3月に退任する白川方明日銀総裁の後任選びが本格化する。経済が長期停滞から抜け出すには政府だけでなく日銀の役割も極めて重要だ。経済再生という共通目標へ向けて政府と連携し、柔軟に対応する。同時に、必要な場合には政治的反発を恐れずに政策の決断をする胆力も持つ。次期総裁に求められるのはそうした資質である。
日銀総裁は国会の同意を得て内閣が任命する。安倍晋三首相は「大胆な金融緩和ができる人」という条件で人選を進めるが、与党は参院で過半数の議席を持っておらず、任命には少なくとも野党の一部の同意が必要になる。
前回の総裁人事では財務省出身者かどうかが大きな焦点になったが、あくまで候補者が個人として必要な資質を持っているかどうかを判断基準にすべきだ。
政府と日銀は1月にデフレ脱却に向けて2%の物価上昇率目標を設けることなどを盛り込んだ共同声明を発表した。新総裁は声明に沿って成果を出す意欲を持った人材であることが求められよう。
ただ、その道は決して容易ではない。金利がほとんどゼロに近く伝統的な手段が限られている中で、金融緩和の効果を最大限高めるにはどうすればいいのか。金融政策が財政の穴埋めに使われていると受けとめられ、長期金利の急上昇などを招くような事態をどう避けるか。
金融政策は物価上昇率が2%になるまでマネーの量を増やし、それを超えたら引き締めに入るといった機械的な操作ですむわけではない。日銀総裁には、生き物である経済と金融市場の動きやリスクに対する深い理解と洞察力が欠かせない。日銀の意図などを市場や国民に正確に伝える強い発信力を持つことも重要だ。
総裁は世界のどこかで金融危機などが起きれば、海外の中央銀行トップらとただちに連絡を取り合い、議論をしなければならない。その意味では、国際的な信頼を得られる人材でないと務まらないだろう。
もちろんこうした能力をすべて兼ね備えた人はいないかもしれない。同時に決める2人の副総裁との組み合わせで考えることになろう。とはいえ、危険な副作用を抑えつつデフレを克服するという狭い道を進まねばならない日本経済にとって、日銀新総裁の手腕は重い意味を持つ。将来悔いの残らないよう慎重に人選をしてほしい。
日銀、白川方明、安倍晋三、経済
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