この問題は一般に高度経済成長の負の面と考えられ、公害問題が叫ばれ始めた頃から起こってきたことと思われがちだ。あるいは18世紀の後半、イギリスに産業革命が起こる頃が原点だとする意見もある。
しかし梅原猛氏は、農耕文明や都市文明の発生と共に環境破壊が始ったと言われる。人類の文明は森林を破壊して興り、森林の消滅と共に滅んだからだ。メソポタミアやエジプト文明、エ−ゲ海文明、ローマ文明も。
現代文明が地球環境の破壊と共にまさに終末の危機に瀕している今、掛け違いの始る以前について想いを馳せ、そこから解決の糸口となる基本理念を学ぶ必要がありはしないか。
そこに「縄文の甦り」があるわけだ。日本に本格的な農耕社会がスタートしたのは、弥生時代で2千数百年前。都市文明では、平城京で約千3百年前である。それ以前のおよそ1万年が狩猟採集をベースに“高度な文化生活”を営んでいた縄文時代であった。
さていったい、縄文の持つどんな理念がこれからの地球社会に活かせるというのだろうか。CIプロデューサーとして活躍の同志、角田識之氏は「空間をなるべく壊さないで空間が本来持っている可能性を引き出す」のが新縄文型経営のコンセプトだと言う。「空間をあるがままに生かす」ということである。有効微生物群を活かす『EM農法』。空間のエネルギーを取り出す『ドクター中松エンジン』。生活に必要なエネルギーの85%を生み出してしまうミサワホームの『創エネ住宅』などがその例だ。
高度産業化社会を達成しながら国土の3分の2が森林に覆われている不思議の国ニッポン。鎮守の森を大切にしてきた縄文の心を甦らせ、世界文明に貢献すべきときであろう。