【少年】
「……お姉ちゃん!!」
それでも『彼』は止まらない。全力で『彼女』に向かって走って行く。
ああ、駄目だ……もう、体裁なんて構ってる場合じゃない!!
【少女】
「……っ!」
『変身』する時間は無い。このまま、何とか魔術で助けるしかない。
『力』を封じたネックレスから勾玉を一つもぎ取り、意識を集中する。勾玉が光り始める。
『変身』してないから使えば恐らく『力』を回復させるのに相当な時間が必要だろう。だけど、そんな事に構っている場合じゃない。
その間も状況は変っていく。あたしは目を逸らさず『彼』と『彼女』を見続ける。
車はブレーキをかけているけど、間に合わない。
『彼女』は固まって動けない。
そこへ『彼』が飛び込む。