sparkする同人誌サンプル配布所（※sparka作のみ掲載）

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コメント一覧

1. • 1. sparka
   • 2012年06月09日 13:39
   • 「ジリリリ・・・」
     
     時間は午前２時30分。まだ外は暗いが、この部屋で寝ている少女は、ほぼ毎朝この時間に起きている。
     
     「はぁー。もうこんな時間か。もう少し寝たいけど・・・私が頑張らないと」
     
     一つ欠伸をし、気合いを入れた少女は、その勢いで着替え、洗面所で顔を洗い、歯を磨き、自分専用のバイクに乗り職場へ向かった。 他の人を起こさないように静かに。
2. • 2. sparka
   • 2012年06月13日 04:44
   • (「古い順」に並び替えてください)
     
     ５分も経たない間に新聞販売店に着いた。ここが彼女の職場だ。
     
     「おはようございます」
     
     少女は販売店のドアを開け、元気に挨拶をした。
     
     「おはよう。今日も早いね。」
     
     販売店の店長が彼女の挨拶に応えた。
     
     「はい。今日も頑張らないと。」
     
     「張り切るのはいいけど、張り切り過ぎて怪我をしないようにね。」
     
     「大丈夫。ちゃんとプロテクトを付けていますから。」
     
     そういって腕と足をまくり、肘と膝につけたプロテクトを見せた。
     
     「じゃあ今日も頂くね。」
     
     「はいはい。」
     
     店長の返答を聞くまでもなく少女は店の奥にある冷蔵庫を開け、その中にあったソーセージを手に取り、皮を剥いて口に入れた。 ちなみに冷蔵庫の中身を仕込んでいるのは店長である。
     
     そうこうしているうちに、他の従業員がやってきて店の中が賑やかになった。
     
3. • 3. sparka
   • 2012年06月13日 05:40
   • 「おはよう叶芽。」
     
     「あ、おはよう聡子ちゃん。」
     
     彼女の名前は池内聡子。五十嵐叶芽のクラスメイトで互いに心を許し合える親友である。叶芽は事情があってバイトしているわけだが、聡子は「叶芽がやるんなら」と言って入学前から入りたかった部活も半年で辞めてしまった。
     
     「あ～眠い。よくやれるね叶芽。」
     
     「まあ私が働かないといけないですし・・・でも私って慣れれば平気なタイプみたい。それに配達していて『おはよう』と言われるとうれしいですし。」
     
     「ふ～ん。そういうものなんだ・・・。」
     
4. • 4. sparka
   • 2012年10月19日 20:19
   • 「聡子はそう感じない？」
     
     「いや、感じないと言ったら嘘になるけど・・・。」
     
     「じゃあ嬉しいんじゃん。」
     
     「ま、まあそうかな？」
     
     「じゃあ一緒じゃん。」
     
     「う、うん。」
     
     聡子は叶芽の勢いに押されていた。
     
     
     「じゃあ私はこっちだから」
     
     聡子は真っすぐ伸びる方の道を指さした。
     
     「うん。また学校で会おうね。」
     
     「うたた寝して遅刻とかすんなよ。」
     
     「大丈夫だって。いつも遅刻しないできていているでしょ。」
     
     「確かにそうか。」
     
     二人の笑い声が響いた。
     
     「あ、いけない。まだ寝ている人がいるんですよね。」
     
     「そうか。じゃあまた。」
     
     「うん。」
     
     二人は小声で会話をし、手を振って別々の道へ歩んだ。
5. • 5. sparka
   • 2012年11月24日 21:07
   • (※携帯からの人は「古い順」に並び替えてください)
     
     
     「ただいま」
     
     叶芽が家のドアを開くと、いつも通り洗面所の電気が付いていた。
     
     「おかえり叶芽」
     
     そう答えたのは叶芽の祖父「健次郎」であった。
     
     「今日もランニングしてきたの？」
     
     「いや、まだじゃ。今から行ってこようと思ってな。」
     
     「そう。じゃあ行ってらっしゃい」
     
     「行ってくるわ。」
     
     健次郎は叶芽と入れ替わるように外に出た。
     
     「さて私も準備しないと」
     
     そう言って叶芽は風呂場に向かい、軽く風呂掃除をして水を溜め風呂を沸かした。ランニングから帰ってきた健次郎が、すぐに風呂に入れるようにするためだ。 風呂を沸かしている間に叶芽は服を脱ぎシャワーを浴びる。本当は水を溜めている間にシャワーを浴びたいのだが、シャワーか蛇口のいずれかしか水が出ない。欧米のようにバスタブに入りながらシャワーを浴びれば一石二鳥だけど、一度孫が汗を流した水が混じった風呂に入るのは・・・嫌ですよね。まさか「そっちの方がいい」という変態発言しませんよね。 まあボディーソープを付けて洗っているから見た目が・・・。
     
     そんなことを考えている間にシャワーを浴び終え、とろえたてのバスタオルで身体を拭き、服を身に付けた。
     
     ここで一息つきたいところだが、時間は迫っている。 急いで･･･というほどではないがエプロンを身に付け朝ごはんの支度をし始めた。 卵を割りかきまぜている間にフライパンが適温になり、卵を流し込み、半熟のスクランブルエッグができた頃には、あらかじめ風呂に水を入れている間にセットしておいたご飯が炊き上がる。 同時にみそ汁の入った鍋が沸騰する。
     
     「もうそろそろかな」
     
     そう思っていたら
     
     「ただいま」
     
     玄関から健次郎の声が聞こえた。と同時に風呂のタイマーが鳴る。
     
     「風呂炊けたみたい」
     
     「いつもすまんのぅ･･･。」
     
     そう言って健次郎は風呂に向かった。
     
     
6. • 6. sparka
   • 2012年11月24日 21:15
   • (携帯からの人は「古い順」に並び替えてください)
     「あともう少し」
     
     叶芽はオーブントースターに食パンを入れた。
     
     その間に盛り付け等をし、妹を起こしに二階に行く。
     
     「もも、起きて!!」
     
     「う～ん。後５分。」
     
     「後５分ね。」
     
     叶芽は半分呆れたように答え、心の中で10秒カウントした。
     
     「ほら、もう５分経ったよ。」
     
     「嘘だ。絶対10秒しか経ってない!!」
     
     我が妹ながら、なかなか鋭い。
     
     「ほら。10秒とか５分とか関係ないでしょ。今日は朝練じゃないの？」
     
     「あっ、そうだった。」
     ももは飛び起きて急いで一階に降りた。
     
     ももが顔を洗い歯を磨き終えたところで健次郎が風呂から上がった。
     
     「もう少し待ってね。」
     
     オーブントースターから食パンを取り出し、最後の仕上げをした頃には二人とも席に座っていた。
     
7. • 7. spark
   • 2012年12月08日 20:29
   • (携帯からの人は「古い順」に並び替えてください)
     「それじゃあ食べましょうか」
     
     叶芽も席に着いた。
     
     「いただきます。」
     
     「いただきます。」
     
     叶芽に続いて２人も挨拶をした。
     
     五十嵐家に現在暮らしているのは、食卓に座っている３人だけである。彼女の両親は今宇宙にいる。父母ともに小さい頃からの夢で、宇宙に行くことを聞いた時には彼女は喜んで彼らを送り出した。しばしの別れは少し寂しいけど、両親といえど夢は全力で応援したい。その思いの方が強かった。
     
     「ごちそうさま」
     
     最初に食べ終えたのは「もも」であった。ももは食器を重ねて洗い場に持っていき、台所を出た。５分も経たない間に制服に着替え、再び台所に現れた。
     
     「行ってきます。」
     
     「忘れ物ない？」
     
     「多分ない」
     
     「多分って・・・。」
     
     叶芽がそう口にしている間に玄関の開閉音がした。
8. • 8. sparka
   • 2012年12月28日 00:45
   • (携帯からの人は「古い順」に並び替えてください)
     「まったく、モモったら・・・。」
     
     「相変わらずせわしないのぅ。」
     
     「まあ、いつものことだけどね。」
     
     二人ともモモが出ていった後の玄関を見つめて呆れていた。
     
     「ところで叶芽は、まだ家にいてもいいのか？」
     
     「うん。もう少し遅くても大丈夫。」
     
     「そう。遅れないようにな。」
     
     「うん。」
     
     そうこうしているうちに健次郎が食べ終わり、叶芽は食べ終わると同時に皿を洗い始めた。
     
     「皿洗いくらいわしがやるのに・・・。」
     
     「いいのいいの。私がやるから、おじいちゃんはゆっくりしてて。」
     
     「そう。あんまり無理はしないように。」
     
     「はーい。」
     
     そう言ってるうちに皿洗いを終わらせ、洗濯するものを回収しながらベランダにある洗濯機に突っ込んだ。洗濯機が回ったのを確認したら叶芽は部屋に戻り、学校に行く準備をして玄関に立った。
     
     「それじゃあ私も行ってきます。」
     
     「おう行くのか。気をつけて。」
     
     「はーい。」
     
     叶芽はバイトの時にも使っていたバイクに再びまたかり、新聞配達の時より若干人通りが多いことから少し安全速度に気をつけながら発進させた。
9. • 9. sparka
   • 2012年12月28日 01:03
   • （※途中抜けている箇所がありますが、一旦先に進めます。）
10. • 10. skarka
    • 2013年01月03日 05:32
    • (携帯からの人は「古い順」に並び替えてください)
      「おはよう・・・って、もう挨拶したね。」
      
      そこにはバイクに乗った聡子がいた。
      
      「おはよう。」
      
      「ちゃんと遅刻せずに来たね。」
      
      「いや毎日やっていることだから。」
      
      これが彼女たちが通学時に毎回やっている会話である。聡子がバイトし始めた時は彼女は眠気眼で会話していたが、今となっては何ともない。むしろ朝早くから身体を動かしていたので、昼間のような元気がある。
      
      その後も何気ない会話を続けていると、崖にぶちあたった。目の前には海が広がっている。
      
      「じゃあ行きましょうか。」
      
      「うん。」
      
      会話を終わらせた少女は崖を飛び出した。バイクはみるみるうちに高度を落とし、着水するかどうかのところで水平を保ち、水面から浮いた状態になった。
      
      「あ、もう学校見えてきた。」
      
      「あ、本当だ。」
      
      二人の学校は陸路で一時間のところにある。しかし海岸線は入り組んだ入り組んでいるため、海を通った方が早く着く。ちなみにももの学校は徒歩10分のところにあるので、バイク不要なのである。
      
      
      「よし到着。」
      
      先に陸に上がったのは聡子である。っと言っても叶芽と数秒も離れていない。
      
      「さて教室に向かうか。」
      
      二人はバイクを駐輪場に置き教室に向かった。
11. • 11. sparka
    • 2013年01月08日 20:12
    • (携帯からの人は「古い順」に並び替えてください。あと矛盾点は後に修正します)
      
      「おはよう。」
      
      「お、おはよう。」
      
      叶芽は教室のドアを思いっきり開け、高校生とは思えないくらいの元気な声で挨拶をした。その後に申し訳なさそうに聡子が入ってくる。
      
      「おはよう、五十嵐さん、池内さん。」
      
      叶芽らの挨拶に、クラスメイト(♀)の加藤と佐藤が答えた。
      
      「相変わらず元気だね。」
      
      「えへへ。」
      
      「しかも今日もバイトしてきたんでしょ。」
      
      「うん。」
      
      「それでよくそんな元気出るわね。」
      
      「まあ、馴れたらどうってことないよ。ね、聡子」
      
      「う、うん。」
      
      長年の親友とはいえ、聡子は未だ叶芽の勢いには若干ついていけていない。
      
      「さて・・・寝よう。」
      
      叶芽が席に着いたと同時に、机に突っ伏した。
      
      (おいおい・・・)
      
      ３人は心の底で突っ込んだ。もちろん心の中だけなので叶芽は知る由もない。ちなみにこのやり取りも恒例である。
      
12. • 12. sparka
    • 2013年01月08日 21:16
    • 「おーい、みんな揃っているか？」
      
      叶芽が突っ伏してから１分くらい経過して、彼女らのクラス担任である篠田が教室に入ってきた。彼女が教卓に着いたと同時に、突っ伏した生徒を見つけた。
      
      「おい五十嵐、またそれか・・・。」
      
      恒例なので、発言に呆れが含まれている。
      
      「そんなにバイトが辛いのなら、辞めればいいのに・・・。」
      
      「辛くないもん。」
      
      突っ伏した生徒が身体を起こし、腕組みをしながら後ろにのけ反った。
      
      「じゃあ何で突っ伏していたんだ？」
      
      「何となく。」
      
      「何となくって・・・。」
      
      篠田クラス担任は確実に呆れていた。
      
      「まあいいわ。とりあえず欠席は・・・いなさそうだね。しんどい人はいるみたいだけど。」
      
      「しんどくないもん。」
      
      教室に僅かな笑いが起きた。が篠田は気にせず話を続けた。
      
      「今日は転校生を紹介するわ。入っておいで!!」
      
      「失礼します。」
      
      入ってきたのは黒の長髪で、目がキリっとしている少女だった。
      
      「じゃあ自己紹介して。」
      
      「黒騎れいです。よろしくお願いします。」
      
      転校生の自己紹介は短く淡々としていた。
      
      「・・・じゃあ黒騎さんの席は・・・右から二番目の一番後ろね。」
      
      篠田もあまりの短さに戸惑いつつ、転校生に席を教えた。
      
      「分かりました。」
      
      ちなみに叶芽の席は教卓から見て右から二番目の前から三番目である。ゆえに転校生が他の生徒の邪魔にならないようにしながら席に着くには、叶芽の席の近くを通る必要がある。そのため転校生は自分の席に向かうのに叶芽の席の横を通った、と同時に叶芽を睨みつけた。といっても立ち止まらずに丁度横になった時だけ目を向けたので、他のクラスメイトは気づかないし、叶芽も
      
      (？？？)
      
      と思うだけであった。
      
      その後も転校生は席に着いた後も授業中ずっと叶芽を睨みつけていた。
      
      (気のせいかな？)
      
      叶芽は視線が気になったが、いつも通り授業に集中、時々居眠り(８割)をした。
13. • 13. sparka
    • 2013年01月09日 20:35
    • (携帯からの人は「古い順」に並び替えてください。あと矛盾点は後に修正します)
      
      「叶芽起きて」
      
      熟睡中の少女をバイト仲間が揺らす。
      
      「う～ん。もう朝？」
      
      「もう夕方だよ。授業もHRもおわったよ。」
      
      「先生ももう叶芽を起こさなくなったな。」
      
      加藤は呆れたようにぼそっとつぶやいた。
      
      「え？もう帰る時間？」
      
      「そうよ。だから早く帰る支度をして。」
      
      朝とは立場が全く逆である。
      
      「分かった。」
      
      急いで帰る準備をしようとした時
      
      「五十嵐・・・叶芽さんでしたっけ。」
      
      後ろから転校生の声がした。
      
      「私に何か？」
      
      「ちょっと付き合ってほしいの。時間大丈夫？」
      
      「え・・・ああ・・・えっと・・・。」
      
      叶芽はちらっと聡子の顔を見た。
      
      「いいよ。駐輪場で待っているから。」
      
      「いや、先帰ってていいわ。」
      
      そう答えたのは転校生。
      
      「ちょっと勝手に答えない・・・。」
      
      「付き合ってほしいのは別に学校の案内をしてほしいわけじゃないから。」
      
      「ということは、つまり黒騎さんには百合」
      
      「属性はないわ。」
      
      佐藤のボケをれいが遮った。
      
      「五十嵐さんにはちょっと来てほしいところがあるの。もちろん校外ね。だから今日は３人で帰ってくれないかな？」
      
      「あ、はい。」
      
      ３人は唖然としていた。
      
      「・・・じゃあ私たちは先に帰るね。」
      
      「・・・うん。また明日。」
      
      「また明日。」
      
      叶芽は３人に手を振って見送った。
      
14. • 14. sparka
    • 2013年01月10日 14:44
    • (携帯からの人は「古い順」に並び替えてください。あと矛盾点は後に修正します)
      
      「さて・・・ちょっと話をしましょうか？まだ彼女たちがいるかもしれないし。」
      
      「あの・・・私をどこに連れて行くのですか？聡子ちゃんが一緒じゃダメなのですか？」
      
      「絶対ダメ。どこに行くかも後で教える。」
      
      「あの・・・もしかしてホ」
      
      「テルでもないよ。全く、私を誰だと。」
      
      「だっていきなり付いてきてっていわれて、怪しまない方が難しいよ。」
      
      「それでも怪しむ方向っていうものがあるでしょ。まあいい・・・ことはないけど話を続けるわ。」
      
      転校生は一瞬顔を赤らめたが、再び元の無愛想な顔に戻った。
      
      「五十嵐さん。今世界は平和だと思う？」
      
      「平和っていうか・・・ニュースでよくどっかの国とどっかの国が戦争しているというのをよく聞くけど。」
      
      「そんなの所詮子どもの喧嘩のようなものだわ。保育園や幼稚園であったでしょ。『これは俺のお菓子』『いや俺のだ』というの。その『お菓子』の部分が水や石油や領土に変わり、最大の攻撃アイテムが『つみ木』から戦車に変わったただけ。(よい子は『つみ木』を人に投げたらダメだよ)」
      
      「だけって・・・それだけで物騒なのですけど。」
      
      「まあそうだけどね。つまり『分け合う』『譲り合う』という精神があれば、簡単に解決するものよ。」
      
      「そう簡単に解決できるものなのかな？」
      
      「当たり前よ。同じ人間なのだから。」
      
      「はぁ・・・。」
      
      
15. • 15. sparka
    • 2013年01月10日 14:45
    • (携帯からの人は「古い順」に並び替えてください。あと矛盾点は後に修正します)
      
      「でも相手が人間じゃなければ・・・人間を含む地球内生物の何かを理解できないモノが地球に襲来してきたらどうする？」
      
      「どうするって言われても・・・。」
      
      叶芽は困惑した。聞かれた質問に対してもだが、転校生はかなり電波っぽい。
      
      「私たちを理解できないわけだから説得もできない。だから倒すしかないの。」
      
      「はぁ・・・。」
      
      話し終わると転校生は時計を見た。
      
      「もうそろそろいいわね。じゃあ駐輪場に行きましょう。」
      
      「あ、はい・・・。」
      
      転校生がドアを開けて教室を出た。叶芽はその後を追う形で教室を出た。
16. • 16. sparka
    • 2013年01月14日 20:44
    • (携帯からの人は「古い順」に並び替えてください。あと矛盾点は後に修正します)
      
      転校生の後ろを追う形でバイクを走らせると、たくさんの倉庫とコンテナに囲まれた海岸に着いた。船が停泊していないし最近停泊した形跡がないから港と呼べるのか疑問だから海岸と言っておく。
      
      「えーっと・・・ここは？」
      
      「やつはここからやってくる。どこからかこっそり入ってきて、いずれはここに住む生物、後に我々人類を攻撃してくる。その前に倒さないと。」
      
      そう言いながら『れい』はワイヤレスイヤホンを耳に装着した。
      
      「五十嵐叶芽だったね。よく見ているんだよ。」
      
      『れい』は自分のバイクに念を送っているかのように握っている手に力を入れた。すると『れい』を含めたバイクが光り出し、爆音を鳴らして海に向かって走り出した。数m走ったところで宙に浮き、あっと言う間に海の上を旋回していた。早くてよく見れなかったが、その間に制服から耐久性の良さそうなラバースーツ状の服に変わっていた。
      
      しばらく旋回した後、『れい』は海のある地点に狙いを定めて攻撃をした。
      
      海は攻撃をした場所を中心に荒れ、その中心部から海坊主が登場した。海坊主は『れい』のバイクを手のようなもので攻撃をしようとするが、『れい』はそれを間一髪でよける。よけると同時に攻撃を加える。 『れい』の攻撃は受けるがあまり効き目がなさそうだ。次に海坊主はヘドロ攻撃をし、『れい』はよけるが第二波は当たってしまう。それに対して攻撃をする。海坊主の攻撃を避けながら攻撃の間に海坊主への攻撃を加える。そういうことを何度か繰り返していたある時、『れい』の様子がおかしくなった。
17. • 17. sparka
    • 2013年01月15日 23:34
    • (携帯からの人は「古い順」に並び替えてください。あと矛盾点は後に修正します)
      
      「え？それは・・・確かにそうですが、でも私だけでも・・・あ、分かりました。」
      
      急に独り言をしゃべり始めた。おそらくワイヤレスイヤホン越しに誰かと会話をしているんだろう。ここまでの戦闘を振り返ってみると、確かに攻撃中も何かブツブツ言っていたように見えなくもない。急に大声をあげたので変に見えたのだろう。しかしそういう反応を示しながらもまともな戦闘を続けているところは、やはりベテランということなのか？
      
      そんなことを考えていると
      
      「受け取って。」
      
      『れい』が何かを投げてきた。何か分からず受け取って手の中を見ると、そこにはワイヤレスイヤホンがあった。
      
      「それを耳につけて。」
      
      叶芽は言われるまま耳にワイヤレスイヤホンを付けた。よく見るとイヤホンから棒状の何かが伸びている。
      
      「あの・・・。」
      
      「五十嵐叶芽さんだね。」
      
      突然イヤホンの中から声が聞こえてきた。
      
      「はい、そうですけど。」
      
      「突然だけど、『れい』と一緒に戦ってくれないか？」
      
      「え？戦うって・・・。」
      
      「とりあえず自分のバイクに跨がって」
      
      「あ、はい・・・。」
      
      言われるまま自分のバイクに跨がった。
      
      「そうしたら、バイクで飛ぶイメージを作るんだ。」
      
      「飛ぶイメージって・・・。」
      
      「あなたの抱くイメージでいい。現実的か非現実的かは問わない。何ならバイクを小型飛行機と思って飛ぶイメージを抱くんだ。」
      
      「バイクで飛ぶイメージ・・・。」
      
      叶芽は目を閉じてイメージを抱いた。
18. • 18. sparka
    • 2013年01月16日 03:48
    • (携帯からの人は「古い順」に並び替えてください。あと矛盾点は後に修正します)
      
      すると叶芽のバイクが光り出した。
      
      (え？)
      
      叶芽は戸惑ったが、
      
      「もっと飛ぶイメージを強く抱くんだ。」
      
      という指示に従って、さらにイメージを強くさせた。その思いに比例して、より光が強くなり、バイクのエンジン音も爆音に変わった。
      
      「今だ。バイクを飛ばす勢いで前進させろ。」
      
      叶芽はアクセルを踏んだ。
      
      「いっけぇーーー!!」
      
      叶芽の声にも勢いが増し、バイクは前進した。バイクはどんどんスピードを上げ、もう少しで海に落ちる地点でバイクは宙に浮いた。
      
      「すっごーい。私も飛べた。」
      
      叶芽は歓喜したが
      
      「喜んでいる暇はないわよ。」
      
      『れい』の言葉で我にかえった。
      
      「そうだった。えーっと・・・どうすれば・・・。」
      
      「まずハンドルの中央にあるボタンを押してみなさい。」
      
      叶芽が困惑しかけたところで、イヤホン先からアドバイスが来た。
      
      「分かりました。」
      
      叶芽はアドバイス通りに該当するボタンを押した。すると目の前にダーツの的のような図が出てきた。
      
      「次に敵にバイクの先を向けて」
      
      指示通りに海坊主にバイクの戦闘を向けた。すると図に赤い点滅が映った。
      
      「赤い点滅は、その敵の急所、または隙のある場所を示している。そこに的の中央を向けて、右ハンドルにある赤いボタンを押して。」
      
      指示通りに赤い点滅を的の中央に当て、赤いボタンを押した。するとバイクの下から弾丸が発射され、海坊主に当たった。
      
      海坊主はダメージを受けたが、それに対する反撃を叶芽に加えようとする。
      
19. • 19. sparka
    • 2013年01月16日 04:10
    • (携帯からの人は「古い順」に並び替えてください。あと矛盾点は後に修正します)
      
      「五十嵐さん、左ハンドルの青いボタンを押して。」
      
      『れい』の叫びに応えて青ボタンを押すと、前一面に何らかの模様が出てきた。と同時に、海坊主の腕(？)が模様に当たって跳ね返された。
      
      「何とか間に合ったか・・・。五十嵐さん、私は後ろに回るから、五十嵐さんは前から攻撃して」
      
      「分かりました。」
      
      叶芽は前から、『れい』は後ろからの攻撃を続けた。
      
      何回か攻撃していると、弱ったのか海坊主はあまり反撃しなくなり、赤い点滅も増えていった。と同時に、他の点滅より大きく、周期の違う赤い点滅が登場した。
      
      「よし、じゃあ敵の大きな赤い点滅に標的を合わせ、赤ボタンを長押しして」
      
      言われた通りに長押しをした。エンジン音がどんどん大きく高くなっていく。そしてエンジン音が最高音に達した。
      
      「今だ、撃て。」
      
      叶芽はボタンから手を離した。バイクの下から強い光が出て、海坊主に向かって発射された。威力が強すぎて光としか捉えられない弾丸は海坊主に当たったと同時に爆発した。爆発の煙で様子が見えなかったが、煙が引くとそこには海坊主はいなかった。
      
      「もう倒れたの？」
      
      「ああ。」
      
      叶芽の質問に『れい』は答えた。
20. • 20. sparka
    • 2013年01月18日 19:54
    • (携帯からの人は「古い順」に並び替えてください。あと矛盾点は後に修正します)
      
      「お二人ともお疲れ様です。今日の任務は終了です。二人ともゆっくり休んでください。」
      
      二人は再び地上におりた。
      
      「あの・・・」
      
      「ちなみにそのバイクはどうしたの？」
      
      叶芽が何かしゃべろうとしたら『れい』に遮られた。
      
      「えーっと、おじいちゃんからもらいましたです。」
      
      「おじいちゃんねぇ・・・。」
      
      『れい』は少し考え込んだ後、
      
      「任務終了ということは、この通信も切ってもいいよね。」
      
      と、おそらく私たちに指示を出したと思われる人に聞いた。
      
      「ああ。別にいいけど。」
      
      「じゃあ切るね。」
      
      そう言ってイヤホンを押した。その後叶芽のイヤホンも押して叶芽側の通信も切った。
      
      「今から言うことは、司令部に聞かれたくないからな。」
      
      「はあ。」
      
      「あのね、私は司令部の命令で、あなたをここに連れてきて戦ってもらったの。」
      
      「司令部って、このイヤホンの先にいる人？」
      
      「そう。でもね私はあなたに戦ってほしくないの。どうしてか分かる？」
      
      「分からない。ってか何で私が戦わなければいけなかったのかも分からないよ。」
      
      「あなたが戦わなくてはいけなくなった理由。それはあなたがそのバイクを手に入れてしまったから。」
      
      『れい』は叶芽のバイクを指差した。
21. • 21. sparka
    • 2013年01月18日 21:23
    • 「私のバイク？」
      
      「そう、あなたのバイク。あなたが飛ぶイメージを抱いたら、光り出して本当に飛んで、しかも攻撃までできるようになったでしょ？」
      
      「うん。」
      
      「普通のバイクでそんなことできると思う？」
      
      「分からないけど、そういう場面は今まで見たことがないです。」
      
      「つまりそれだけ特別なバイクなの。さらに普通の人なら、例えそんな特殊なバイクに乗っても、普通のバイクでできること以上のことはできない。」
      「つまり私も特殊な存在ってこと？」
      
      「それは分からない。とにかく言えることは、偶然あなたのおじいちゃんが対戦闘用にも使えるバイクを手に入れて、それが偶然何らかの要素を持ったあなたに渡り、あなたの念がバイクとシンクロして発動したということ」
      
      「私がバイクに選ばれた人間ってこと？」
      
      「そうなるかな？でも私は認めない。今まで訓練の連続で、やっと戦えるようになったというのに、それらを経験してないあなたがあっさりと倒してしまう。そんなの認められると思う？」
      
      『れい』の語気が強くなった。
      
      
22. • 22. sparka
    • 2013年01月18日 21:23
    • (携帯からの人は「古い順」に並び替えてください。あと矛盾点は後に修正します)
      
      
      「確かに一生懸命勉強したのに、全く勉強をしてなさそうな人に負けると悔しい。」
      
      「それとはレベルが違う。小さい頃からあらゆるものを犠牲にしてやっとここまで来れたのに・・・。
      
      『れい』はしばらくうなだれていたが、何か確信したかのような顔をして叶芽を見つめた。
      
      「そうだよ、今日始めて戦って偶然勝った人が、今後も勝てるわけがない。経験値が違うじゃないか。むしろ初心者なんてただの足手まといなだけ。だから一緒に戦うのは今日まで。あなたは今後もいつも通りの生活に戻るんだよ。いいわね。」
      
      「はぁ・・・。」
      
      若干こじつけっぽいことを言い残して、『れい』はバイクに乗ってその場を離れた。
      
      「もしかして私、とんでもないことに巻き込まれている？」
      
      叶芽は『れい』の後ろ姿が見ながら、そう思った。
      
      
      (アニメが放送されるまでに書きたかったのはここまで。続編は未定)