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2013年2月8日(金)付

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東電虚偽説明―国会が福島原発調査を

耳を疑うような、愚かな行為が明らかになった。東京電力が昨年2月、国会事故調査委員会に虚偽の説明をし、福島第一原発1号機への現地調査を断念させていた。照明があるのに「真っ[記事全文]

公共事業予算―最初からガラス張りに

12年度の補正予算案をめぐる国会審議がたけなわだ。総額13兆円のうち約5兆円を占める公共事業費が焦点である。「防災・減災対策を掲げながら、無駄な予算も多いのでは」と野党[記事全文]

東電虚偽説明―国会が福島原発調査を

 耳を疑うような、愚かな行為が明らかになった。

 東京電力が昨年2月、国会事故調査委員会に虚偽の説明をし、福島第一原発1号機への現地調査を断念させていた。照明があるのに「真っ暗で危険」と誤った情報を伝えたのだ。

 津波ではなく地震の揺れそのもので重要機器が壊れたのではないか。調査は、その真偽を確かめる決め手とみられていた。

 東電広報部は「何らかの意図を持って虚偽の報告をしたわけではない」というが、とても納得できない。調査に協力するつもりで状況を調べれば、少なくとも明るさには問題がないことがすぐにわかったはずだ。

 虚偽説明を受けた事故調の元委員はきのう、現地調査と東電への聞き取りを求める要望書を衆参両院議長あてに出した。

 事故調はすでに解散したが、国会には1月末、衆院原子力問題調査特別委員会が設置されている。国会の権威が軽んじられたことを重く見て、国政調査権を使ってでも、徹底的な真相究明を進めるべきだ。専門家を加えて、いま一度、事故調をつくることも検討すべきだろう。

 この問題は、事故の再発防止策とも密接にかかわる。

 原子力規制委員会は今、原発の新安全基準をつくる作業を進めている。地震の揺れそのもので重要機器が壊れたかどうかは、地震対策のあり方を判断する重大なポイントになる。

 政府、国会、民間の三つの事故調のうち、政府事故調は主に東電の聞き取りを基に「重要機器の機能は地震では損なわれなかった」とした。民間事故調は東電の協力を得られず、直接的な事故原因には迫れなかった。

 国会事故調は違った。緊急時に原子炉を冷やす「非常用復水器」が揺れで壊れた可能性があると現地調査を求めた。それが虚偽説明で阻まれたのだ。

 このままでは、新安全基準ができても大きな疑問を残すことになりかねない。

 東電はまず、自ら事実関係を詳細に明らかにすべきだ。そのうえで、国会の調査が始まれば全面協力する必要がある。

 東電は原発事故以前にも、トラブル隠しや政府への虚偽報告を繰り返してきた。

 事故後は、社内のテレビ会議映像を部分公開するなど、説明責任で前進も見られる。しかし、安全への改革はまだ不十分といわざるを得ない。

 事故原因の解明は公益中の公益である。巨額の税金で経営支援を得ながら、そこに思いをいたせないのでは、とても公益事業を名乗れない。

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公共事業予算―最初からガラス張りに

 12年度の補正予算案をめぐる国会審議がたけなわだ。総額13兆円のうち約5兆円を占める公共事業費が焦点である。

 「防災・減災対策を掲げながら、無駄な予算も多いのでは」と野党が批判し、政府・与党が「バラマキではない」と反論する。議論はかみ合わず、深まらない。

 どんな名目で、どの事業に、いくら配分する予定なのか。個別の事業を取り上げて論争することが必要だ。

 安倍首相は1月中旬の記者会見で、公共事業について「古い自民党からは脱皮した。中身をガラス張りにし、費用と効果を見えるようにしていく」と強調した。ぜひ予算案の審議段階から実行してほしい。

 大震災の復興予算では、成立後に被災地と無関係な事業が次々と指摘されたが、すでに実施済みの事業も多く、執行の停止は一部にとどまった。教訓にしなければならない。

 個別事業への配分は「箇所付け」と呼ばれる。予算案の成立後、事業の実施計画を財務相が承認した後に公表するのが原則とされてきた。

 しかし、ここ数年、状況は変わりつつある。

 自民党が政権を担っていた09年、国の直轄事業に伴う地方自治体の負担金をめぐり、明細が地方側に示されないまま、国の出先機関の庁舎費などが含まれていたことがわかった。

 橋下徹大阪府知事(当時)が「まるでぼったくりバーだ」と批判した問題である。

 これを機に、民主党への政権交代後、当初予算案については国会で審議中の2月ごろ、個々の直轄事業の金額が一定の幅で公表されるようになった。

 審議期間が短い補正予算案でも、工夫すれば開示できるはずだ。例えば道路予算である。高速道路などの未接続区間の整備(620億円)、渋滞対策(1180億円)といった項目で、どこを、どんな基準で選んだのか。議論を通じて公共事業の仕分けを進めるべきだ。

 個々の事業費を早々に示せば、政治家から「地元の予算を増やせないか」との要請が相次ぎ、予算案の審議が混乱しかねない――。「箇所付けは予算成立後」という背景には、官僚のそんな心配がある。

 民主党が編成した10年度当初予算案では、箇所付け情報が国会審議前に党から自治体に伝えられ、「政権党が力を誇示する道具に使った」と批判された。

 箇所付けの開示は政党や議員のあり方も問う。よく自覚し、国会論戦にのぞんでほしい。

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