プロブロガーというキャリアを歩んでいて感じることを書いてみます。
何を「書かないか」
ブロガーにとって重要なのは、「何を書くか」だけではなく「何を書かないか」です。「何を書かないか」という問いに向き合いつづけることこそ、プロのもの書きに求められることだと思います。
ぼくは「書けないことは書かない」というスタンスを取っています。
「書きたいテーマ」は山ほどあります。ネット右翼の心理について、若者ホームレス問題について、原発問題について、政治について…挙げていけばきりがありません。
でも、ぼくはそれらのテーマを書くことはありません。なぜなら、自分の血が通ったことばで語ることができないからです。
表面的に語ることは簡単にできます。しかし、自分が身体を使ってコミットした上でないと、血が通ったことばにはなりません。
よく、大して知りもしないのに「自民党はダメだ」「反原発は宗教だ」などという批判を繰り出す人がいますよね。あとは無批判に「男たるもの我慢するべきだ」みたいな正論を語る人とか。
自分の体験を通して、心からそう思うのならいいですが、意外とそういう発言は周囲の空気に流されて口をついて出たものだったりします。「自民党がダメだ」と語る人は、得てして「なんとなく」そう語っているのです。本人たちのことばを一度もじっくり聞いた(読んだ)ことがないのに、そう断罪する人が大多数です。そういうことばを吐いてしまう人は、もの書きには向いていないと思います。
ぼくはなるべく、自分の体験と思考にもとづいた、固有の洞察を紡ぐようにしています。ブログのみならず、ツイッターでもそれは同じです。
ぼくはまだまだ「政治」については、語ることばを持っていません。いずれ政治関連の仕事をするようになったら、ようやく語れるようになるのでしょう。
物理的には「自民党はダメだと思う」なんてことばをツイートすることはできますが、ぼくの信念的に、そういう浮ついたことばは書きたくありません(やってしまいがちなんですけどね…)。
「政治」にかぎらず、書けないことは山ほどあります。そもそも自分が語ることができることなんで、せいぜい森羅万象の0.000001%程度でしょう。死ぬまでには、一桁上がって0.00001%くらいは語れるようになりたいものです。そう考えると、年をとっていくというのは素敵なことです。
クリックひとつで、簡単につぶやける時代です。
だからこそ、自分の経験にもとづいた、血肉の通ったことば以外はつぶやかないことが大切だと思います。
ツグミというのは美しい鳥だと思います。口を噤んだツグミたちが、ふと声を出すとき、ぼくらは魅了されるものです。
みなさんは何を「つぶやかない」ですか?