広島電鉄の椋田昌夫社長（６６）は毎日新聞のインタビューに応じ、将来的な運賃の値上げについて「最速で１４年度に結論を出したい」と述べ、１３年度は利用客からのヒアリングなどに充てる方針を示した。椋田社長は９日の就任記者会見で、越智秀信前社長が表明していた値上げ方針を白紙撤回したが、将来的な人口減などから「いずれお願いしないといけない」と含みを残していた。【聞き手・植田憲尚】

　−−「独断的」とされた前社長だった。どういう経営を目指すのか。

　◆原点に立ち返り、社員の声が聞けるようにする。全社員で頑張り、お客さまに喜んで乗っていただけるようサービス向上を目指す。みんなが発言しやすい明るい職場でないと。接客サービスでもあるので、お客様のためにも、そういう職場にならなくては仕事が楽しくできない。

　−−今回の値上げは撤回したが、将来的には避けられない。結論はいつ出すのか。

　◆値上げの前に企業努力がいる。１３年度は決算の分析、それにお客様の声もヒアリングし、将来の計画をきっちりする。そのうえで検討し、お願いすることになる。しかし、１３年度からの３年間の中期経営計画の議論ができていない段階で、前社長が値上げ申請したこともあり、まだ社内が混乱している。最速で消費税が増税される１４年度の春に間に合えばいいと思っている。

　−−前社長が推進した計画はすべて元に戻すのか。

　◆手法は問題だったが、アイデアや方向性は良かった。小型低床車両は予定通り白島線から江波線・横川線へ乗り入れる。ただ（引退したドイツ製車両を使ったレストラン）「トランヴェール・エクスプレス」は、もうかっていない。担当者から相談を受けており、今後の対応を検討する。

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　■人物略歴

　◇むくだ・まさお

　６９年広島電鉄。１０年６月から専務。呉市出身。趣味はウオーキングと妻との食べ歩き。