用の配線なんですよ。
メインの電源ラインとは別にヘッドライト専用線を新たに追加し、しっかり電流を送ると共に既設の電源ラインはヘッドライト分の電流を無くして
余裕を持たせる考えだ。
色々な車が通る細い渋滞路とは別に、ヘッドライト様専用の道路を新たに敷いて通して渋滞を緩和する感じだ。
図面を見て「なるほどわからん」って思う人は、そのまま35/35Wバルブで我慢したほうがいいだろう。
テスターの使い方を心得ていて圧着端子の圧着経験があり、図面の情報から実体をイメージできる人には参考になるかと思う。
図中、参考として一般入手がしやすい部品のメーカーや型式・配線の規格などを記しておいた。
VSF電線はホムセンなどで切り売りされてる色付きビニール電線。
みなホムセンや〇〇〇バックスなどの大型カー用品店で入手できるものばかりだ。
さて、既設配線を探ってゆくうちに気づいたのが、左右のスイッチからの配線が予想に反して太いという事だった。
たぶん55/60W仕様の他車種と兼用できる部品で、スイッチボックスからの配線はそのまま使っても問題ないがバッテリから
メインスイッチ直近3Pコネクタまでの赤色配線は意外に細くて、ヘッドライト以外の消費電力を加える55/60Wライト改造だけしたら
限界値ギリギリか少し越える感じだった。
それなのにメインスイッチからの配線が一番太いのがなんとも皮肉だ。
各端子類は圧着ペンチを駆使して丁寧な作業を行う。
配線経路もライトハウス周りを外してコルゲートチューブ(蛇腹のチューブ)を直線状にして針金を通し、先端に電線を仮止めして
引っ張って1本1本丁寧に通す。
チューブの両端は純正と同じハーネステープで防塵・防水処理をして、タイラップを使い各配線がブラブラしないように整線する。
テスターで誤配線が無いか確認した後、H4コネクタをライトバルブに刺してスイッチオン!
ライトスイッチを切りかえるとリレーがカチっと音をたてて無事にヘッドライトが点灯し、まぶしい明かりを灯してくれた。
H4コネクタ直近の電圧を測るとバッテリ端子間との差が0.3Vで約1Vの改善を達成したけれど、残念ながら作業に没頭してたので当時の
測定画像は無い・・・
これで既設の電線に余裕が出来たしライトは若干だが目で見て分るくらい明るさが増したので成功だと思う。
心配されるバッテリーあがりだけど、4年間使い続けてるバッテリーで一度も起きた事がない。
もちろんバッテり液の補水管理は十分してるし、充電回路のレギュレートレクチファイヤの最大出力電流が10Aもあるのが助けになってるんだろう。
以下がYBR125搭載のレギュレートレクチファイヤの仕様書からの抜粋
これで俺のYBRヘッドライト改造の話はいったん終了とする。
くれぐれも理解せずに実行しないでほしい。
一応回路上メインヒューズを通すようにしてあるけれど、誤配線による炎上の可能性はゼロとは言えない。
改造に成功したとしても、元図と改造図を印刷して車体のどこかに書類と一緒に保管し、出先で電装系の緊急修理を依頼する時の参考資料にする
といいかと思う。
いくらバイク屋がプロでも図面がまったくない電装系の修理は即応できないし、受け付けてもらえない可能性がある。
自己責任での改造にはこんなリスクもあると認識しよう。