通信施設:根室市が保存へ 国後島つなぐ海底ケーブル起点

毎日新聞 2013年02月08日 02時30分(最終更新 02月08日 02時42分)

保存が決まった「海底ケーブル陸揚庫」=北海道根室市西浜町で2013年2月7日、本間浩昭撮影
保存が決まった「海底ケーブル陸揚庫」=北海道根室市西浜町で2013年2月7日、本間浩昭撮影

 終戦直後まで、北方領土・国後島と北海道根室市をつないでいた通信施設「海底ケーブル陸揚庫」(同市西浜町)について、市は買い上げて保存する方針を決めた。北方領土返還運動は次世代への継承が課題で、市は「施設は四島が日本固有の領土という証し。返還の機運を盛り上げたい」と話している。【本間浩昭】

 陸揚庫は鉄筋コンクリート製で、間口3.8メートル、高さ3.5メートル、奥行き5.7メートル。旧逓信省が1900(明治33)年ごろに建設。電信回線として、国後島南端の泊村ケラムイまで38.2キロにわたり敷設した海底ケーブルの根室側起点だった。

 電信回線は択捉島の北端に近い蘂取(しべとろ)村までつながり、戦前は島との重要な連絡手段だった。1945年の旧ソ連軍侵攻の際も緊迫した島の状況がリアルタイムで根室側などに伝えられた。しかし、旧ソ連軍に占拠された択捉島との通信が同年9月8日に途絶え、間もなく国後島とのケーブルも切断されたという。

 陸揚庫は倉庫として使われたこともあるが、老朽化が著しい。市は周辺の敷地も含め最大で253平方メートルを買い上げて補修し、内部を公開する方向で、地権者と交渉中。20日発表の13年度予算案に北方領土関連予算として計上する方針。「海底ケーブル保存の会」の久保浩昭さん(45)は「まずは保存の第一歩。保存したから終わりではなく、領土問題の啓発に生かすための環境整備をしてほしい」と話す。

 市内には、1931年に北太平洋の横断飛行で米国のリンドバーグの飛行機が国後島から根室港に着水する際、誘導した「落石無線送信所」など、北方領土にゆかりの深い施設が少なくない。市は、陸揚庫の保存を皮切りに、戦前の北方領土との関わりを示す施設を保存・公開する構想を持っており、石垣雅敏副市長は「北方四島との生活や体験をリアルに伝える施設の保存に努め、返還に資するまちづくりをしたい」と話している。

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