【チェンマイ(タイ)木村尚公】名古屋グランパスの“ボランチ戦争”が激化している。守備的MFでは昨季レギュラーのダニルソン(26)と田口泰士(21)のコンビが健在。加えてキャンプでは、故障から復活を期す中村直志(34)と磯村亮太(21)が好調をアピールしている。今や最激戦区となったボランチのいすをめぐる争いは、開幕ギリギリまで続きそうな気配だ。
目に見えない火花がバチバチと散っている。6日に行われた実戦形式の練習では、主力組に入ったダニルソンと田口が落ち着いたパス回しで攻撃の起点となれば、控え組の中村と磯村も好プレーで対抗。右足で豪快なゴールを奪った磯村は「ゴールをどんどん狙っていきます。監督にアピールしないと」と闘争心をあらわにした。ハイレベルな争いがチームを活性化させている。
ここ数年の実績では超人的な身体能力を誇るダニルソンがリードしているが、昨季終盤はスタメン落ちする試合もあった。立場は安泰ではない。「まずはポジションを確保しないといけない。試合に出続けることが大切」とダニルソンは言う。昨季ブレークした田口も「今は主力組でも、ダメならすぐ落とされる」と危機感を口にする。
中村も虎視眈々(たんたん)と復権を狙う。昨年手術した左ひざはほぼ完治。「今はまたケガをするのがこわい。徐々に自分のプレーを出していく」と中村。10年の優勝に大きく貢献したベテランの力はストイコビッチ監督も評価している。
昨年2度の骨折に泣いた磯村は、紅白戦などでではボランチ陣の中で最多の得点を奪っている。持ち味の攻撃力を生かし一気のレギュラー奪取をもくろんでいる。
ストイコビッチ監督は昨季、中盤にダブルボランチを並べるシステムを多用した。今キャンプでテストしている「3−4−3」と「3−5−2」もダブルボランチが攻守のかじ取り役を担うシステム。現状では守備的MFの2席を主に4人で争う構図だ。
「今年ダメだったら終わりというぐらいの気持ちでいく」と磯村。猛暑のチェンマイで、4人の争いはさらに過熱していく。 (木村尚公)
◆闘莉王、志願のダブル練習
6日に合流したばかりのDF闘莉王は予告通り、志願のダブル練習を敢行。全体練習が休みだった午後も、ランニングなど1時間余り体を動かした。「きついね。オレ一人にコーチ陣みんなの目が集中していたから」と苦笑い。「(コンディションは)すぐ戻るよ」と汗をしたたらせた。
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